女性の中の父性 | 恋と仕事の心理学@カウンセリングサービス

女性の中の父性

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こんにちは。カウンセリングサービスの山根しんいちです。

毎週月曜日に、山田耕治カウンセラーと隔週交代で、「仕事の心理学」をテーマにお届けしています。

今回のテーマは、「女性の中の父性」です。

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前回の人を育てる時に気をつけていただきたいことと言う記事にコメントをくださった"あこ"さん、ありがとうございました。

『私は教師をしていますが、学生に舐められてしまってなかなか指導がうまくいきません。今回の記事、とてもためになりました。女性の場合にも父性は必要だと思うのですが、どういったイメージを持つとよいでしょうか。ハンサムウーマン的な? 自分では腹を括って落ち着いて対応しているつもりですが、特に大人数の授業の場合、やはり女性は甘えられやすいと思います。(どうやら、遅刻を大目にみるなどの「優しい」対応を期待されているようで、普通に対処するとキレられます苦笑 甘くするとエスカレートするので、いつも同じ対応でブレないようにしているのですが)』

苦労されているようですね。学生とおっしゃっているので、接していらっしゃるのは高校生でしょうか。

学生の指導と言うと本当に父性が必要になってくるところだと思います。

わたしはハンサムウーマンと言う言葉は知らなかったのですが、調べてみると、男性性が高い女性のことを指して使われている言葉のようですね。

サバサバしていて、くよくよしない。どこか凛とした美しさがあると言った。

そう。男性性が高い女性はセクシーで魅力的に感じられることが多いです。

この男性性と、ここで言う父性とは少し違っていると思います。

母性と父性を対比してみると、包み込む愛情の母性に対して、切り離す愛情が父性と言われます。

子供の成長過程に沿って考えていくとわかりやすいと思います。

生まれてから3才くらいまでの間は、子供にとって母親の存在はとても大切です。人間関係の根本が子供のこころの中に形作られていくこの時期。母親との関係の中で安心感が育てられていきます。

その後、子供は母親に見守られながら、やがて学校に通うようになっていきます。社会と接する練習をしていくわけです。そこで何か辛いことがあったりすると、子供は安心できる母親の元に戻りたいと思うわけですが、場合によってはそうではなくて辛いことに立ち向かっていかなければいけない時もあります。そんな時に、「行ってこい」と背中を押すのが父親の役目であったりするわけです。

やがて社会に出ていく時には、「お前なら大丈夫だから頑張ってこい」と言って背中を押すのがやはり父親ですね。

また、時には子供が間違った方向に行こうとするのを、前に立ちはだかって止めるのも父親です。

こんな風に、どこか愛情に裏打ちされた信念を通していくと言うのが父性なのですね。

そして、親から子へ、子から孫へと、わたしたちのこころの無意識の中を引き継がれていくのが、母性や父性です。

「そんな理想的な父親なんか知らんわ」と言う方も多いと思います。家系の中で父性が途切れているケースは多いです。

コメントの中で、『「優しい」対応を期待されているようで』と書いていらっしゃるところから、学生が女性であるあこさんに母性を求めてきていることが想像できます。また、『いつも同じ対応でブレないようにしているのですが』と書いていらっしゃるところから、ギリギリの父性で対応されている様子も感じられます。

父性や母性を試される場所に立っていらっしゃるのでしょうね。

もしあなたのこころの中に十分な父性が流れてきていないのだとしたらなぜでしょうか。どうすればその流れを取り戻すことができるでしょうか。そう言ったお話をじっくりできると、何かきっかけをつかめるかもしれません。

ちなみに、父性を発揮した女性の例を探してみたところ、イギリスのマーガレット・サッチャー元首相がまさにそうでした。それまで、「ゆりかごから墓場まで」と言われた超母性的な政策の影響で労働意欲が失われがちだったイギリス。そんな中で独自の政策を押し進めていった様子に強い父性を感じられます。その父性は、やはり父親を参考にされていたようです。超母性的な政策から、逆に超父性的な女性首相によってイギリスが救われたと言うところが興味深いです。ただ、あまりに強烈な父性なので、ご参考になるかどうか微妙なところですが。

では、また次回をお楽しみに。

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