女装小説と自叙伝

性自認男子のISです。
2年間アメリカの学校で女性として過ごしました。
その自叙伝と、創作女装小説です。


テーマ:
「将棋横町大川高志流」


物語を③まで書きましたが、
病気でエネルギーを使いましたためか、
④の最終回が、どうしても書けません。

そこで、③を、最終回とし、物語はここまでといたします。
③で、一区切りになっている気がしますので、まあ、いいかと思いました。
どうか、ご了承ください。

頭の中で、ストーリーは浮かぶのですが、
いざ書く段になりますと、疲れが出てしまいます。
元気が出ましたら、また書きたいと思います。
ときどき、覗いてくださると、幸いです。
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将棋横町大川高志流③「将棋の価値」



工藤との対戦になったとき、山口九段は言った。
「どうやら、私までやる必要はなさそうだ。
 工藤君で最後にしよう。」
こうして、工藤が最後の対戦者になった。
工藤の先手。
工藤は、序盤から、慎重に駒を進めていった。
ポーカーフェイスの工藤が、初めから首をかしげている。
洋子は、高志の将棋を忠実にやっているだけであったが、
やっぱり勝ちたいと思っていた。
病院で、高志十段と口頭でやった将棋が忘れられない。

序盤が終わった。
工藤はやっぱり強い。
中盤に入るなり、工藤は、持ち駒をフルに使って、
攻めてきた。
直線には、直線、洋子も負けじと攻めた。
激しい攻防戦になった。
姿勢のいい工藤は、途中2度腕を組んだ。
しばらくして、
工藤は、治を見て、静子を見て、
そして、洋子を見て、
「負けました。」と駒を置いた。

真理子と新堂は、わああと手を叩いた。
「ね、勝てないでしょう。」と新堂は、工藤に行った。
「では、真理子から、感想を言ってもらおう。」
真理子は姿勢を正した。
「第一に、この将棋は、恐ろしく強いです。
 次の手が読めません。
 だから、構えをしようと思っても、どうしていいかわかりません。
 それから、大切なこと。
 この将棋は、やっていて、すごく楽しいです。
 例え負けてもです。
 これは、大川高志十段の将棋と同じです。」
「新しい将棋の誕生と考えていいかね。」と山口九段。
「はい。そう思います。」

治と静子は、顔を見合わせ、胸をなでおろした。
百合子も、小さく拍手をしていた。

新堂六段の言葉。
「ぼくは、『将棋横町流』に初めて出会ったときの感激と、
 同じものを感じました。
 とにかく新しいです。全く相手の手が読めません。
 今の棋士がみんなこの将棋をマスターしたら、どうなるか。
 考えただけで恐ろしいです。(笑)
 将棋横町流は、苦しみの中で、必死に学びましたが、
 高志十段の将棋は、楽しみながら学べる気がします。
 新しい将棋の誕生を思います。」

新堂も静子、治に深く礼をした。

工藤の言葉。
「私は、今、新しい将棋の誕生を確信して、
 胸が震えるほど、感動しています。
 新しい将棋なんて、めったに出会えるものではありません。
 また、大川高志十段が、死の床でこれをお書きになったのかと思い、
 涙が出てなりませんでした。
 きっと奥様や、治さんへの強い愛情があったればこそ、
 完成したものと思います。
 この将棋は、コンピュータで手筋を検索しても、何も出て来ないと思います。
 これは、高志十段の口癖でしたが、将棋は人と人とが面と向かってするのがいい。
 真剣にやるもよし、冗談を言いながら、笑ったり、余裕の中でするもよし、
 プロの対戦でない限り、将棋は楽しくやるものだよ。
 高志十段の新しい将棋は、そんな思いが詰まっていて、
 将棋の新しさだけではなく、新たな将棋の魅力を教えてくれます。

 文句なしに、新しい将棋だと思います。」

工藤は、静子と治に深くお辞儀をした。
治も静子は、涙でいっぱいだった。
「皆さまの温かいお言葉、うれしくてたまりません。
 こんな近くに山口九段のお家があり、そこにみなさんがいらっしゃる。
 ぼくは、果報者です。
 これからも、よろしくお願いいたします。」
治は、静子と一緒に頭を下げた。
百合子も目頭を熱くしながら、拍手をしていた。

その日から、山口九段の家で、高志十段の将棋の勉強を始めた。
洋子は、毎日やってきて、質問に答えていた。
賑わいがあり、活気があり、
治は、こんなに楽しい日々はないと思った。
父高志の言葉の通り、将棋は人が集まり、
あーだ、こーだと言いながらするのが、楽しい。
その雰囲気が気に入り、百合子も3日に1日はやってきた。
「百合子さん、いいんですか。」と洋子に言われ、
「今日は、いろいろ報告に来たのよ。
 勤務時間過ぎたし。」と百合子は、毎回用を見つけて来る。

15年前と違い、皆プロの高段者ばかりである。
理解力も違う。
こうして、2か月が過ぎるころ、
皆、高志流が身についてきた。
中でも、治は、抜きん出て、会得が早く、
洋子と同じレベルに、1番に達した。

これなら、将棋の発表会で、治が皆さんの前でできると、洋子は確信した。
こうして、10月の中旬、将棋横町公民館で、
大川高志十段の将棋が、公開されることになった。

(大川十段 将棋発表会)



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※明日は、私用のため投稿は休みます。




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将棋横町大川高志流②


手紙の続きがあった。

『治。この将棋は、治だけのために考えたのだが、
治は、この将棋を独占せず、
将棋ファンのために、広く公開することもできる。
ちょうど15年前、「将棋横町流」が登場した時のように、
教本を作り、人々に知らせる。
その教本が、将棋ファンをどれだけ夢中にさせたか、当時の人に、
聞いてみればわかる。
幸い倉田さんは、編集者だ。教本を作ってくれる。

また、将棋横町の東にある父さんの親友山口九段を訪ねてみるといい。
そこに、若い仲間もいる。みんなお人好しだ。
治が、これから将棋をしていくには、頼もしい先輩だ。

公開するかどうかは、あくまで、治の決断で行って欲しい。
あとは、治の活躍を天国から見守っている。
静子は、治のマネージャー役をよろしく頼む。
では。』

静子は、そっと治の顔を覗いた。
「治、どっちにするの。」
(独占か公開かということ。)
治はにっこりわらった。
「お母さんは、お父さんの性格を、百も承知なくせに。
 そして、ぼくは、お父さんの子だよ。
 もちろん、公開だよ。
 できるだけ安価な教本にして、日本中に広める。」
治は、洋子を見て、手を付いた。
「倉田さん。父の力になってくださり、ありがとうございました。
 そして、教本作りをお願いいたします。
 母といっしょに、いつも父をそばに感じることができます。」
治と静子は、深くお辞儀をした。
「はい。お引き受けいたします。」洋子は、身を正して応えた。

洋子は、カバンの口を開けた。
「実は、必ず『公開』とおっしゃると思いまして、
 教本を作ってしまったんです。」
洋子は、カバンの中から、3冊×2を取り出した。
それを、3冊ずつ、静子と治に渡した。
「わあ、もうできているなんて。」治は、喜びの声を上げた。
「初心者用、中級者用、上級者用。」と3部作である。

「公開までの段取りを、私に任せてくださいますか。
 テレビで公開してしまえば簡単ですが、
 お父様は、もっと丁寧に公開したいとおっしゃいます。
 つまり、この将棋横町の公会堂にファンが集まり、
 そこで、巨大スクリーンを設置して、公開する。
 治さんが、それまでに、将棋をマスターされていれば、
 治さんがお相手をする。
 間に合わないときは、私が、代理でいたします。

 それから、将棋の強さを、さらに確かめます。
 お父様の親友である山口九段のお宅に行って、
 高段者とやってみる。
 皆さんがそろって、お父様の将棋の価値を認めたとき、
 より自信をもって、公開に移れます。
 実は、山口九段のお宅に、連絡しておきました。明日ですが・・。
 みなさん、大喜びでした。」
「まあ、何から何まで、倉田さんは、なんて頼もしいのでしょう。」
静子は、にこにことした。
「はい。倉田さんは、父の希望にしたがって、すべてやってくださっているのですね。」
と治。
「はい。私は将棋を習ううち、高志十段のお人柄のファンになってしまいました。」
洋子はにっこりと笑った。

洋子は、三栄出版にもどり、百合子にことの次第を話した。
百合子は、目を輝かせた。
「洋子ちゃん、明日、あたしも付いて行く。」
「え、百合子先輩は、いりませんよ。」
「必要よ。本にすることになったとき、出版の許可を出せるのはあたしよ。
 あと、社の優良図書に選ばれれば、初めの1000部がタダになるでしょう。
 それもこれもあたしが推薦するわけだし。」
「なるほど。でも、百合子さんは、大川治君に会いたいだけだったりして。」
「そりゃ、会いたいけどね。」
「将棋のとき、おしゃべりしちゃダメですよ。」
「わかってるわよ。」
「じゃあ、来てください。」
「やった!」と百合子は、ガッツポーズをした。

夕暮れになり、治は、長机で、洋子が編集した父の将棋の本を読んでいた。
「お父さんの将棋はどう?」母の静子が麦茶を持ってそばに来た。
「ああ、お父さんはつくづく天才だなあと思ってたの。
 お父さんの将棋は、本を読んでいるだけで楽しいの。
 初心者用のときから、楽しめる。
 それから、倉田さんの編集が素晴らしいの。
 一つの勝負を追って行くだけで、手筋が網羅されてる。
 倉田さんが作った勝負だと思うけど、普通、こんなことできない。」
「そうなの。倉田さんは、お父さんへ、神様の最後のプレゼントだったのね。」
「うん、そう思う。だから、きっとすべてうまくいくよ。」
「そうね。」
治と静子は、にっこりとした。

翌日の午後、洋子と百合子が、大川家にやってきた。
洋子は、百合子を紹介した。

4人で、将棋横町を歩いて行った。
すると道々の人が、治に30連勝の祝いを言ったり、
高志十段のお悔やみを言ったりしてくれた。
治は、大変愛想のいい青年で、町の人に、みんな挨拶を返していた。

目的の山口九段の屋敷に来ると、
女流名人の真理子が出て来て、
「倉田さん、お久しぶりです。」といった。
「真理子さんは、すっかり、大人だわ。」洋子。
「頭だけ大人になりません。」と真理子は言った。

山口九段は、作務衣を着て、にっこり顔を見せた。
「昨日から、楽しみでおれんのですよ。
 高志君の将棋が見たくて、うずうずしていました。
 昔から、高志君は独創性に富んだ棋士でした。」
山口は、静子の姿を見て、
「大変でしたでしょう。悲しみと喜びは、隣り合わせになることが多いですからなあ。」
そう言っていったん引っ込んだ。
8畳の和室に全員が集まり、それぞれ自己紹介をした。
洋子が、将棋横町流の作者であることは、
皆に伏せてもらうよう、昨日の内に頼んでおいた。
高志十段に内緒にしていることは、家族の人にも内緒にしておきたかった。

部屋に並び、それぞれ自己紹介をした。
洋子は、百合子を「上司だ。」と紹介し、
すべての出版に関する決定は、百合子一人で叶うことだといった。

洋子と百合子で、教本3部作を皆さんに配った。
(もうできているなんて、さずが洋子さんですね。)と、
新堂はとなりの工藤に言った。

「さあ、はじめよう。」と山口が言った。
「今日は4人の方に私と対局をしていただき、
 大川高志十段の新しい将棋への感想をいただきたいと思います。
 それを、もとに、出版社へ提案という形を取りたく思います。
 また、教本は、昨日治さんに初めて渡しましたので、
 当分の間、お相手は、私洋子が勤めさせていただきます。
 私は、大川高志十段の将棋を100%再現できますので、ご安心ください。」
真っ先に出て来たのは、好奇心いっぱいの高井真理子だった。
1つの将棋盤の周りを、みんなで囲った。

真理子は、先手「歩」を進めた。
洋子が、思いもよらない所の「歩」を前にする。
真理子が、駒を進める。
みんな、心で、自分ならここ、というところを当てるが、
その予想は、ことごとく外れて行く。
将棋は中盤となり、洋子から激しい攻撃が始まった。
真理子は、それに負けじと応戦したが、
あるとき「あ。」と駒の手を止めた。
「まさか、もう負けたのかしら。少ししかやってないのに。」真理子は言った。
やがて、
「負けました。」真理子は言った。
治と静子は、ほっと胸をなで下ろした。
「うそ。こんなに早く負けるなんて。あたし、女流の名人なんですよ。」
「真理子さん、はい、終わりですよ。感想は後ですからね。」
次の番の新堂が、真理子を追い出した。

次の新堂は六段である。タイトルを3つ取っている。
始まった。
新堂は、真理子戦を見いていただけに、有利だったが、
洋子の将棋に翻弄された。
やがて、直線の集中攻撃を浴びた。
必死で交わしたが、気が付くと、追いつめられていた。
新堂は、将棋盤を見つめ、
「負けました。」そううなだれた。

「工藤さん。俺が言うのもなんですが、勝てたらすごいです。」と小声で新堂は言った。
工藤は、前頭葉が大きく、頭脳の塊のような棋士だった。
過去に24連勝をしたことがあり、治が、よく知っている人だった。

洋子は、前から工藤を知っていて、会う度にこの人には勝てないと、
思う人だった。
工藤とのこの1戦で決まる。
洋子は、腕まくりをした。

(三人の感想)



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