ども、今のスマホを一度も落としたことがないのが自慢の岡田達也です。

 

 

 

大きな大きな「カメラ」と名の付く電気屋さんに出かけた。

目的はスマホだ。

 

 *

 

ちょっと前まで、僕が手にする電機製品はすべてが壊れた。

驚くほど壊れた。

とにかく短命なのだ。

特にスマホ、タブレットには恵まれなかった。

 

固まる、

ノッキングする、

ブラック・アウトする、

バッテリーの減りが異様に速くなる、

充電できなくなる

など、ありとあらゆるパターンを経験した。

 

西川浩幸先輩に「たっちゃんの手からは妙な電磁波が出てるんだよ。それが原因だな」と笑われて、最初のうちは「んなわけないでしょ!」とツッコんでいた。

が、あまりに壊れるので「ひょっとしたらそうなのかもしれない……」と、ちょっと不安になってきた。

誰にも言えず手のひらを眺め「オレの体は一体どうなっているんだ?」と密かに悩むようにさえなった。

 

が、その後、僕の体は徐々に普通の人間に近付いていき

(心はまだまだだけどな)

今使っている『HUAWEI Mate7』はとても調子が良く、お付き合いして間もなく2年になる。

電磁波男に使われて2年も持ってくれれば十分だ。

最近、ちょっと動きがカクつくようになってきたので、いつダメになってもいいように市場調査に行った。

 

 *

 

僕は格安SIMを利用しているので、目指すコーナーはただ一つ。

『docomo』にも『au』にも『SoftBank』にも目もくれず、SIMフリーの売り場に向かった。

 

「ご案内しましょうか?」

 

売り場に立って2秒で店員さんがやってきた。

ある程度ネットで下調べは済んでいる。

後は実機を手にして、感触やら何やらを確かめたいだけだ。

 

「ありがとうございます。大丈夫です」

 

僕は笑顔でやんわりとお断りした。

目的の機種に手を伸ばす。

 

「今日はSIMフリーの機種をお探しですか?」

 

別の店員さんが張り付いてきた。

先ほどの会話から10秒も経っていない。

さっき案内を断ったところは見ていないのだろか?

 

「ええ、そうですね」

「ご案内しましょうか?」

「いや、ちょっと確かめたいことがあったので。触れれば十分です」

 

僕はやや引きつった笑顔でやんわりとお断りした。

次の機種に手を伸ばす。

すると……

 

「HUAWEIですか?」

 

別の店員さんが話しかけてきた。

……ウソだろ

20秒も経ってないぞ

あなた、すぐそばにいましたよね?

 

「ええ、まぁ」

「ご案内しましょうか?」

「いえ、大丈夫です」

 

僕はとても引きつった笑顔でお断りした。

次の機種に手を伸ばす。

 

「ご案内しましょうか?」

 

女性の店員さんが話しかけてきた。

 

……

……

 

もういいよ!!!

わかったよ!!!

仕事だもんね!!!

仕方ないよね!!!

そうしないと売れないしね!!!

成績も上げなきゃね!!!

 

でもね

入店して2分の間に4人に声をかけられるってどうなの?

しかもこの近距離で!!!

見てたよね?

オレが案内断ってるの!!!

 

ひょっとして

オレの手のひらからは妙な電磁波が出てるけど、体からは鰻の香りでも出てるのか?

オレは歩く蒲焼きか?

それともオレはしゃべるひつまぶしか?

人を惹きつけてしまうのはそこか?

 

イヤだよ

鰻の香りがする体なんて……

 

僕は「大丈夫です。もうお腹いっぱいになりました」と返事してお店を出た。

彼女は不思議そうな顔で見送ってくれた。

 

 *

 

今のスマホが一日でも長生きしてくれるように大切に使おう。

 

 

 

では、また。