「本番中のブログと逆上がりはおんなじくらい難しい」

と昔から諺にもあるように、
本番中にブログを書くのは難しい。

本番期間中、
毎日本番のことばっかり書いているわけにもいかないけれど、
だからと言って、
本番期間中なのに、
本番のことを書かないというのもなんとなくラスキーだ。
ちなみに、ラスキーと言う言葉はいまつくったけれど、
「カラカラと素っ気なくて殺伐とした様子」みたいなニュアンスだ。
そして、もっとちなみに、もちろん冒頭の諺なんか聞いたこともない。

さあ、何を書こう、なんて考えながら、自分の状態を診察する。

マイクがスピーカーから出た自分の音を拾うと耳をつんざくようなハウリングを起こすように、人間が自分の胸に聴診器を当てることは本当は禁止されているって言う設定はどうだろう。きっと、ものすごい音が聞こえてしまうの。海の声かもわからないし、宇宙の音楽かもわからないし、怪物のうめき声かもわからない。

言葉はボトルネック現象よろしく、吐きだし口のところで大渋滞を起こしていて、思いは溢れるのに結果的には海の底のような静けさ、みたいなことにもなりかねない。

異性を見るとすぐに恋愛してしまうひとを恋愛体質、と言うけれど、自分はなんだかいちいち作品に恋愛をしてしまう癖があるように思う。昼も夜も一つの物語への思いでいっぱいになって、そのために他のものが割とどうでもよくなってしまったりもするし、その恋ひとつで翼を得たかと思えば、その恋ひとつのせいで思い悩んで無間地獄にも陥ってしまう。

自分でも驚くほどに、この数年で芝居はうまくなっていて、「こなす」術も知っているのに、なのに、毎回ギリギリまで自分を酷使して演技をしたくなる。

億万長者が贈るマンションよりも、乞食が買った缶コーヒーのほうが、どれだけ輝いているだろうかと言う事実について、僕らは考えなければならない。

今朝、いくつかのシュールな夢をみた。
和田明子が登場したり、シアターコクーンが屋外劇場になったり、宇宙船で旅をしているのにサンタクロースが訪れたり。昼ごろにフと思い出したりする。
その中でもとりわけ印象的だったのは、
三本のしっぽの猿の夢。

よっし、今日も本番です。
たのしいなあ、毎日、本当に。

今日も一日、がんばるぞ。