「父親の見舞い」とは長野のそばを食い歩いて地の野菜を買い込む事である。 | C.I.L.

「父親の見舞い」とは長野のそばを食い歩いて地の野菜を買い込む事である。

というわけで、今年も 「体調の悪い父上様のお見舞い」 という名目で長野の穂高へ行って来た。

この穂高ってのが良い場所でねえ。思ったほど寒くないし、あちこち遊んで回るベースキャンプとして申し分ない立地だし、そこに無料の宿泊所(親の家) があるってのはとても幸せな事である。


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そんなこんなでやって来ました山形村の唐沢そば集落。我ながらお父様のお見舞いなんざどうでもいいという本音が見え隠れする超展開の文章である。

この集落については過去何度も紹介しているが、それでも全ての店を回った訳ではないので、今回はまだ行った事がない店にチャレンジしてみることに。

※唐沢集落の過去ログは 「旅行」 カテゴリ の記事を漁ってみてください。


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まず訪れたのは、唐沢集落の中でも特に人気の根橋屋さん。店先の駐車スペースは、いつ行ってもほぼ満車状態である。


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本日のおすすめ品の 「田舎の煮物」 がすごく気になる。300円て。


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この辺りの風習で、来客があったら必ずお茶と漬物を出さないといけないらしく、唐沢集落のそば屋はどこに入っても 「着席と同時に大量の漬物とお茶」 が出される。(無料のサービスでチャージ料等はかからない)

そば屋といってもそもそもが農家だから、この漬物ってのも家ごとに手作りしてて、ある店では白菜だったり、こっちの店では野沢菜だったりと、店ごとに全く違う味が楽しめるのである。

こういう 「田舎ならではのサービス」 がジワ~っと嬉しい。


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根橋屋のメニューはこんな感じ。

観光地価格とはかけ離れた良心的な価格帯で、この集落の中では品数が多い。また 「もつ煮」 とあるが、この地域では 「もつ煮=馬」 なので注意。馬のもつと聞くと身構える人も多いかもしれないが、実際はほとんどクセがなくて美味しい。


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おすすめ品の田舎の煮物、いわゆる炊き合せを頼んだところ品切れだったそうで、「切らしちゃってスミマセン。これサービスなんで食べてください!」 と、器にドカ盛りになったおでんをくれた。

サービスというにはあまりに量が多かったので 「伝票つけてください」 と伝えたのだが、「いやぁ~お金頂くような物じゃないんで~」 とのこと。

しかし内容が 「大きな椎茸いっぱい、鍋底大根いっぱい、こんにゃくいっぱい、ちくわに芋に人参に……」 と、「これを炊き合わせと言い張ればいいんじゃないの?」 と言いたくなる大盤振る舞いっぷり。

さらに味がシミシミでとても美味しく、これをタダで出しちゃいけない気がする。

この集落のルール、というか過剰なサービス精神は未だによくわからん……。


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おまけに天ざるを頼んだら野菜天の量がトチ狂ってるっていう。表に見えているピーマン・さつまいも・かぼちゃ・ふきのとうの天ぷらまではヨシとしよう。

だがその下に細切りにされた人参・玉ねぎ・ごぼうで構成された巨大なかき揚げが隠されており、先ほどの煮物の盛り合わせと合わせて考えると 「1日の食事が終わったな」 と。


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しかも値段を確認してみたら300円でやんの。何この集落。意味わかんない。


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ざるそば 500円(天ざるだと+300円)

都内のそば屋の基準で考えたら大盛りサイズである。固すぎず柔らかすぎずで正しい田舎そばといった印象。


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ついでに薬味まで大盛りである。


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こちらは山形村の新名物 「やまっちそば」

これは2011年の11月(新そばの時期) から売り出されたそうで、山形村の名産品である長芋を刺身のツマのように細切りにし、そばの上に乗せてある。

<やまっちそばの定義>
・山形村産の長芋を使う(だいたい100g程度)
・そばは手打ちであること
・薬味は2種類以上つける

このルールを守れば、後は店ごとに自由な形で提供していいらしい。

商品開発も頑張ってるんだなあ。


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頼んだ物とサービス品とを合わせるとこのような光景に。

煮物と天ぷらに根菜が多くて腹に重い。

通常、そばを食べる時は 「そばメイン」 になると思うんだが、おかずの多さのせいで 「そばをお米のように食べる」 ことになってしまった。

もしかしたらこっちの食べ方の方が 「そもそものそばの食べ方」 として正しいのかもしれん。(米が取れない土地だからそばを育てるみたいな)

それはそうと、お会計の時に合計で 「1,600円です」 と不思議なことを言われたのは気のせいだろうか?この量で1,600円て。本当におでんはタダだったんだね……。

こりゃ強敵揃いの唐沢集落の中でも人気店になるわな。


こうして根橋屋の物量作戦にあっさり敗北した我々は、あちこち回る気力もなくなり、早々と両親の家へ避難。膨れ上がる腹のせいで晩飯もロクに食えずに就寝。


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そして翌朝 (両新宅から撮影)。どうやら夜中から明け方にかけて雪が降ったらしく、周辺の田んぼが雪化粧していらっしゃった。

この日は東京に帰るだけだったんだが、そばと並んで大事な 「地の野菜を買い漁る」 というミッションを遂行することに。


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まずやって来たのが堀金の道の駅。


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微妙にデッサンの狂った青いタヌキの置物があったのだが、どうしてココにコレを置くことになったのかという由来は知らん。ただ言えるのは、全体的にやる気のないデザインなのに、口の中だけ妙に力を入れて作り込んであるなと。


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建物内には他県の野菜も置いてあったが、せっかくなので地元の野菜だけを購入してみた。ズッシリと重い泥ねぎや大根に加え、キレイな色の鷹の爪もカゴにIN!


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そしてまたも山形村の唐沢集落へ!


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この日は漬物が自慢だという美佐和を選んでみた。


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外観も立派な日本家屋だったが、通された居間も 「THE 日本のお家」 である。この辺りってどの店(家) も造りが立派なんだよなあ。


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そしてここでも当然のように漬物とお茶。おまけに 「煮物も食べて~」 とこれまた過剰なサービスが。おそらく越冬した根菜なんかが大量にあるんだろう……。

それにしても、漬物が自慢というだけあってたくあんも野沢菜も美味かった!この2つがあればいくらでも米が食べられる!


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ここは根橋屋とは違い、メニューは皿そばとかけそば(山菜そば)の2種類しかない。とりあえず1個ずつ頼んで漬物をつまみながら茹で上がりを待つ。


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ふと脇に超懐かしい爪楊枝入れを発見!


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皿そば1,000円

1,000円と聞くとちょっと割高に感じるが、都内のそば屋の1人前程度の量のそばが2枚1セットな事を考えると、我慢どころと言っていいんじゃないかと。


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キリっと冷たく〆てあるが、固すぎなくて食感ヨシ。つゆの塩加減が控えめなので、そばの風味がダイレクトに伝わってくる。


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こちらは山菜そば。これまた900円と少しお高めではあるが、漬物と煮物が付いてるんだし、量も多いし、これもこれで満足度は高い。

また、そばの瑞々しい食感のためか、この店は皿そばよりも温かいそばの方が美味しく感じた。集落の他の店では冷たいそばの方が美味しい場合もあるんだが、この店のそばは温かいつゆと一緒に食べる方が好みだなあ。

本当にこの集落は店ごとに方向性がまるで違って奥深い。


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唐沢集落で昼食を済ませた我々は山形村の直売所へ。ここでもお買い得品を漁りまくり、気付けば両手に小さい子供程度の重量の袋を抱えていた。


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本当はダンボールで買い込んでもいいんだが、痛んじゃうのも勿体ないし、今回はこれくらいで勘弁してやる事に。板橋からだと早ければ2時間半くらいで着いちゃう場所なので、近くまた来ればいいや。


<戦利品の紹介>

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キャベツ 2玉 240円
玉ねぎ 1ネット 340円
れんこん 1袋 100円
ほうれん草 1袋 150円
ニンジン2本 150円

キャベツがデカくて安い!玉ねぎも立派なサイズのが10個くらい入ってるのにこのお値段!そしてほうれん草のヤケッパチさを感じる量に感激。


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ニンジンがちょっとお高いかなと思ったんだが、手に持ってみると妙にズッシリ。見た目よりも何かが詰まってる感じがする……。(食べるの楽しみ)


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春菊 1袋 130円
パセリ 1袋 90円

ほうれん草や春菊って、都内だと冗談みたいに高くてねえ。それがこっちの八百屋で買うのと同じくらいの値段で倍以上の量が買えるっていう。

久々にグっと重量を感じる春菊を手に取った気がする。


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大根 1本 230円
泥ねぎ 1袋 200円
鷹の爪 1袋 100円

この大根も手に取った時の重量感に惚れて購入してみた。これだけあればしばらく買い物せずに済みそうだ。自炊バンザイ。

いやあ、これがあるから長野旅行はやめられん。(すでに両親の存在は二の次)



<リンク集>
・山形村唐沢そば集落公式サイト

-これまでに訪れた唐沢集落のそば屋-
・水舎
・山法師
・そば幸
・からさわ屋
・はやしや新宅
・根橋屋
・美佐和

気付いたらコンプリートまであと僅か!