ども、世間で言われるように最終的には自分で作るのが一番なんだろうか?と考察する岡田達也です。

 

 

 

カレーが食べたくなった。

 

カレーというやつは厄介で、一度でも「オレは、今、カレーだ!」と思ってしまったら最後、カレー以外の食べ物では満たされなくなる。

「一食にかける情念の深さ」は誰にも負けないと評判の私だ。

それはそれは真剣に店探しをした。

しかし、次の仕事まであまり時間がないのでのんびりしていられない。

本当は『ココイチ』が食べたかったのだが近所にない。

仕方がないので近くにあった『松屋』に駆け込んだ。

 

僕は

牛丼は『吉野家』

定食は『松屋』

とんかつは『かつや』 あるいは『松乃家』

天丼は『てんや』

親子丼は『なか卯』

カレーは『ココイチ』 あるいは『C&C』

というように、ジャンルによってお気に入りの店が決まっている。

 

だから松屋でカレーを食べたことが無かった。

 

 *

 

ここから先は、あくまでも私個人の意見だ。

味の好みなど人それぞれなんだから当たり前だが、今の御時世、後で怒られちゃったりするので、小心者の私は全力で自身の身を守りたい。

繰り返す。

私個人の意見だ。

(いったい誰を恐れてるんだ?)

 

 *

 

「おやおやおや?」

一口目の印象だ。

 

「なんかというか、こう、苦い?」

二口目の印象だ。

 

「というか、これは、しょっぱいのか?」

三口目の印象だ。

 

「これは……、やっちまったか?」

四口目で不安がよぎった。

 

僕はカレーは辛いほうが好きなので常に辛口で食べるのだが、その辛さではない違った種類の辛さを感じる。

食通ではないので、これを言葉で表現できないのがもどかしいが。

すりおろした野菜がたんまり入っているのはわかる。

手間がかかっているのもわかる。

 

しかし

 

悲しいかな

今、自分が食べたいカレーの味ではないことだけは確かだ。

それだけはわかった。

 

だが、お金も払っている。

時間もない。

とにかく食べなければ。

食べ進めた。

 

松屋ではカレーに味噌汁が付いてくる。

カレーに味噌汁は必要ないだろうとも思うが、せっかくのサービスだ。

意地汚い僕はありがたく頂戴して飲んでみた。

 

「!」

な、なんてこった!

カレーの味で舌がやられて!

味噌汁の味がわからなくなってるじゃないか!

 

なんなんだ、このカレー?

ボディブローのように効いてくるスパイス!

「ハウスバーモントカレーのルーを足してくれ」と叫びたくなるバランス!

「苦辛い」と表現したくなる味!

そして、なぜだか味噌汁!

 

僕は初めて食べた松屋のカレーにKOされた。

 

 *

 

家に帰って思わず松屋のカレーについての口コミを調べてしまった。

 

すると……

出てくる、出てくる

「松屋のカレーはマズい!」

「なぜあんなカレーを作ったのか?」

という反対派から

「松屋のカレーはウマい!」

「これを不味いと言ってるやつはどんな舌をしてるんだ?」

という擁護派まで

ネット上で激しい論争が繰り広げられていた。

 

おもしろい。

とてもおもしろい。

 

やはり嗜好品や食べ物はこうでなければ。

好みが別れなければ、誰とも、何も、語れないのだ。

 

 *

 

翌日。

復讐のためココイチに出かけた。

一口食べたとき、思わずつぶやいてしまった。

「逢いたかったよ……」

 

 *

 

ほ~ら

もう気になってるでしょ?

松屋のカレー食べたくなってきたでしょ?

ぜひ挑戦してみてください。

 

そして

松屋関係者のみなさま

けっして悪気はありませんのでお許し下さい。

これからは今まで通り、美味しい定食を食べさせていただきます。

 

 

 

では、また。