昨日、滋賀県にある不動産会社の社長と2時間ばかりいろいろな話をしていたが、なかなかおもしろかった。特に税金と不動産に関する事。税金については、『商売人はもっと勉強し、怒りを持たんといかん』として、経営者は余りにも税金を払いすぎていて、それを政治家と官僚たちが好き勝手に使っているのだと熱弁。至極納得できる話だった。


『将来の日本の不動産のことを考えると、ファンダメンタルズが(日本語では経済の基礎的条件と略す)が悪すぎる。最も大きいのは人口の減少だ。』と、この社長も私とやはり同じことを考えていたのだ。


『滋賀県は2030年目まで人口が増え続ける稀な県だが、それでも、マンションや戸建住宅の市場は悪い。なかなか売れていない。もちろん、県内の地域によっても違うだろうが、供給が需要を上回っている。だが、関西で言えば、大阪、京都、神戸の一部地域はともかく、大方、滋賀県よりも状況は悪い。』


確かに不動産事業にとって、人口は最も重要なファンダメンタルズであり、減少の影響は極めて大きいだろう。その中で、昨日の話では幾つかのヒントがあった。


人口減少下でも、日本の経済社会を発展させるための政策を推進することだ。そのために海外からのマネーを引き寄せる必要がある。アジアの富裕層にとって日本の魅力は何かといえば、例えば、中国ならば福禄寿の「寿」の要素だろう。つまり、健康で長生きしたいと考える人が多いことをどうビジネスに活かしていくか。日本の医療技術は世界一であり、また、自然環境や温泉などの療養地に恵まれたところがたくさんある。中国語を話せるスタッフを配置して、「チャイナシティー」を作り、中国人向けの保養施設を建設する。こんな構想も経済成長を促す一手であろう。


日本人で派遣会社に勤めていた者が、仕事がないからといって、すぐさま介護の仕事に就けるだろうか? 介護には高齢者とのコミュニケーション能力が必要だ。わずらわしいコミュニケーションするのが嫌で、製造業のラインの仕事に就いていた者に、その性格や価値観を変えろといっても無理な話だ。であれば、小さい頃からそんな訓練を受けて、キリスト教を信心している者や性格が明るい者が多い、フィリッピンの若い女性に介護の仕事に就いてもらった方が良い。


不動産事業を、いや、日本の経済そのものを活性化させるためにも、今後、日本は人材開国、金融開国を促し、また様々な規制を取っ払ってより自由な経済活動を行なうようにせねばならない。


今のシステムは、人口が増加する事を前提として作り上げられたものだ。中国が来年GDPで日本を抜き、インドもいづれ追い抜く。ベトナムやインドネシア、フィリッピンなどはこれからも人口が増え続け、経済も成長していく。こんな時代を迎え、経済社会の大胆な変革がない限り、日本は明治以降150年ほど成長繁栄したが、その後は極東の片隅にある小さな国として生きながらえていることになるかも知れないのだ。


こんな話で意気投合した。


日本とアジア諸国がひとつの経済圏を作る。これには、当然人口の移動が伴う。日本人がより一層アジアの国々に出て行くと共に、海外から日本にやってくる人たちを増やすことに他ならない。移民をたくさん受け入れれば日本の文化や伝統が破壊されるという人もいるが、教育システムをしっかり構築すればそんなことにはならないだろう。現状を見るとむしろ日本人そのものが、日本の文化や伝統に対して無知なのではないだろうか。


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