少しずつ、自分の楽しみで書いたものが、たまりました。
せっかく書いた物なので、投稿します。
少し長いので、気が引けています。ご覧くださいませ。

尚、登場する格技の技は、空想の産物です。
格技のランク付をするものでは、ありません。
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合気和円流・中川靖子9段①「テレビ局からのお誘い」


「つよプリティ」の松村紀子は、テレビ出演を止め、
合気流部の部長として、励もうと決心した。
それは、中川靖子の技を見たこともある。
『あれほど強い人がいるのに、自分などが合気流を見せるなど、
 まだまだである。』そう思った。

カメラマンの石川聡志は、松村紀子が、番組を降りる場合、
松村が間違って教えた技の訂正は、
中川靖子が、西南大学で見せた映像を流せばいいと思っていた。
部員に、丁寧に解説している場面がある。
そこで、スタッフに見せたのである。
ディレクターの篠原が、言った。
「ちょっと、ちょっと、この中川さんって何者?
 美人だし、5段の人を投げたのが見えないよ。」
「合気流なら9段、和円流なら、免許皆伝です。
 あの合気流・和円流の神様と言われた、中川雲竜のお孫さんです。
 日本でただ一人の『和円流』免許皆伝。」
と、カメラマンの石川。
「じゃあ、村松さんの代わりに番組をやってもらったらどうです?
 村松さんは、6段。中川さんは、それより強い。」とサブの松田。
「いや、彼女が本当に強いなら、異種格闘技をやってもらったらどうです。」とスタッフ。
石川カメラマン。
「合気流は、一瞬に勝負がつきますから、時間が持つかどうか。」
「格闘家のプロフィールを流せば、もつだろう。」ディレクター。
「2時間の特別番組で、相手は10人。」サブ・ディレクター。
「中川さんが負けたらどうする。」スタッフ。
「負けませんよ。祖父の中川雲竜は、身長155cm、体重45kgで、
 アメリカに渡り、プロレスラーを次々畳みに沈めた人ですよ。
 中川靖子さんは、免許皆伝。同じくらいの強さでしょう。」カメラマンの石川。
ディレクター「中川さんが負けたら、残りの人でやってもらえばいい。」
サブ「中川さんがいないと、興味は半減するなあ。」
「これは、賭けだなあ。ちょっと怖いよ。」ディレクター。

一応打診をとるために、チーフ・ディレクターと、サブ・ディレクターは、
和円流の道場を訪問した。
雲竜は、2つ返事でOKした。
「異種格闘技あったればこそ、互いの長所と欠点がわかる。
 何よりの勉強です。」
隣に中川靖子。
「お祖父ちゃん、やるのあたしでしょ。あたしの意見も聞いて。」
「あ、失礼しました。靖子さんどうぞ。」と、チーフ。
「あたしは、10人に全勝しなければならないんですか。」
「いえ、中川さんが負けた場合、残りの選手でやります。勝ち抜きです。」
「靖子、今から負けた場合など、考えんでよい。
 局の方、その道で、できるだけ強い人をお願いします。
 相撲で言えば、横綱、剣道なら、全日本チャンピオン。
 靖子は、その道のトップですから。
 トップ同士がやってこその、異種格闘技です。」
「なるべく、強い選手を選びます。」
二人は、OKが取れたものとして、ホクホクと帰った。

帰り道。
サブ「チーフ、安請け合いしましたが、ほんとに横綱を呼べますか。」
チーフ「相撲なら、十両の力士を一人呼べれば上々じゃないか。」

「おじいちゃん、しらないからね。
 どんな強い人が来るかもしれない。」
「それこそ、願ったりのことじゃ。
 その代りにな。靖子に、あと3つ奥義を教えてやろう。」
「え?まだ、そんなのがあったんですか!」
「ああ。わしが、アメリカでプロレスラーや、
 フットボール選手を、畳に沈めた秘伝があと3つ。」

二人は、面と向かい、エイ!と掛け声が聞こえたかと思うと、
靖子は、壁まで飛んでいた。
「おじいちゃん、すごい。こんなのがあと2つあるの?」
「どうじゃ、靖子でも、防御不可能だろ。」
「うん。どうしようもなかった。」

異種格闘技。出場者がどんどん決まって行った。
力士、剣道、柔道,空手、レスリング(女子)、プロレスラ―。
薙刀(女子)、テッコンドー、ボクサー、宝蔵院棒術

それと同時に、テレビでは異種格闘技の宣伝と、
10人の格闘家が、それぞれの道場や、練習場で戦っている映像が流れた。
ここは、ある相撲部屋。親方がディレクターに言う。
「相撲のつっぱりほど強力なものは、ありません。
 プロレスラ―でも、一発でしょう。
 それが、合気流のお嬢さんですか?止めた方がいいでしょうなあ。」

ある家庭。
「ね、あのお姉ちゃんが、プロレスラーとやるの。
 絶対無理だよ。どうやって勝つの?」
「お父さんにも、わからないよ。
 勝つ方法がなければ、やらないだろう。」

高木家。
啓子「ミミ、誰とやるのが、一番苦戦する?」
ミミ「女子レスリング。技が合気流と正反対。一番やりにくいよ。」
母ユキ「断然、薙刀が怖いわよ。」
啓子「あたしは、ボクサー。ジャブからストレートが来る。怖い。」
公平(父)「俺は、全員恐い。」(みんな笑い)
ミミ「柔道の人には勝てるんじゃない。」
公平「どうだか。」

1人の女子が、10人の強敵と戦うというのは、
これまで、ごく少なかった。というか、なかった。
それが、すらりとした美少女の中川靖子がやるというので、
当日までの期待がどんどん高まって行った。
みんなの思いは1つ。中川靖子が負けたら可哀相・・だった。
だから、応援は、靖子に集中していた。

そして、当日である。夜の7時。
実況放送である。
テッコンドーと柔道の人が大事な試合があり、欠場となった。

これで、全8人になった。だが、関取もプロレスラーもいる。
極真空手がある。バンタム級のボクサーがいる。これで、十分である。

会場は、代々木小体育館。
収容1000人。
床の中央に、着脱可能な30畳ほどの畳が敷かれている。
高木啓子は、解説者として、アナの隣にいた。
観客席には、電波が流れていて、
スマホを耳に当てれば、啓子の解説が聞こえるようになっている。

靖子や啓子の家族は、特等席をもらっている。
西南大の部員も、ほとんどが来ていた。
「先輩。あたし、ドキドキして気絶しそうですよ。」と近藤美咲。
「あなたの方が、あたしより、強いのよ。
 だから、当然、あたしの方が、死にそうに緊張。」松村紀子。

視聴率は、15%を超えていた。まずまずである。
すでに、多くの人が見ている。

やがて、選手の紹介。プロレラーは、派手なコートを脱いだ。
靖子は、和円流の姿、地味な柔道着を着て、
髪を後ろに1本に縛っていた。前髪は、可愛らしく下ろしている。

みんな、プログラムを見て第1回戦が誰とやるか知っている。
そして、絶望的な気持ちになっていた。
1回戦の相手は、こともあろうか、力士である。
十両の琴が梅。
名を呼ばれ、開始線に出ていった。
靖子の試合は、ここで終わりとばかり、皆が声援を送る。

アナ「高木さん。素人判断で、勝てるはずがないと思えるんですが。」
高木「普通勝てませんよね。でも『気』が合えば、どうなりますかね。
   お楽しみです。」
アナ「『気が合う』とは、仲良しになることですか。」
高木「あはは。上手におっしゃいますね。」

啓子は、なかなかの解説者だった。

両者開始線に立った。

(次は、「対琴が梅戦、とんだ飛び入り、対プロレスラー」です。)



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