不倫にはまる心理的背景 その(6)
こんにちは。カウンセリングサービス の大塚統子 です。
金曜日に伊藤歌奈子 と交代で「不倫・失恋」をテーマに書いています。今回は大塚が担当です。
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心の中に「自分はとても悪いもの」という思い込みがあると、心の奥に「自分が人を愛することなど許されない」・「きっと自分を愛してくれる人を毒してしまう」といった感覚的な拒絶感が出てくることがあります。そして、大好きな人を自分の傍には近づけられない、自分を「愛させない」という行動をとってしまいやすくなります。その結果、二人の間に埋められない距離がある不倫や、制約のある恋にはまることがあります。
「自分は悪いもの」もそうなのですが、わたしたちが「自分についてどう感じているか」、「自分をどういう存在と捉えているか」といった自分自身の位置づけをする考えを「自己概念」といいます。この「自己概念」は、恋愛はもちろん、いろいろなところでわたしたちのあり方に影響してきます。
恋愛では、一般的に「自分に釣り合う人」をパートナーに選びます。仮に、「自分は悪いもの」という自己概念があると、最高に素敵な人をパートナーに選びにくくなるのです。例えば、シミのある擦り切れた服を着ている人と、きらびやかなステージ衣装を着ている人が、パートナーとして横に並ぶのは不釣り合いな感じがするようなものです。自分にマイナス要素があると感じていると、それと釣り合うような、少々難点のある人に「このくらいの人がちょうどいい」と感じます。「不完全な自分には、完璧ではないパートナーがいい」と感じ、ネガティブさの度合いで相手とのバランスをとろうとしてしまうのです。これらの判断は心の中でしていることなので、表面上は気づきにくいものです。
そして、ここで登場するのが「不倫相手」です。不倫相手は、人としても異性としても魅力的で、相性ばっちりの素敵な人かもしれません。でも、実は「結婚できない」というマイナス要素をもった相手なのです。正確に言うと、結婚ができるかどうかが問題なのではなく、現代の日本社会では「肯定されにくい恋愛スタイル」をとらなければならない点がマイナス要素と考えてもいいでしょう。人に誇れない恋愛状態から感じるネガティブな感情が、ネガティブな自己概念とバランスをとりやすいのです。不倫の関係を題材にして、「やっぱりわたしって…(ネガティブな発想)」と感じることで妙に落ち着くようなところがあります。
自己概念がネガティブなものばかりだと、もれなく「こんなわたしが愛されるはずはない」という“おまけ”が付いてきます。こんな「ヒドイわたし」なのだから、「自分は愛情がほしいなんて思ってはいけない」と自分自身を抑圧しなければならなくなります。そうすると、「このくらいの“愛情のカケラ”がもらえたらそれでいい」と信じられないくらいの小さな幸せで満足しようとする人もいます。また、「わたしにも悪いところがあるし」と、必要以上の妥協やがまんを続ける人もいます。小さな幸せで納得しようとすることも、「しょうがない」とがまんすることも、どちらも不倫につきものの感情です。これって、苦しいですよね。
「ネガティブな自己概念」が存在することでマイナス要素のある恋愛にはまっているのだとしたら、一度あなたの「自己概念」を見直してみませんか。「自己概念」は自分が自分に感じていることなので、あなたが変えていくことができるのです。人は、自分の自己概念に沿った行動をとろうとします。例えば、「私は変な人である」という自己概念があると、変な人のように振る舞ってしまう傾向があるのです。折角なので、この習性を利用しましょう。
あなたの自己概念の中にネガティブなものがあったら、それをポジティブなものに書き換えていきましょう。例えば「変な人」を「独創的な人」に書き換えましょう。ポジティブな表現に変換するのが難しかったら、ここを「こうしたい」というのを探してみましょう。
昔から「バカとリコウは紙一重」と言います。人体に刃を入れる行為は、殺人鬼にも外科医にもなれる可能性があるのです。ネガティブとポジティブも捉え方次第だと、わたしは考えています。あなたの中のネガティブさをどうか嫌わないであげてくださいね。あなたのハートに光をあてて、正当な評価を与えてあげましょう。
ネガティブな自己概念を変化させることができたら、最高な状態を手に入れることを自分に許せるようになるでしょう。恋愛でもためらわずに幸せを求められるようになると思いますよ。