安藤健二「パチンコがアニメだらけになった理由」にツッコまない | だからオイラはダメなんだ。
このブログでは、谷村ひとしの著作2冊にツッコみを入れてきました。

谷村ひとし「負けないパチンコ学」にツッコむ
谷村ひとし「財布に優しいパチンコ学」にツッコむ

そして、谷村ひとしの本が出版されてから、にわかにパチンコ本ブームが起こっているようです。

若宮健「なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか」
安藤健二「パチンコがアニメだらけになった理由」
POKKA吉田「パチンコがなくなる日」

谷村ひとしの本だけでなく、これらの本もちょっと感想を書いてみようと思い立ってみました。


という訳でまずは、こちらから。

パチンコがアニメだらけになった理由(わけ)パチンコがアニメだらけになった理由(わけ)
安藤 健二

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「封印作品の謎」などを手がけてきた著者。
この本も、ルポタージュ形式で書かれており、全くパチンコをやらない人間だった著者が、取材や調査で「パチンコメーカーとアニメ製作会社との関係」を洗い出していく形になっている。

パチンコをやらない人間に、こんな本を書かせようと思った編集にまずビックリしたが、
それが逆にパチンコ業界に接点を持たない著者だったからこそ、調査していく内に一般人には驚かされる業界の体質にいくつも遭遇することになる。
パチンコ業界の閉鎖性、アニメ業界のパチンコとのスタンスなどが露になって行き、読者も改めてパチンコ業界が特殊な業界であることに気付かされていく。

「パチンコがアニメだらけになった理由」なんて、パチンコやアニメの世界を知ってる人なら、その理由を想像することは難しくないんですが、(ぶっちゃけ『あなたの思ってる通りの理由』という結論になるんですが…)
タイトルの答えだけ知りたいなら、最後の数ページ見れば答えが書いてあります。
しかし、この本は、その"答え"に筆者が辿り着くまでの過程を楽しむ本。

著者自ら、パチンコメーカー、アニメ製作会社、アニメ雑誌編集者、元パチンコ雑誌編集者などへの取材やインタビュー、
経済誌、各種白書、パチンコ雑誌やアニメムックの記事などの資料を調査していて、しっかりと証言、データ、裏付けを取っており、そこは好感が持てる。
「牙狼」のヒット要因を探るため、DVD全25話を見るなんて、中々出来るモンじゃない。

前半、パチンコで大人気コンテンツである「エヴァ」を通し、「エヴァ」がパチンコにもたらした影響を記しているが、パチンコのルールや、その経緯を知っているパチンコファンが読むと、ちょっとダルく感じてしまう。
しかし、それを乗り越えると非常に興味深い話が続き、とても面白くなる。
パチンコメーカーがアニメを求める理由、逆にアニメ製作会社がタイアップを望む理由、それらが、関係者へのインタビューを交えて書かれている。
「牙狼」の開発者インタビューの『「牙狼」が採用された理由』や、ジーベックの『DVDが売れない』という話は非常に興味深く読ませてもらった。

終わりの方では、パチンコとアニメが関係を持つことによる弊害についても書かれている。
パチンコとアニメが向かう先にあるのは、『共生』なのか『共倒れ』なのか…。

さて、面白く読ませてもらったものの、タイトルで損をしている気がする。
1600円のソフトカバー本なのだから、もう少し堅めのタイトルでもよかったかもしれない。
逆に、このタイトルなら新書で出した方が、書店で他のパチンコ本と一緒に並べられる統一が出来たと思う。

是非とも、著者には続編として「パチンコが芸能人だらけになった理由」を書いてもらい、どれだけお金が動いてるのか、明らかにしてもらいたいですね。










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