孫姫と 一緒のゴール いつの日か~2012フードバレーとかちマラソン完走記4 | 神社仏閣旅歩き そして時には食べ歩き

神社仏閣旅歩き そして時には食べ歩き

還暦を過ぎて体にトラブルが出始めて、ランニングを楽しめなくなりました。近ごろはウォーキングに軸足を移して道内の神社仏閣を巡り、御朱印を拝受したり霊場巡礼を楽しんでいます。いつかは四国八十八ヶ所巡礼や熊野詣をすることが夢です。by おがまん@小笠原章仁

(4)2時間切りを確信する

 号砲が鳴っても列が進まないのはいつものこと。慌てる必要はありません。やがて列は進み出しますが、スタートライン付近までは歩いて進むくらいのペースなのもいつものこと。自己ベストを狙うつもりもないので、ゆっくり進みます。

 いつも走るコースは左端を走る私です。これはたいていの場合は左側通行でコースを設定されますから、沿道の声援に一番近いのが左端だからです。ですから昨年の神戸マラソンのように、右側通行が主体のコースでは右端を走ることが多くなります。

 今回は、スタートは右端に寄っていました。これは私たちが泊ったホテルが右側だったからです。奥さんと孫の一家は8時50分頃にホテルで合流し、その付近で応援しているはずです。スタートラインを越えて走り始めますが、私は右端をゆっくり走りました。スタートロスは1分20秒でした。

 ホテルの前にはみんなの姿は見当たりませんでしたが、その少し先に集まっているのが見えました。手を振って送り出されましたが、孫姫は怪訝そうな顔をしていました。

 コースは右に曲がって平原通を後にして、南9丁目通から白樺通を目指します。このあたり、びっしりと前が詰まって、なかなか思うようなペースで走れません。でもこれも2,000人以上が走るハーフマラソンですから覚悟をしていたことです。まず焦らず無理をせず、ばらけたときに、ばらけたところから抜きながら落ち着いたペースで走るしかないでしょう。

 そうは思ってみても、なかなか隊列はばらけてくれません。このあたり、仲間同士で併走している人も多く、なかなか抜けるコースもありません。ともかく焦らないように、落ち着いてラインを探しながら走ります。そのため1km地点の表示は見落としてしまいました。

 そんな状態のまま走り続けてようやく2kmの表示を発見します。スプリットタイムは12分33秒です。やはり前がつかえているのでペースが上がっていないようです。

 最近のレースでは、走る前に目標ペースを決めていません。序盤のペースを見て、そのレースの目標タイムを決めるという作戦です。それでもやはり、2時間を切りたいという思いはありました。ただ練習不足の私には、キロ5分40秒ペースというのは厳しそうです。キロ6分以内で走れれば良しとするべきかな・・・などと思っていました。

 ところが2kmを12分33秒となると、キロ6分をはるかに超える遅いペースです。いくらなんでもこのペースでは・・・と、ちょっと焦りました。

 でもよくよく考えてみると、このスプリットタイムにはスタートロスが含まれています。スプリットタイムの下に表示されているラップタイムは11分13秒となっています。これならばキロ5分37秒ペースです。前が詰まり加減でこのペースなら全然悪くありません。焦ってペースを上げなくて助かりました。

 スタート地点周辺を歩いているときにわかっていたことですが、風は強く西から吹いています。レース序盤は白樺通を西に進んでいきます。ですから往路はまともな向かい風になります。しかも折り返し点の帯広の森までは上りとなります。コースのアップダウンと風向きを考えると、明らかに後半の方がペースを上げられる条件です。練習不足でスタミナに不安のある私にとって、この条件は助かります。前半はとにかく我慢して向かい風に立ち向かおうと思いました。

 3km地点を18分ちょうどで通過し、ラップは5分27秒を記録しています。けっしてペースを上げたわけではなく、無理なく軽く走っている状態です。走りそのものは変わっておらず、ようやく隊列がばらけてきてストレスなく走れるようになってきたということでペースが上がったのでしょう。

 「よし、このまま前半は5分30秒のペースを維持していこう。折り返してからペースを5分に上げる・・・5分は無理でもペースを上げる。そうすれば確実に2時間を切れる。序盤の3kmを走った感じからすると、腰以外の体の調子はすごく良さそうだ。間違いなくそういう走りができる状態だ。腰の爆弾さえ炸裂しなければ」

 そんなことを考えるくらい、体の動きはよく感じました。

 その好調の原因は、体というより心の問題だったのでしょう。とかち晴れの青空と沿道からの声援で、私のテンションは最高潮に高まっていました。市内の幹線のひとつである白樺通を走るだけに、沿道では数多くの市民が応援をしてくれています。「帯広市町内会連合会」の名前が入った手製の横断幕を持った地元町内会の方々もあちこちにいます。沿道にはそうした町内会の幟もたくさん立てられています。会社の前には従業員の方々が大勢出てきて応援をしてくれています。

 そうした応援の人たちの中には、メッセージボードに応援の言葉を書いている人もいます。私たちが泊ったホテルのエレベーターホールにも置かれていたものです。

 様々な形で市民の皆さんが私たちランナーを応援してくれています。それらの声援にいつものように「ありがとうございます」と応えながら、私は快調に走りました。

 4kmのラップは5分30秒、5kmのラップは5分27秒と、きっちりイーブンペースで走っています。5kmのスプリットタイムは28分57秒。スタートロスを考慮すると27分37秒です。このとき私は2時間切りを確信していました。(つづく)


(5)ロングスパートを開始する


(1)孫姫たちと会いに
(2)孫姫たちと歌いに
(3)歩いただけで汗が出る