読んだ本
日本原爆論大系 第3巻 原爆被害は国境を越える
坂本義和・庄野直美 監修
中島竜美 編
日本図書センター
1999.06
ひとこと感想
ヒロシマ、ナガサキにおいて被爆した韓国・北朝鮮人、中国人、海外在住(北米・南米)日系人たちのその後と、日本と日本人への彼らの訴えを紹介。なおここには、当時捕虜となっていた人たちは含まれていない。
***
1 原爆被害の裏側
核権力と自由 (以下より抄出)
核権力 ヒロシマの告発 金井利博 三省堂 1970.06
さまざまなテーマが盛り込まれているが、特に強調されているのは被爆者差別の問題である。差別とは、生活上の差別のみならず、補償についての差別もあり、さらには、意識上の差別もある。
しかしそれだけではなく、「日本の政府と核産業は、広島・長崎からの「離陸」ばかりをあせって、「定礎」する決意を忘れているのではないか」(51ページ)というように、原爆投下と原発開発との関係性についても問いかけを行っている。
「原爆犠牲は戦後処理の問題として厚生省と平和運動諸団体にまかせ、核産業は職場と環境の安全保障対策の問題に限定して日本の核産業の基本姿勢について労働組合から問いただすことも少ない。」(52ページ)
2 南米・北米のヒバクシャ
私たちは敵だったのか (以下より抄出)
私たちは敵だったのか 在米被爆者の黙示録 袖井林二郎 在米被爆者の黙示録 岩波同時代ライブラリー 1995.08
北米の被爆者について。米国被爆者協会がつくられたのは、1965年のことであり、それまでは各人が孤立していた。
米国原爆被爆者協会の歩み (以下より抄出)
米国原爆被害者協会作成資料 米国原爆被爆者協会 1999.02
1977年以降になってようやく広島県医師会を中心に隔年で医師団を米国に派遣するようになる。およそ北米には約1,000人の被爆者がいる。
ボンバ・アトミカ 南米に生きる被爆者たち 三カ国の百数十人が母国の援助を求めていた 藤原茂 潮 潮出版社 1985.01
ブラジル、アルゼンチン、パラグアイに住んでいる人たちへのインタビューが含まれている。このなかに、まるで黒澤明の「生きものの記録」にあるような、核戦争を避けるために広島からブラジルに移住したという人のインタビューもある。
竹下登衆議院議員宛ての「要請書」 在ブラジル原爆被爆者協会 1990.03
井手正一厚生大臣宛ての「要請書」 在ブラジル原爆被爆者協会 1994.12
米国原爆被爆者協会と在ブラジル原爆被爆者協会宛ての「書簡」 韓国原爆被害者協会 1995.04
在南米原爆被爆者実態調査 在ブラジル原爆被爆者協会 1989.02
ブラジル=153名(内、長崎出身が58名)、アルゼンチン=19名(内、長崎出身が7名)、ボリビア=8名(内、長崎出身が8名)、パラグアイ=4名(内、長崎出身が1名)、ペルー=4名(内、長崎出身が0名)。
3 もう一つのヒロシマ・ナガサキ
被爆朝鮮人問題と「朝被協」 (以下より抄出)
白いチョゴリの被爆者 李実根 広島県朝鮮人被爆者協議会編 労働旬報社 1979.07
当時広島市に在住していたとみられる朝鮮人数 53,000人
その内、被爆者数 48,000人
その内、被曝によって1年以内に死亡もしくは行方不明 30,000人
その内、被曝後半島に帰国したもの 14,000人
その内、広島県内に在住するもの 2,200人 (県原対部)
その内、広島県外に在住するもの 800人
(人数はみな推定)
長崎朝鮮人被爆者実態調査 高実康稔 (以下より抄出)
朝鮮人被爆者 ナガサキからの証言 ナガサキ在日朝鮮人の人権を守る会編著 社会評論社 1989.12
4 在韓被爆者は訴える
「在韓被爆者実態調査共同報告書」(以下より抄出)
韓国教会女性連合会/韓国の原爆被害者を救援する市民の会 編 1983.08
韓国には約2,300人の被爆者がいる。
国家と被爆者 孫振斗さん勝訴の意味
無援の海峡 ヒロシマの声、被爆朝鮮人の声 平岡敬 影書房 1983.12
被爆者健康手帳訴訟最高裁判判決 最高裁判所第一小法廷 1978.03
朝鮮人被爆者 孫振斗裁判の記録 被爆者補償の原点 在韓被爆者問題市民会議 1998.01
原爆被爆者対策の基本理念及び基本的在り方について 原爆被爆者対策基本問題懇談会
同上
孫判決の波紋 中島竜美
同上
在外被爆者の援護に関する要請書
小渕恵三内閣総理大臣宛ての「要請書」 韓国原爆被害者協会・米国原爆被爆者協会・在ブラジル原爆被爆者協会・日本原水爆被害者団体協議会 1998.11
5 強制連行された中国人被爆者
中国人被爆者・癒えない痛苦 獄中被曝の真相を追う 強制連行された中国人被爆者との交流をすすめる会 編 明石書店 1995.05
6 被爆者補償
被爆者援護の法理 小川政亮
在韓被爆者問題を考える(シバシン文庫9) 在韓被爆者問題市民会議編 凱風社 1988.09
在外被爆者への被爆者法の適用 田村和之
三菱広島・元徴用工被爆者裁判(広島地裁)に提出した「意見書」 1998.10
政府提出「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律案」をめぐる国会論議
第131回国会衆議院厚生委員会議録 第9号 1994.12、第10号(その1)
1994.11
日本原爆論大系 第3巻 原爆被害は国境を越える
坂本義和・庄野直美 監修
中島竜美 編
日本図書センター
1999.06
ひとこと感想
ヒロシマ、ナガサキにおいて被爆した韓国・北朝鮮人、中国人、海外在住(北米・南米)日系人たちのその後と、日本と日本人への彼らの訴えを紹介。なおここには、当時捕虜となっていた人たちは含まれていない。
***
1 原爆被害の裏側
核権力と自由 (以下より抄出)
核権力 ヒロシマの告発 金井利博 三省堂 1970.06
さまざまなテーマが盛り込まれているが、特に強調されているのは被爆者差別の問題である。差別とは、生活上の差別のみならず、補償についての差別もあり、さらには、意識上の差別もある。
しかしそれだけではなく、「日本の政府と核産業は、広島・長崎からの「離陸」ばかりをあせって、「定礎」する決意を忘れているのではないか」(51ページ)というように、原爆投下と原発開発との関係性についても問いかけを行っている。
「原爆犠牲は戦後処理の問題として厚生省と平和運動諸団体にまかせ、核産業は職場と環境の安全保障対策の問題に限定して日本の核産業の基本姿勢について労働組合から問いただすことも少ない。」(52ページ)
2 南米・北米のヒバクシャ
私たちは敵だったのか (以下より抄出)
私たちは敵だったのか 在米被爆者の黙示録 袖井林二郎 在米被爆者の黙示録 岩波同時代ライブラリー 1995.08
北米の被爆者について。米国被爆者協会がつくられたのは、1965年のことであり、それまでは各人が孤立していた。
米国原爆被爆者協会の歩み (以下より抄出)
米国原爆被害者協会作成資料 米国原爆被爆者協会 1999.02
1977年以降になってようやく広島県医師会を中心に隔年で医師団を米国に派遣するようになる。およそ北米には約1,000人の被爆者がいる。
ボンバ・アトミカ 南米に生きる被爆者たち 三カ国の百数十人が母国の援助を求めていた 藤原茂 潮 潮出版社 1985.01
ブラジル、アルゼンチン、パラグアイに住んでいる人たちへのインタビューが含まれている。このなかに、まるで黒澤明の「生きものの記録」にあるような、核戦争を避けるために広島からブラジルに移住したという人のインタビューもある。
竹下登衆議院議員宛ての「要請書」 在ブラジル原爆被爆者協会 1990.03
井手正一厚生大臣宛ての「要請書」 在ブラジル原爆被爆者協会 1994.12
米国原爆被爆者協会と在ブラジル原爆被爆者協会宛ての「書簡」 韓国原爆被害者協会 1995.04
在南米原爆被爆者実態調査 在ブラジル原爆被爆者協会 1989.02
ブラジル=153名(内、長崎出身が58名)、アルゼンチン=19名(内、長崎出身が7名)、ボリビア=8名(内、長崎出身が8名)、パラグアイ=4名(内、長崎出身が1名)、ペルー=4名(内、長崎出身が0名)。
3 もう一つのヒロシマ・ナガサキ
被爆朝鮮人問題と「朝被協」 (以下より抄出)
白いチョゴリの被爆者 李実根 広島県朝鮮人被爆者協議会編 労働旬報社 1979.07
当時広島市に在住していたとみられる朝鮮人数 53,000人
その内、被爆者数 48,000人
その内、被曝によって1年以内に死亡もしくは行方不明 30,000人
その内、被曝後半島に帰国したもの 14,000人
その内、広島県内に在住するもの 2,200人 (県原対部)
その内、広島県外に在住するもの 800人
(人数はみな推定)
長崎朝鮮人被爆者実態調査 高実康稔 (以下より抄出)
朝鮮人被爆者 ナガサキからの証言 ナガサキ在日朝鮮人の人権を守る会編著 社会評論社 1989.12
4 在韓被爆者は訴える
「在韓被爆者実態調査共同報告書」(以下より抄出)
韓国教会女性連合会/韓国の原爆被害者を救援する市民の会 編 1983.08
韓国には約2,300人の被爆者がいる。
国家と被爆者 孫振斗さん勝訴の意味
無援の海峡 ヒロシマの声、被爆朝鮮人の声 平岡敬 影書房 1983.12
被爆者健康手帳訴訟最高裁判判決 最高裁判所第一小法廷 1978.03
朝鮮人被爆者 孫振斗裁判の記録 被爆者補償の原点 在韓被爆者問題市民会議 1998.01
原爆被爆者対策の基本理念及び基本的在り方について 原爆被爆者対策基本問題懇談会
同上
孫判決の波紋 中島竜美
同上
在外被爆者の援護に関する要請書
小渕恵三内閣総理大臣宛ての「要請書」 韓国原爆被害者協会・米国原爆被爆者協会・在ブラジル原爆被爆者協会・日本原水爆被害者団体協議会 1998.11
5 強制連行された中国人被爆者
中国人被爆者・癒えない痛苦 獄中被曝の真相を追う 強制連行された中国人被爆者との交流をすすめる会 編 明石書店 1995.05
6 被爆者補償
被爆者援護の法理 小川政亮
在韓被爆者問題を考える(シバシン文庫9) 在韓被爆者問題市民会議編 凱風社 1988.09
在外被爆者への被爆者法の適用 田村和之
三菱広島・元徴用工被爆者裁判(広島地裁)に提出した「意見書」 1998.10
政府提出「原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律案」をめぐる国会論議
第131回国会衆議院厚生委員会議録 第9号 1994.12、第10号(その1)
1994.11
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