度重なる外部出演に、
ひたすらドキドキしてきた。

『ビョードロ』以降だ。

自分の王国であるおぼんろ

そこでは無限に魔法使いだった

なのに、

国境を越えて闘い始めたら、
壁、壁、壁……

信じられないかも知れないけど、
何度も泣いた。

おぼんろだけやって生きてきた自分は、
むしろ純粋なる俳優としての素養は欠落してる
知っていながら始めた戦いだった。

趣味で留めておくつもりの演劇人生なら
おぼんろ王国で上機嫌で
それだけで何も悩まなかった。
言わずもがな、
おぼんろにいる時は全能感を抱く
そして幸福すぎるのだもの

だけど、そうは言ってられない

人生の唯一にして最大の目標は、
おぼんろでシアターコクーンに行くこと。

倍々作戦
自分たちでも驚くほどには成功していたけれど、

おぼんろは年齢差も激しい団体
活動も、
公演中は語り部個人にかなりの過酷な生活を強いる

爆発力が必要

パンダになろうと誓った
とにかく外部で顔を売り、
新たな観客をおぼんろに誘う
それには、
フットワークの軽い自分が、
劇団内で最も向いているのは間違いなかった

やるなら極端に

馬鹿みたいに、
スケジュールを詰めた。

修行の意味合いもあった。
我流で突っ走ってきた分、
他の演出家や共演者の知識や才能に触れることは
あまりに有意義だった

我ながら、
自分がスポンジのように成長する感覚を抱きながら、
客演を繰り返した

おぼんろスタイルは、
結果的に完成形だと思ってる

だけれど、
こと完成度に関して言えば、
まだまだ、
上には上がいる

上がいるのが
我慢できない質である

がんばれたのは、
みんなのおかげ。
綺麗事やリップサービスではなくって。

数えたら、今年に入って140ステージ近く舞台に立っているみたい。驚く。まだ10月なのに。執筆もしてきたのに。

大変だったけど、得るものはあった。失うものが皆無だっただなんて思ってもないけど、でも、必要なのは前に進むこと。そうでなきゃ、おぼんろを待ち受ける未来は、解散だ。


絶対に、嫌だ