『鉄童の旅』
著者:佐川光晴
国鉄がまだ健在だった1981年、
北海道から東京までひとりで旅をする男の子がいた。
この書き出しで新聞紹介されてた。
『おお~~~~~!小さい子目線の鉄道の旅本かな?』
表紙の鉄道は出てくるのかな
くらいに思ってた…。
確かに出てくる、国鉄時代のや、や、や駅員さん
でも、お話は…
もしかして、鉄道マンの職業話?
いやいや…ミステリー?
違うな…両親を知らない小さな子が成長していく記録?
でもない…ファンタジー
そう!ファンタジー
ネタバレあり
なぜ、小さな男の子がひとりで旅が出来たのか?
この「謎」が解けたとき、涙がポロポロ出てきた。
自分の出生のこと、両親のこと、何も知らずに
児童養護施設で育った主人公が、たくさんの人と関わり合い
たくさん苦労もして、生涯の伴侶とも出会い、そして、おとうさんになる…。
このまま、自分の素性もわからないまま、人の子の親になっていいのかと悩み
ひょんなことから自分探しの旅に出る。
(旅と言っても、出張の合い間を縫って、
相手を訪ねたりするだけだけど…それがまた、ドキドキ!)
そんな主人公を支える、いろいろな人のお話が短編連作のように繋がって行く。
古き良き「国鉄時代」
心温かい北国の人々
そして、たくさんの電車
派手さは無いけど、心にじわぁ~~~~~~っと届く
絵本のようなお話だった