♪夢は みのりがたく~
敵は あまた なりとも~
胸に かなしみを 秘めて~
我は 勇みて 行かん~~


帝国劇場に
『ラ・マンチャの男』を 観に行って
きました。

先日の 海老蔵さまも
最初 口上し、
自分が演劇をやりますという構造を見せてしまう
ある種 メタ演劇
ですが

「牢獄にいれられ 宗教裁判を待つ セルバンテス。
獄中で『ドン・キホーテ』の原稿を守るため 獄中の皆を誘い込んで
芝居を行なう。
『アロンソ・キハーナは本を読みすぎて狂気の兆候を示し
自らが遍歴の騎士、ラ・マンチャの男ドン・キホーテとなって、
すべての悪を滅ぼすため世界に飛び出そうとする』」
・・・を、歌舞伎役者の
幸四郎さまが やっている


という
夢、現実が ないまぜの
メタフィクションの
極み!

(セルバンテスが『ドン・キホーテ』の作者、というのは
観劇中は わからず、終演後 ご主人さまによる解説で 知ったのですが・・・)


夢とは何か
現実とは何か
狂気とは何か。

「いったい 狂気とは何だ?
現実のみを追って 夢を持たぬのも 狂気かもしれぬ。
夢に溺れて現実を見ないのも 狂気かもしれぬ。
中でも最も憎むべき狂気とは、あるがままの人生にただ折り合いをつけて、
あるべき姿のために戦わないことだ!


ああ、
Man of La Mancha Has Everthing!!

約 10年ぶりに 観に行った『ラ・マンチャの男』、

さすがわ 歌舞伎役者な 戦いのシーン。(はしごの中に 入り込んでいる ところが とくに!)
幸四郎さまが 傾斜のついた舞台
を ころころ~んと 転がったり、
ドアに 首が はさまれたり、
馬が かわいかったり、
洗面器を うれしそうに 幸四郎さまが 持っていたり、
死に際が ちょっと 『レ・ミゼ』っぽかったり、
観ていて 本当に 楽し~い☆

「姪の アントニア(松本紀保さま)は
結婚を 控えています

という 幸四郎さまのセリフが あったので(客席が ちょっと ざわっ)
時節柄 姪の婚約者は 川原和久さま
が よかったのでは ないでしょうか。

そして
「見果てぬ夢」で 泣いてしまう・・・。

英語も To でつなげていくのが 感動しますが

東宝版の 日本語歌詞
♪夢は~ みのりがたく~

すごく いい!!
言葉が入りきらない ダメ訳詞じゃないので、
むしろ グッときます。
(けっこうミュージカルって「英語のままにしてくれよ」というものも多いのに・・・)

「事実は真実の敵である」とか、セリフの訳の 韻の踏み方も
素晴らしい。

アルドンサ 松たか子さまの 堂々とした
演技と歌唱力、
(対して松本紀保さまは 歌 あんま上手く ないですね・・・)
こういう ドブの中の お姫様って
唐十郎さまの戯曲にも 出てきます
よね。

2002年 1000回記念のころ、
アルドンサが 松たか子さまに なってから 観たときは、
正直 このお芝居の面白さも感動も わからなかった
のですが
(松たか子さまの あの シーンだけ 印象的で むしろイヤ、というほうが強烈)
死にかけの ドン・キホーテの魂を たか子さまが 呼び覚ますところ、
牢獄で 「われらふたりとも ラ・マンチャの男です」というふたりを送り出す 囚人たちの歌、
おなじみの
「見果てぬ夢」、
冒険に出かける サンチョと ドン・キホーテの ハモリ、
セリフのひとつひとつ・・・本当に グッときますね!

駒田さまの サンチョも 小柄で愛らしく でも むろん 声量があり、
幸四郎さまを信頼してなつく 満面の笑みが
実に よかった~。

カーテンコールでは
幸四郎さま、たか子さまとだけ 握手
していたので
『ガラスの仮面』世代の わたくしとしては

マヤにだけ キスをした 
姫川亜弓の おかあさん


を 見た 亜弓さんがごとく
紀保さま気分で ハラハラしてしまいましたが
紀保さまは 川原さまに キスしてもらえば いいのか・・・。
(キス といえば 翌日 1200回のカーテンコールで
たか子さま・紀保さまが 幸四郎さまに キスしたみたいですけどね!)


1200回のスピーチも聞きたかったですが、
今日は、その前日、
貸切だったので ごあいさつ
が ありました。
(貸切のごあいさつが楽しみで 貸切大好き!)

「明日は 1200回、
70歳の 直前の 今日、
イープラスさんの 貸切で いいお客様に めぐまれ
イープラスさんには 足を向けて 寝られません。
1969年 26歳から始めた。43年前は ブロードウェイ産のお芝居など 少なくて 
最初は客足も 思わしくなく・・・」
「30周年は ちょうど イープラスさんが設立された頃
(イープラスは1999年 設立)で・・・」
など、
幸四郎さまたるお方が イープラス という 単語連発、
下調べたっぷりに お話
されるという・・・。

たか子さまの 挨拶も
「音楽、芸術・・・
今日の よき出会いを
いい プラスに 
していただければ と 思います」

照れながら ダジャレ
を おっしゃる たか子さま!
こ、これは 幸四郎さま 考案の ギャグ!?

バンテリンギャグだけの 幸四郎さまでは ありません。
8月16日の 「首都圏ネットワーク」では
「夢とは、夢をかなえようとする 心意気
だと 思うんです」
(1000回記念 60歳の誕生日のときの スピーチ同様)。
ブロードウェイに出たことは
「何でもやる必要はないが
何でもできなければいけない、プロの役者として」
「人は、を生きて
それが過去になり、未来になるから
今、この瞬間が 一番好き

ああ、
我は 勇みて 行かん、
まさに ドン・キホーテ 幸四郎さま。

 あらためて・・・
『ラ・マンチャの男』を
観られて
良かった!!!!!