- トリプルA 小説 格付会社(下)/黒木亮
またまた、好きな作家『黒木亮』のトリプルAを読みましたー
内容はタイトル通り、格付けをテーマにした物語です。
リーマンショックで格付けのもろさを露呈する事になりましたが・・・・
格付け会社が、上場して利益第一主義に傾く事で、格付けへの信用を落としていく様が描かれています。
格付け会社って、勝手ですよね。
何のリスクも取らず、この会社は大丈夫だとか、危ないって言うので・・・・
ただ、それを信用する人(投資家)や仕組みがある事自体が問題なんですけどね。。。
本来、企業や人に投資する時には、じっくりと分析をして見定めなければいけません。
銀行員時代、小さな会社に対しても、与信判断をする時には、定量的な財務分析から、定性的な判断までしっかりやりました。
数百万円から、数千万円を貸すのだって、それくらいしっかり分析するのです。
まぁ、小さい会社だからこそ、しっかり分析する必要があるのかもしれませんが・・・
誰しもが、格付けだけで投資してるとは思いませんが、本来信用リスクを取る際には、精緻な分析が必須なのです。
そして、それをサポートするのが格付け機関であると思いますが、彼らは何のリスクも取って無いので、あくまで所詮参考程度に留めておかなければいけないんですよね。
でも、国際的にもAAAであれば、リスク量を小さく見積もって良いとか規制ができてしまっているので、参考程度のはずの格付けが、何故か重要になってしまっているという矛盾が起きてる気がします。
今回のリーマンショックでは、その辺りが露呈したと思いますし、徐々に改善されていくので、良いと思いますが・・・・・
この本は、そんな事を考えさせてくれると同時に、物語としても非常に面白いですよ