聴いた曲
Roulette
Bruce Springsteen
1979.04
(シングル「One Step Up」のB面)
アルバム収録
Tracks
1998.11
「Disk 2」の3曲目
***
ブルース・スプリングスティーン「ルーレット」は、1979年4月3日に録音された、とウィキペディアに書かれている。
この日付、もしも本当であるとすれば、かなりすごい話である。
なぜならば、スリーマイル島原発事故が起こったのが、1979年3月28日だからである。
わずか、6日後。
あまりにも早すぎないだろうか・・・
ちなみに、映画「チャイナ・シンドローム」が公開されてから18日後でもあり、もしかすると、この映画の影響とも考えられるのではないだろうか。
いや、それとも、TMI事故のあと、ただちにつくったからこそ、しばらくのあいだ、リリースされなかったのかもしれない。
ここには、三つの理由が考えられる。
第一に、彼らの音楽性とこの曲の政治性が、うまく調和がとれなかったということ。
他の曲が特に政治色がついていないにもかかわらず、一曲だけこういう曲を入れるのば、アンバランスであろうから、しばらくのあいだ陽の目を見なかったのかもしれない。
ただし、ファンのあいだでは、「幻の曲」として、常にうわさされもしていたようである。
第二に、歌詞の内容が、非常に「映画的」であり、TMI事故の現実と大きく乖離したこと。
歌詞の内容は、大雑把に言うと、子どもが何人かいる家族が、原発事故が起こるなか、あわてて避難する、というもの。
「ルーレット」とは、すなわち、原発事故は、「ばくち」のように、突然、「あたる」ことがある、ということである。
ただし、チェルノブイリ事故のあと、あらためてこの曲が注目され、ライブでもしばしば演奏されている。
よりこの曲の内容にリアリティが増したからであろう。
それはさらに2011年以降、フクシマ事故を経て、より一層、話題になる。
しかし第三に、一部の人たちは、この「歌詞」に問題がある、と考えている。
後半部分で、家族を車に乗せて原発の町を逃げ出そうとした矢先、主人公の男は検問で警官に車を止められた際、気が動転して、家族を捨てて車から降りて駆け出してしまうのである。
アメリカ的なファミリーのイメージからすると、こうした夫(パパ)はどう考えても「理想」的ではない。
むしろ望ましくない父親像であるといえる。
こうした歌詞をもつがゆえに、この曲はしばらくのあいだ「お蔵入り」していたのではないか。
それが、前述したような理由で世間の注目を浴びたり、時流がこの曲を自然なものと受け止めるようになり、彼らは、この曲をこれまでのアルバム未収録曲とともに「トラックス」に収めたのではないか。
以下、大雑把な意訳をしておく(あくまでも「意」であり、正確な訳ではない)。
***
ルーレット
放り出したおもちゃ
あわてて逃げ出す俺たち
妻と子どもと一緒に
鍵さえかけることなく
あわてて荷造り
積めるだけ車に積んで
何が起きたかなんて
誰も知っちゃいない
ただ急にすべてが
おかしくなっただけ
教えてくれよ、なあ
知りたいんだ
聞こえる声はどれも
何言ってるか意味不明
でも、分かったよ、これが
どんな遊びなのかは
ルーレットさ
これは
ルーレットだ
ゲームだろ
ルーレットだろ
何言ってんだ
ルーレットを
やらされてんだよ
ここは俺の育った町
何も変わっちゃいない
違うのは、ただ
ほんの少しだけ
たくさんの思い出は
もう無意味だろう
もうそこまで
影がやって来ている
わけのわからないものが
俺の家を包んでいる
いやなものでもう
いっぱいだ
俺は消防士だった
誇りをもっていたさ
けど騙されていた
気分は最悪だぜ
ぼろ雑巾のように
こき使われて
もういいって一体
何言ってるんだ
急にやめられる
わけがないだろ
別の奴がまた
代わりになるんだろ
ルーレットで
俺が遊ばれてる
ルーレットで
妻と子が遊ばれている
ルーレットの
賭けだけが盛り上がっている
ルーレットは
引き金に手をかける
駆け下りた川にさえも
声が聞こえてくる
サーチライトも
暗闇に光っている
やかましい音が
無線から聞こえてくる
通りはどこも
奴らが見張っている
気づけよ、俺はもう
今までの俺じゃない
奴らが探しているのは
もう俺じゃないのに
やみくもに車を走らせて
やっと一息ついたはずが
州を抜ける一歩手前で
検問に引っかかっちまった
奴らは引き止める
俺はあせって逃げ出す
聞きたいことがあるだけ
って言うが、俺には
言いたいことなんか
ひとつもない
信じられるわけない
信用できる奴なんていない
力になるって何のことだ
そんなわけないだろ
奴らはだた続けたいのさ
そうあのゲームを
ルーレットで
俺が遊ばれてる
ルーレットで
妻と子が遊ばれている
ルーレットは
要はロシアン・ルーレット
ルーレットの
あたりくじを引け
ルーレットが
頭をぶっ飛ばす
ルーレットが
終わりそうだぜ
ルーレットが
もうすぐ決めるさ
やばいぞこれは
Roulette
Bruce Springsteen
1979.04
(シングル「One Step Up」のB面)
アルバム収録
Tracks
1998.11
「Disk 2」の3曲目
***
ブルース・スプリングスティーン「ルーレット」は、1979年4月3日に録音された、とウィキペディアに書かれている。
この日付、もしも本当であるとすれば、かなりすごい話である。
なぜならば、スリーマイル島原発事故が起こったのが、1979年3月28日だからである。
わずか、6日後。
あまりにも早すぎないだろうか・・・
ちなみに、映画「チャイナ・シンドローム」が公開されてから18日後でもあり、もしかすると、この映画の影響とも考えられるのではないだろうか。
いや、それとも、TMI事故のあと、ただちにつくったからこそ、しばらくのあいだ、リリースされなかったのかもしれない。
ここには、三つの理由が考えられる。
第一に、彼らの音楽性とこの曲の政治性が、うまく調和がとれなかったということ。
他の曲が特に政治色がついていないにもかかわらず、一曲だけこういう曲を入れるのば、アンバランスであろうから、しばらくのあいだ陽の目を見なかったのかもしれない。
ただし、ファンのあいだでは、「幻の曲」として、常にうわさされもしていたようである。
第二に、歌詞の内容が、非常に「映画的」であり、TMI事故の現実と大きく乖離したこと。
歌詞の内容は、大雑把に言うと、子どもが何人かいる家族が、原発事故が起こるなか、あわてて避難する、というもの。
「ルーレット」とは、すなわち、原発事故は、「ばくち」のように、突然、「あたる」ことがある、ということである。
ただし、チェルノブイリ事故のあと、あらためてこの曲が注目され、ライブでもしばしば演奏されている。
よりこの曲の内容にリアリティが増したからであろう。
それはさらに2011年以降、フクシマ事故を経て、より一層、話題になる。
しかし第三に、一部の人たちは、この「歌詞」に問題がある、と考えている。
後半部分で、家族を車に乗せて原発の町を逃げ出そうとした矢先、主人公の男は検問で警官に車を止められた際、気が動転して、家族を捨てて車から降りて駆け出してしまうのである。
アメリカ的なファミリーのイメージからすると、こうした夫(パパ)はどう考えても「理想」的ではない。
むしろ望ましくない父親像であるといえる。
こうした歌詞をもつがゆえに、この曲はしばらくのあいだ「お蔵入り」していたのではないか。
それが、前述したような理由で世間の注目を浴びたり、時流がこの曲を自然なものと受け止めるようになり、彼らは、この曲をこれまでのアルバム未収録曲とともに「トラックス」に収めたのではないか。
以下、大雑把な意訳をしておく(あくまでも「意」であり、正確な訳ではない)。
***
ルーレット
放り出したおもちゃ
あわてて逃げ出す俺たち
妻と子どもと一緒に
鍵さえかけることなく
あわてて荷造り
積めるだけ車に積んで
何が起きたかなんて
誰も知っちゃいない
ただ急にすべてが
おかしくなっただけ
教えてくれよ、なあ
知りたいんだ
聞こえる声はどれも
何言ってるか意味不明
でも、分かったよ、これが
どんな遊びなのかは
ルーレットさ
これは
ルーレットだ
ゲームだろ
ルーレットだろ
何言ってんだ
ルーレットを
やらされてんだよ
ここは俺の育った町
何も変わっちゃいない
違うのは、ただ
ほんの少しだけ
たくさんの思い出は
もう無意味だろう
もうそこまで
影がやって来ている
わけのわからないものが
俺の家を包んでいる
いやなものでもう
いっぱいだ
俺は消防士だった
誇りをもっていたさ
けど騙されていた
気分は最悪だぜ
ぼろ雑巾のように
こき使われて
もういいって一体
何言ってるんだ
急にやめられる
わけがないだろ
別の奴がまた
代わりになるんだろ
ルーレットで
俺が遊ばれてる
ルーレットで
妻と子が遊ばれている
ルーレットの
賭けだけが盛り上がっている
ルーレットは
引き金に手をかける
駆け下りた川にさえも
声が聞こえてくる
サーチライトも
暗闇に光っている
やかましい音が
無線から聞こえてくる
通りはどこも
奴らが見張っている
気づけよ、俺はもう
今までの俺じゃない
奴らが探しているのは
もう俺じゃないのに
やみくもに車を走らせて
やっと一息ついたはずが
州を抜ける一歩手前で
検問に引っかかっちまった
奴らは引き止める
俺はあせって逃げ出す
聞きたいことがあるだけ
って言うが、俺には
言いたいことなんか
ひとつもない
信じられるわけない
信用できる奴なんていない
力になるって何のことだ
そんなわけないだろ
奴らはだた続けたいのさ
そうあのゲームを
ルーレットで
俺が遊ばれてる
ルーレットで
妻と子が遊ばれている
ルーレットは
要はロシアン・ルーレット
ルーレットの
あたりくじを引け
ルーレットが
頭をぶっ飛ばす
ルーレットが
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