女装小説と自叙伝

性自認男子のISです。
2年間アメリカの学校で女性として過ごしました。
その自叙伝と、創作女装小説です。


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クイズ大会のあとがき


今回のクイズ大会を書き終えることができて、ほっとしています。
クイズ大会は、これまで、今回を入れて3回書きました。
初めは、開明高校のミユとリリ。
どうやって、男子校から女子が出られるようにするか、苦労しました。
2つ目は、スーパー洋子で書きました。
東大生、京大生の二人が圧倒的な強さで、これでは面白くないという
視聴者の声を受けて、スーパー洋子に白羽の矢が放たれます。

そして、今回です。
国立大塚というのは、架空の学校です。今では、養護の施設になっているそうです。
教育大付属大塚校というのが、ありまして、教育大付属駒場校と双璧でした。
大塚校は、男女共学で、実は私は、小6のときに受けました。
見事落ちました。

クイズ大会は、問題が命ですので苦労しました。
私は、木工にはまっているときがあり、ノルウェイ木材を始めから知っていました。
歌詞の中では、安くて低級な木材としてでてきますが、
そんなにひどい木材ではありません。安くて優秀な木材だと思っています。

ビートルズの歌の歌詞、
♪男が女の部屋を開けると、そこは「ノルウェイの森だった」。

これでは、意味不明ですよね。ファンタジーの世界になってしまいます。
しかし、未だに「ノルウェイの森だった。」と訳されているのが、
たくさんあるらしいです。
初めに手にした東芝の翻訳係が誤訳だったと、謝罪してから、
「ノルウェイの森だった」は、少なくなりました。

数列の問題ですが、「究極のクイズこれ1冊」という本に出ていました。
円を、辺で分割していくもので、正解も7本の線で57分割している図がありました。
ところが、私の塾時代、最高クラスの可愛い男の子に解かせたら、
ほんの30秒で正解57を出し、私が目を丸くしていると、
物語では天才君の解き方を教えてくれました。
問題にできたのは、彼のおかげです。

今回は、大塚校に思い入れがあり、
ついつい大塚校に、たくさん正解をさせてしまいました。
途中で、困ったなあ~となりましたが、
5点問題のラスト問題を、5校全部が正解するという風にして、
みんなで喜ぶことができる・・としました。

新入学生に真っ先に読ませたいのは、「カラマーゾフの兄弟」との
アンケ―トに答えたのは、東大であるようです。
物語が「4日間」の出来事であるのは、驚嘆に値する。
と、書いてあったのは、本のあとがきです。
念のため、ネットで調べましたところ、5日が多く、そちらを取りました。

クイズの物語は、けっこう気を遣い、終わってホッとしています。
今回、少しでもお楽しみいただけたのなら、うれしいです。




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やっと最終回です。思い切り長いです。すみません。
読んでくださるとうれしいです。
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国立大塚共学高校「泉水と春美」⑧「クイズ大会終わる」最終回


調整卓の中。
サブ・ディレクター
「チーフ、視聴率が、40%から、ずっと下がりません。
チーフ
「出場者の人柄や、応援団のマナーがいいんだよ。
 大塚の優勝が決まっても、大塚があとどんな問題に答えるか、
 視聴者は、それが見たかったんじゃないかな。」
「ノルウェーの森なんか、頭が下がりましたよね。」
「ああ、春望もすごかった。」

楽屋。
緑陰「もうあたし、大塚さんに勝とうと思ってない。
   もう、ファンとして、応援してる。」
開明「俺、ビートルズの『ノルウェーの森』の歌詞の翻訳見たことあるのね。
   そこで、『男が女の部屋のドアを開けると、そこは、ノルウェイの森だった』。
   これ、意味不明じゃない。ノルウェー産の木の部屋だったならわかる。
   今日それがわかって、すーとした。」
神戸女子「春望もふつうできないよ。意味まで言うなんて、さらにできない。」
天才君「5点問題、1問でもできるように、がんばろうや。」
緑陰「そうね。何か、お土産持って帰りたい。」
オーっと10人は、気合を入れた。

ブースに、10人が揃った。
司会「いよいよ、5点問題です。
   はじめに申しましたが、これは、できたら奇跡。
   できなくて、あたりまえ。
   そんな問題ですので、そうご覧ください。
   では、5点問題1問目。
   はじめは、パネル問題です。
5つのブースにパネルとマジックインクが配られた。

司会「私達は、ある有名大学の文学部に行き、新入の学生に、
   真っ先に読ませたい小説は何ですかと聞きました。
   5人の先生が、口を揃えて言ったのは、
   ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』でした。
   この小説に関する問題です。
   みなさん、この小説を読んだり、
手に取ってぱらぱらしてみたりしましたか。」

10人中8人が手を挙げた。
司会「そうですか。それは、よかったです。
   では、問題です。
アナ「カラマーゾフの兄弟は、ドフトエフスキーの中で、
   1番長い作品です。
   さて、問題です。この小説は、主に何日間のことが綴られていますか。」

応援席から、思わず「ひえ~。」という声がもれた。
加藤が、大森と村野の顔を見ると、二人は、×を作って見せた。

春美が、指を折っていたので、泉水は、
「できそうなの?」と聞いた。
「自信ないけど。」と春美が小声で言った。

やがて、時間が来た。
司会「みなさん、時間です。開明さんから、パネルを見せてください。
開明「1か月です。小説は読んだのですが、時間のことは、全く意識しませんでした。
   長い小説なので、1か月です。」
司会「私なんか、読むだけで、1か月かかります。
   次は、緑陰さん。」
緑陰「最後の問題なので、裏をかいて、案外短いのではと思いました。
   20日くらいと思いましたが、半分にして、10日です。」
司会「わかりました。次は、灘川さん。」
灘川「すいません。二人とも、読んでいません。
   全くの当てずっぽうで、2か月です。」
司会「酷な問題でしたね。次は神戸女子。」
神戸女子「章の数を数えたかったあのですが、思い出せませんでした。
     第8章くらいだと思ったので、8日です。」
司会「わかりました。では、今日数々の難問に応えています大塚さん。」
春美はパネルを見せた。5日である。
「この小説は、好きで何度も読みました。
 大方は4日で、少し余りがあります。それを切り上げることにして、
 5日にしました。」
司会は、ポーカーフェイスを見せながら、
「まさか、まさか、まさか。この問題に正解者がでるとは、思いませんでした。
 全くの驚きです。正解は、4日あるいは5日。
 大塚さん、大正解です!」

わあ~と応援席、出場者は、立ち上がって、大きな拍手を送った。
「もう、春美ったら、すごいんだから。」そう言って、泉水は春美を抱きしめた。

ある家族。
父「全く、これは、人間業を超えてるな。」
母「あたしも文学好きだけど、日にちを言えたりしないわ。」
娘「あたし、来年、国立大塚を受験する。」
父「ああ、そうだな。あの二人に会えるよ。」

加納春美家。
父「春美があんなにできるとは思わなかったな。」
母「ほんとね。普段のんびりしているのに。」
佐和「お兄ちゃん、ボタン押すのも遅いよ。」
由香「様子を見ながら押してる感じね。」

司会「さあ、とうとう、最後の問題になりました。
   最後の問題は、数学です。」
「よし、やったー。」と天才君が言った。
みんなにパネルと定規と紙と、ヒントらしきものが配られた。

司会「数列の問題です。みなさん、スクリーンをご覧ください。」
(解答者には、数列のあるプリントが配られている。)
<数列>
1. 2.4.8.16.31.□・・・

みなさん、あれ?っと思いませんでしたか?
31が、32なら、簡単ですね。
でも、間違いではありません。トンチ問題でもありません。
列記とした、数学の問題です。では、問題。」

アナ「この数列の、7番目の□で隠している数を言いなさい。
この数列は、7番目で終わるものではありません。
必要なら、配られた図形を参考にしなさい。
時間は、20分です。では、始めてください。」

<参考プリント>




(図が横に並びませんでした。すみません。)

応援席からは、スクリーンで、みんなのやっていることが見えている。

みんな、小声で相談している。
緑陰A「円の分割問題よね。」
  B「うん、7本で何分割したかが答えね。」
神戸女子A「7本でも、重なりがあってはだめ。」
    B「たくさん分割できるように、うまく線を引かないとダメ。」
開明A「もらった図形が、かえって邪魔になるな。」
  B「ああ、頂点1つから、始めよう。」
灘川A「定規があるけど、線はちょっとカーブしてもええと思う。」
  B「ちょっと待て。もらった図形にとらわれたらあかんかも知れん。」
  A「どうする?」
  B「普通に解くんや。」
春美「泉水どうしたの?」
泉水「できた気がする。」
春美「円に何も書いてないよ。」
泉水「使わなかった。」
春美「ええ?うそー。見せて。」

5人の解答が仕上がっていくのを見ていた応援団は、
「あ。」
「おおお。」と静かに声を上げた。

司会は、静かに声を上げた。
「はい、みなさん。時間です。パネルに答えを書いてください。」

「この問題は、実は『世界の難問クイズ』という本に出ていて、
 最高ランクの★5つをもらっているものです。
 大変難しいはずです。
 ですから、今日の最終問題にしました。
 では、開明さんから、一言を添えて、答えを見せてください。」
開明「57になりました。ヒントには、頂点5つまでのがありましたが、
   あれでは、6本、7本が書けず、1から書き直しました。
   57を数えるのも大変で、ほんとに苦労しました。」
拍手

緑陰「57になりました。ヒントの円の意味はすぐわかりました。
   ヒントの図を使わず1から始めました。
   今、開明さんと同じ答えだったので、なんか、うきうきしてます。」
拍手

灘川「ぼく達は、線を引くのにうんざりしてしまい、試しに、
   普通の数列の問題のように、差を取って行きました。
   すると、4段目に1,2,3という規則性がみられ、
   次の数を4とし、さかのぼって行き、57を得ました。
   ものすごく、うれしかったです。」

   1,2,4,8,16、31 57
    1 2 4 8  15 ㉖
     1 2 4  7 ⑪
      1 2  3 ④

天才君の「57」を聞いて、神戸女子は、「わああああ・・」と喜んだ。

神戸女子「57です。うれしいです。円を使ってやりました。
     必死にやりました。今まで、ろくに解答できなかったので、
     最後の問題に正解出来たら、泣いてしまうと思います。」

泉水「私も、天才君と同じやり方をしました。
  だったら、合っているかなと、うれしくてたまりません。
  今、5校全部が同じ答えですよね。
  最終問題に、全員が丸なんて、こんなに感動的なことはありません。
  正解が、57であることを祈っています。」

司会「はい、みなさん、すばらしいです。正解は57です。
   最終問題で、全員が正解するなんて、私は今心から感動しています。」
司会は、ハンカチを目に当てた。

緑陰と神戸女子は、互いに抱き合って、泣き出した。
応援の拍手が、続いていた。

調整卓のブース。
チーフは、目の涙を拭いていた。
「こんな感動的なことがあるなんて。
 あまり答えられなかった学校も、最後の正解で、みんな帳消しだ。
 よかった、よかった。記念に残るクイズ大会だった。」
「チーフ。視聴率が、最後に42%行きましたよ。
 大塚校の活躍もありますが、生徒たちの人柄がよかったですね。」
「ああ、こういうクイズ大会も、いいなあと思ったね。」

解答者席から、みんなが下りて、互いに握手をした。
天才君と泉水。
天才「君には参った。最後の数列は、やりかたいっしょだったな。」
泉水「天才君ならどう解くかって、意識してたから。」
春美が女子に囲まれている。
「ねえ、あのカラマーゾフの問題。もう、心の底から感心しちゃった。」
春美「好きな本で、もう何回も読んでたの。」
春美「神戸女子さんの、『チョロイぜ。』が心に残ってる。」
神戸「ああ、あれ、ヒットだったかしら。」
みんなで笑った。

応援席のみんなのところへ行って、挨拶をした。
「みなさん、応援ありがとうございました。」
大きな拍手をもらった。
「加藤君たら、『1問でいいから、答えさせてください』ってお祈りしてたのよ。
と、村野沙月。
「ほんとに、すごかった。女子のエースとして認めるぞ。」と大森由香。
みんな、つられて拍手をして、あれっと首をかしげていた。

校長と副校長がきた。
「泉水さん、春美さん。君たちのおかげで、学校の知名度は、どれだけ上がったでしょう。
 今の女子の制服は、君たちのもの。学校にそれで来ていいですよ。
 女子トイレだけだめね。
 どうみなさん。この二人は、女子の制服で、学校来てもいいですか。」
うおおおおお・・と声が上がり、
「『来てもいいですか』というより、『女子の制服で来てほしい』です。
男子も女子も盛大な拍手を送った。

女子の制服で帰ることにした。
春美は実家に電話をした。
「あの、ぼく。」
佐和が出た。
「お兄ちゃん。お兄ちゃんが、頭がいいの知らなかったって、
 みんなで、もう、腰抜かしたわよ。」
由香が代わった。
「お兄ちゃん。お父さんとお母さんが、
 お兄ちゃんの女装を許すって。
 家でも、外でも、女の子にしか見えないからって。」
春美
「ほんとなの?」
母。
「ほんとよ。女の子の格好でいいわ。」
春美
「今日校長先生が、学校に着て来てもいいって、みんなの諒解とってくれた。」
父。
「春美。お前は女子でいる方が生き生きしている。
 やっとそれがわかった。」
春美
「わあ、ありがとう。」

父も母も、女の子に見られる春美のトラウマに悩んで来たのだった。

泉水が横にいた。
「なんか、いい知らせね。」
春美
「家族が、あたしの女装を許すって。
 家でも、外でもいいって。」
「わあ、よかった。」

泉水の家で、ちょっとしたお祝いの席を用意してくれている。
アシスタントの3人を入れて6人。
「さ、行こう。」
「うん。」
女子の制服の二人は、手をつないで駅へと走った。

<おわり>



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鉄ちゃんさんからご指摘があり、設問で出て来る
ミニコンは、誤りであり、正しくは「マイコン」であるとわかりました。
ここに訂正し、お詫びいたします。

=============================

国立共学大塚高校「泉水と春美」⑦「3点問題後半」


司会「さあ、どんどん行きましょう。」
アナ「数学の歴史上、3大数学者と呼ばれるのは誰。」
開明と灘川に赤丸があがる。
司会「少し早かった開明さん。」
開明「アルキメデス、ニュートン、アインシュタイン。」
司会「ちがいます。数学天才君のいる灘川さんは?」
灘川「アルキメデス、ニュートン、ガウスです。」

司会「(少しもったいぶって)灘川さん正解!
わあ~~~と応援団の声。
司会「(灘川校に来て、天才君に)ガウスはなかなか出ないと思うんですが。」
天才君「いえ、子供のとき、1~100までの和を1分で解いてしまったり、
   言葉より、数字を先に覚えたりのエピソードがあります。
   それから、ガウスは長命でしたので、ものすごくたくさんの
   業績を残しました。ぼくの憧れの人でもあります。」
司会「そうですか。天才君の情熱が伺えるお言葉でしたね。
   開明さん。アインシュタインは、物理学者だと思います。」
司会「さあ次に行きましょう。」
アナ「「音楽の父はバッハ」。「神童モーツアルト」のように、
   偉大な音楽家は、よく冠言葉を添えて呼ばれます。
   では、フランツ・リストはどう呼ばれていますか。」
3校、赤丸があがる。
司会「一番早い、緑陰さん。」
緑陰「ピアノの詩人。」
司会「ああ、惜しいですね。ピアノの詩人はショパンです。
   次、神戸女子。」
神戸女子「ピアノの魔法使い。ちょっと変ですね。」と自ら言ったので、
会場に笑い声。

「あれよ、あれ。」
「そう、もう答えが出たようなもの。」
大森と村野はまた念力に訴えた。

司会「では、大塚さん。」
泉水「はい。ピアノの魔術師です。」

「やったー!」と大森と村野心で。

司会「正解です。さあ、次の問題。」
アナ「PCとは、パーソナル・コンピュータ、略してパソコン。
   さて、パソコンの前の世代、テレビ画面をスクリーンとして使った
   家庭用コンピューターをなんと言うでしょう。」
全学校、赤丸が上がる。
司会「一番早かった神戸女子」
神戸女子「はい。マイコンです。」
司会「正解。」
神戸女子の二人は、久々の解答で、手を取りあって喜んだ。

司会「さあ、問題は、むずかしくなっていきそうですよ。」
アナ「約50年間のロングセラーを誇る(J.D サリンジャー)の青春小説があります。
   訳本が2つありますが、タイトルが違います。
   両方のタイトルを言いなさい。」
司会「はい、開明さん。」
開明「「ライ麦畑でつかまえて」もう一つは「キャッチャー・イン・ザ・ライ」です。」
司会「正解です。なんか、胸をなで下ろしている人もいますね。」
緑陰「ライ麦畑(で)か、(の)かわからなかったんです。」
神戸「それに、『捕まえ手』なのか『つかまえて』なのか、わからなかったんです。
   『キャッチャー』だから、『捕まえ手』ですよね。
司会「この訳は、『捕まえ手』をあえて「つかまえて」と、
   女の子が男の子に言っているように訳されたことで、
   人気が出たと言われているようです。アリスさんどうですか。」
アリス「厳密には、『ライ麦畑の捕手』ですからね。
    邦訳の方がずっとステキだと思います。」

場内から、何に対してか、拍手が起こった。

司会「みなさん。今回は、私が、のんびりやっていることに、お気づきですか。」
はーいと、大勢が手を挙げた。
司会「そうなんです。1点問題60がなくなりましたでしょ。
   だから、その分余裕なんです。」
あ~あ、と会場。

司会「次は、むずかしいかな?」
アナ「村上春樹さんの作品に「ノルウェイの森」というのがあります。
   これと同名のビートルズの曲があります。
   さて、ビートルズの「ノルウェイの森」とは、何を意味していますか。」

これは、知らないとばかり、皆、頭をかかえていた。
応援団も同じである。
「村野、どうだ。」と加藤が言った。
「お手上げよ。」
「あたしも。」と大森。

会場が、シーンとなったときに、泉水がボタンをおした。
司会は、驚いてそばに来た。
司会「まさか、まさか、知っているのですか?」
春美も、泉水を見つめた。
泉水「はい、多分。ビートルズのノルウェーの森は、
   ノルウェー産の木材のことです。」
司会「そうですか。もっと語ってください。
泉水「英語の題名は、ノーウェイジアン・ウッドで、
   wood は、the wood と定冠詞the を付けないと、森とはならず、
   ふつう木材という意味になります。
   ノルウェー産の木材は、松の仲間で、安価で、よく燃えます。
   ビートルズの歌詞では、男が知り合った女の部屋に行き、
   その部屋が、ノルウェー産の木材でできた部屋だったので、
   密かに、女をバカにします。
   最後に、女の部屋に火をつけて、
   「ノルウェーの木材は、よく燃えるぜ。」
   と言ったりします。
   だから、ビートルズは、明らかに、「ノルウェーの木材」という意味で、
   歌詞を書いています。
   「ノルウェーの木材」では、歌にも小説の題にもならないので、
    ビートルズも、村上春樹さんも、百も承知で、『森』にしました。」

泉水が語り終わったとき、しばらく静寂が訪れ、
その内、出場者、応援団立ち上がって、大きな拍手を送った。

加納春美の家
父「いやあ、やるもんだね。泉水さんの「ノルウェイの森」はすごかったな。」
佐知「あの二人、交代してるのよ。」
母「どういう意味。」
佐和「はじめの2点問題は、お兄ちゃんばっか、答えてたじゃない。
   3点問題は、泉水さんばっかり答えてる。」
由香「そんな余裕ないわよ。みんな、有名校のトップ2よ。」
佐和「お兄ちゃんだって、トップ2じゃない。」
由香「あ、そうね。」
母「どちらにしても、二人の学力が、思ったより高いことは分かったわね。」
佐和「ノルウェイの森」重たかったから、今度は、お兄ちゃん答えるわよ。
佐和は、ニヒヒと笑った。
そんなことは、ちっともなかったのだ。

司会「みなさん。お気づきのように、優勝は、大塚さんに、
   ほぼ決まりです。
   ほぼ、というのは、私が吊られて、「あと3点」「あと5点」
   などという場合、違ってきます。
   また、5点問題を1問でもとこうとか、
   まだまだ、各校の目標があると思います。
   では、元気を出して、行きましょう。おー!」
出場者、応援団、気合を入れた。

司会「では、最後の3点問題。おまけが3点ついています。出題どうぞ。」
アナ「国破れて山河在り・・」
灘川から赤丸。
司会「はい、灘川。」
灘川「杜甫の春望です。」
司会「残念、お手つきです。
   お手つきを2回続けますと、次の問題の解答権がなくなります。」

アナ「国破れて山河在りとはじまる、杜甫の『春望』ですが、
   初めの2行、国破れて山河在りは、よく知られていますが、
   終わりの方は、あまり知られていません。
   では、『春望』の終わりの2行を言いなさい。」

これも、また、解答者は、頭を抱えている。
応援席も、腕を組んだり、首を曲げている。
中学の教科書にあったが、半分まで出ても、後が出て来ない。
「あたしが、答えるよ。」と春美。
「お願い、あたしダメ。」と泉水。
春美は、そろりとボタンを押した。

それから10秒経っても、他校から赤丸が上がらない。

司会者「(静かな声で)時間です。大塚さんから赤丸が上がっています。
みんなは、春美を見た。
「では、言います。
 白頭掻いて 更に短かし
はくとうかいて さらにみじかし
渾べて簪に 勝えざらんと欲す
すべてしんに たえざらんとほっす」

司会「お見事!正解です。
場内からすごい拍手が起きた。
司会「大塚さんは、恐らくこの詩を全部言えるんですね。」
春美「はい、なんとか思い出しながらなら。」
司会「この最後の部分の意味を言えれば、あと3点もらえることになっています。」
春美「はい。白くなってしまった頭を掻くたびに、髪はさらに短くなり、
   もうかんざしを挿すことさえ、むずかしくなってきている。」

司会(拍手をしながら)「完璧です。大正解です。」
会場は、スタンディング・オべイション。
泉水は春美を抱きしめた。
拍手の中で、司会は、3点問題の終了、そして、5分の休憩を告げた。

春美の家。
父「いやー、我が子だと冷や冷やするな。」
母「ほんと、今のでどっと疲れちゃった。」
佐和「ところで、あたし、お兄ちゃんのこと、ずーと女の子だと錯覚してた。
由香「そう、泉水さんと抱き合ってても、何とも思わなかった。」
父「俺も。」
母「私も。」

(次回は「5点問題突入」最終回です。)




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