斎藤酒場(十条・大衆酒場) | C.I.L.

斎藤酒場(十条・大衆酒場)

つい先日、東十条の某有名もつ焼き屋が営業を再開したというので、絶賛ブログ放置中のキャシー と一緒に訪ねてみた。そこで名店の肩書きに恥じぬ絶品もつ焼きをたらふく堪能したのだが、酔い覚ましにと十条近辺をふらついたのが運の尽き。

気付けばメタボアラサー3人組は当然のように駅近くの大衆酒場へと乱入。


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そうです、十条で大衆酒場といえば 「斎藤酒場」 さん。昭和一桁から営業しているという老舗中の老舗で、十条界隈だけでなく、わざわざ電車を乗り継いでやって来る人までいる人気店だ。

十条も今じゃすっかりチェーン店が幅を利かすようになってしまい、こういう昔ながらのお店が姿を消しつつあるのだが、斎藤酒場だけは今も昔も変わらず大賑わい。


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見てくださいこの 「生きたレトロ」 っぷりを。わざとらしく作られた古さではなく、誕生から何十年も経過した今でも現役バリバリで活躍し続ける生命力。本来はそれあってこそのレトロだとオレは思う。文化や歴史ってのは器だけ真似て作ったってダメなんだぜベイベ。自然とその存在を慈しんで大切にする気持ちが芽生えるようでないと。

そういえば随分前に 「苦労時代になけなしの小銭をポケットに突っ込んで通ってた酒場の面影を思い出したくて来てる」 なんて話をしてくれた爺さんと出会ったことがある。その爺さんは高度成長期の波に乗ってバリバリ働いてガンガン儲けて、今は息子に会社を任せて悠々自適の隠居生活をしているそうなんだが、この斎藤酒場はそういう人たちが 「帰って来る店」 という存在なのだ。


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とかなんとか偉そうなことを言っている我々の目の前には、ダメな大人のテンプレートとでも呼ぶべき光景が広がっているわけでございまして。

無造作に並べられた年季の入ったテーブルの上にビックリ価格(250円くらい) のサワーを置いて、ああだこうだとどうでもいい話でメートルを上げ続けるボクら。

ちなみにここ、ビールの大瓶でも490円という謎の価格設定で、日本酒に至っては1合200円しません。記憶が確かなら150円だか170円だかという小銭で酒が呑めます。


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そして斎藤酒場といえばコロッケ。カリカリとかいうレベルではなく、ゴリゴリした衣の中にたっぷりとカレー味のジャガイモが。ほんとこれはいつ食べてもうめえなあチクショウ。


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コロッケと並んでオススメしたいのが串揚げ。これまたガリッガリに揚がった衣の中には、お約束のタマネギと豚肉が。色気もへったくれもない皿や、その端にべっちょり付けられたカラシを見て、なんだかオレも 「帰って来た」 気分になってしまった。さすがにオレごときがそう感じるのはまだ早い気がするが、「人間ってこれで充分だよな」 と、意味の分からない達観モードに突入。


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達観モードついでに、オレ様お気に入りのサーモンフライ様も注文。キャシーってば今まで一度も斎藤酒場でサーモンフライを食べたことがないのだとか。

バカめ!

斎藤酒場といえばサーモンフライなんだぜ!

何が素晴しいって、鮭の切り身を刺身でも塩焼きでもなく揚げてしまうという中途半端さがたまらない。味も想像通り 「鮭を揚げましたがなにか?」 以上でも以下でもなく、チープ極まりない仕上がり。これぞ下町のお惣菜である。


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さすがに揚げ物縛りだと衰えたアラサーの身体に深刻なダメージが残るため、言い訳がましく酢の物とポテトサラダを注文。ここのポテトサラダもしみじみうまい人気メニューで、ベタなお惣菜屋さん路線。胃でも舌でもなく心で感じる系の癒しの一品だ。


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しかしそんな癒しポテサラを前に、オレとキャシーは相変わらず悲しみの三十八度線問題 を抱えているわけで。

相変わらずお前はソース派か!

ポテトサラダには胡椒か醤油だとなんべん言えばわかるんだ!


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そんな殺し合い一歩手前の鉄火場に運ばれてきたさば味噌のお陰で停戦条約締結。よしわかった、ひとまずこれをアテに1杯引っ掛けよう。争うのはその後でも遅くはない。


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大の大人が3人で散々飲み食いしてこんな金額で済むっていう。各々が思うがままにガッパガッパ酒をかっ喰らってたのに、お一人様1,000円程度ってのはヤリすぎである。


■総評
味:☆☆(ウマイマズイなんて薄っぺらい言葉じゃ評価できねえ)
値段:☆☆☆(これ以上安い店があったら見てみたい)
品揃え:☆☆
店の雰囲気:☆☆☆
接客:☆☆☆
遠征:☆☆
デート:☆☆
DQN率:××(店のオーラのせいなのか意外と荒れない)

備考:この店は大衆酒場ではなく、言ってみれば文化財である。昭和の激動を生き抜いてきた爺さんたちの想いが詰まった聖域である。したがって昨今の酒場ブームでこの店を知って、おのぼりさん気分でハシャギに来るような輩には出来れば入って欲しくない。

これは酒場文化を嗜む際の常識だが、まずはその店の空気を感じ取ることから始めねばならない。そして店の歴史や、そこに通い続けた人々をリスペクトし、絶対に場を壊すような真似をしてはいけない。それがわからないなら歴史ある酒場なんか行くな。その辺のファストフードで我慢しろ。

オレは過去何度かこの店でそういうアホ集団と鉢合わせたことがあってねえ……。今じゃTVや雑誌で何度も取り上げられ、文化人っぽいおっさん連中が方々で名前を出すもんだから、どうしてもミーハー心だけでキャイキャイやりに来るヤツらが増えちゃってるのよ。

地元のDQNっぽいあんちゃん達でも不思議とこの店ではバカをやらないもんなのに、そういう連中はお構いなしで空気を乱すからたちが悪いったらありゃしない。

というわけで、マトメなのに全くお店の紹介になってない気もするが、日本が生命力に満ち溢れていた昭和の空気に触れたい方はぜひ訪れてみてはいかがだろう?ただし常に混雑しているので、行っても入れない場合が多い点にだけは注意。どうしてもこの店で呑んでみたいなら1人で行くのがベスト。


■斎藤酒場(大衆酒場)
住所:東京都北区上十条 2-30-13
TEL:03-3906-6424
営業時間:16:30~23:30
定休日:日曜



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