(7)セカンドビギナー、ゴールに飛び込む
20キロ地点を通過するとき、しっかりタイムを確認します。1時間53分台の後半です(1時間53分43秒)。苦しいながらも5分くらいのラップを刻みました(5分03秒)。残り1.1キロを6分あまり。今のペースを守って走れば間違いなく2時間を切ることができます。しかし「今のペースを守る」ということはかなり困難になってきています。
あと5分あまりを耐えれば楽になれる。ここまで来ると、「あと1キロを耐える」じゃありません。「あと6分を耐える、だからあとたった6分、頑張れ!」です。あとわずかな時間を頑張れば楽になれる、ということを楽しみに走るしかありません。
インター線を右に曲がり着々とゴールに近づきます。しかしここは最後の上りとなっており、この期に及んで疲れきったランナーを痛めつけてくれます(笑)。
私は時計を見る回数が増えてきました。まだ2時間までは間があることを確認してホッとします。でも次の瞬間、本当に間に合うのだろうかと不安になります。その繰り返しです。
公道から左に曲がり、いよいよ戻ってきました。残りはあとわずか。時間はたぶん大丈夫です。このままのペースで、無理なスパートをすることなくゴールに飛び込むことができそうです。
最後の角を右に曲がるとあとは100メートルくらいでゴールです。私は2時間を切っていることを確認しながら、そのままの勢いでゴールに飛び込みました。
手元の時計では1時間59分前後です。多少の誤差はあったとしても、2時間を切れたことは間違いないでしょう(1時間59分03秒)。ラスト5キロの走りはすばらしかったと心の中で自画自賛していました。
ゴールしてしまうといろいろな痛みが出てきます。右のアキレス腱と膝。左の腰と足の小指の爪。両足を引きずりながら、ゆっくりと体育館の2階へと上がりました。
着替えを持って更衣室へと向かいます。なにしろ足腰が痛いのでゆっくりとしか歩けません。でもここまで精一杯急いで走ってきたのですから、あとはもうのんびり動いていいでしょう。
更衣室でロボットのような動きをしながら着替えています。すると脇腹に激痛が走りました。攣ってしまったのです。脇腹が攣ってしまったなどというのは初めての経験ですから、どこをどうすればいいのかさっぱりわかりません。苦笑いをしながら痛みの治まるのを待つよりありませんでした。
どうにか着替えを終えて2階席に戻ると奥さんも戻ってきていました。荷物をまとめて下に降り、サービスのきのこ汁をいただきます。疲れた体に染み渡る、美味しい味でした。
抽選会の当選番号をチェックしましたがかすってもいません。私たちはそのまま牧家に行って昼食をとることにしました。そこでパスタとピザを食べひと心地つきます。本当はビールを飲みたいところですが、このあと車の運転も残っているので我慢しました。
ゆっくりと昼食を終えて、運転して帰ります。家に着いたのは15時頃でした。伊達ハーフマラソンに出て15時頃帰宅できるとは、なんて恵まれた環境でしょうか(笑)。
帰宅してからJognoteのデータを見て5キロごとのラップを確認します。
30分04秒~28分45秒~29分38秒~25分16秒~5分20秒
結局、最後の5キロはキロ5分を切らなくても2時間を切れたことに驚き、自分が大きな計算ミスをしていたことにようやく気がつきました。
しかしあそこで完全に諦めてしまっていたら、2時間は切れないまま終わっていたでしょう。今回の走りで最もよかったことは、2時間を切れたかどうかということではなく、2時間を切るのは不可能と判断した時点でも、結果にかかわらず最後まで精一杯の挑戦をしようという気持ちになれたことです。その勝負する気持ちになれたことが、今回の最大の収穫です。
ここ数年、低迷続きでしたが、今年の私は一味違うぞ……。と、とりあえずぶち上げておきます(笑)。(おわり)
(1)セカンドビギナー、準備にまごつく
(2)セカンドビギナー、いろいろやらかす
(3)セカンドビギナー、スタートする
(4)セカンドビギナー、ときどきサボる
(5)セカンドビギナー、意識が薄れる
(6)セカンドビギナー、息を吹き返す
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