皆さんオハコンバンワ
こ、こ、今回は不肖おばたりあんが百田尚樹著「黄金のバンタムを破った男」(PHP文芸文庫)が大変面白かったため、T先生におススメしたところ、、、、
他に読むものがたくさんあって読む時間がない
と断られまして…
じゃあ、電話でざっと解説すると申し出たところ、、、、
ボクサーの名前が何人も出てきたら途中で混乱すると思う
とぶった切られまして……
じゃ、じゃあ、ブログでザックリ記事書いたら読めそうかと尋ねましたら、それならOKという事で、
この記事は基本「T先生=高橋千鶴先生(※前ジブリ映画「コクリコ坂から」の原作者)向けなんですが、ボクシングは大好きなんだけど、本読むのは面倒だし時間もナイというそこのアナタの為にも書かせていただくので、
「この本は自力で絶対読む」
という真っ当な方々は、この記事はネタバレを大量に含みますので、どうか華麗にスルーーーーーなさってくださいまし
さて、それでは始めますと、、、、
まずは作者の百田尚樹氏の簡単な略歴から
もともと大阪のオモシロ一般ピープルだった百田氏は、スカウトされて同志社大学を中退されて「放送作家」に華麗なる転身を遂げます
関東住まいの私でも良く知っている「探偵ナイトスクープ」などの放送作家として地位を確立、、、
さらにさらに、、、、、、
百田氏は、来年の正月映画で主演があのV6「岡田准一」さんという、
「永遠の0」
にて、衝撃の小説家デビュー
太平洋戦争を舞台に描かれた、ゼロ式戦闘機乗りの鮮烈な生きざまのお話で、日本にこんな大型新人がいたのかと不肖おばたりあんも大変ビックリいたしました
そして氏は大学時代にボクシングをされていた経験とボクシングへの想いを活かし、コミックや映画にもなった「BOX」を上梓
※不肖おばたりあんもカブちゃんファンになっちゃいました
そしてそして遂に、日本ボクシングの歴史小説、
いやいや「日本の歴史をボクシングを通じて描き出した」のが、この「黄金のバンタムを破った男」なんですよ~~
敗戦国ニッポンが、自分たち日本人に自信と誇りを取り戻させた時代の寵児の物語なんですね
もちろんメインは「黄金のバンタム」を破ったあの「ファイティング原田」さんなんですが、物語の始まりの口火を切るのが、日本ボクシング界の本物のレジェンド「白井義男」さんなんです
「白井義男」は名作少年漫画「はじめの一歩」の名伯楽「鴨川源二」会長にも影響がみられるレジェンド中のレジェンド
※戦後住むところもないままボクシングを再開したり、科学的なボクシングを追求するなどちなみに猫田さんには「ピストン堀口」へのリスペクトがあるようです
この「白井義男」(1923-2003)というボクサーが、いかにして日本で初のボクシング世界フライ級チャンピオンになったのか
まず彼のデビューというのが、戦時中
昭和18年に20歳で拳闘ジムに入門→二週間後にデビュー→格上中堅ボクサーに1RKO勝利
いずれは日本チャンピオンになれるであろう逸材の登場です
ところが時代は戦時中で旗色も悪くなる一方、他の日本男性同様、白井もまた戦地に赴くことになります
飛行機整備兵として、運悪く(良く)激戦地に送られ損ねて復員はしたものの、過酷な軍隊生活で座骨神経痛を患うようになっていたのです……
せっかく住むところもないままにボクシングを再開した情熱に、残念ながら痛めた身体が答えてくれず、、、、
勝ったり、負けたりを繰り返し、、、、
昭和25年25歳になっていた白井は、とうとう引退を考えるようになっていました
切ないけれど、当時はプロ野球選手やボクサーなど、皆一番選手として脂の乗った大事な時期を兵役に捧げざるを得なかったんです(戦争に参加した国ではどこでもそうだったと思います)
当事者でもない限り、アッサリ「時代が悪かった」の一言で片付けられてしまうような、よくあるお話……
ところが、この「白井義男」には、とんでもない救世主が現れて、彼の人生は一変してしまうんですね
ナントその救世主は、日本人にとっては宿敵であり、当時の日本国にあらゆる干渉をしてきた戦勝国の人間「カーン博士」だったんです
「カーン博士」はGHQ=進駐軍の将校でした
当時53歳だった博士は、日本の食糧事情を調べ支援する為に、日本周辺海域の調査に訪れておりました
そして貝殻収集の趣味があったので、築地の魚市場に通い、その折に偶然、日拳ジムで練習をしていた「白井義男」選手を眼にしたのです
「あれはチャンピオンか」
そう尋ねられたジム関係者たちは笑いましたが、実はカーン博士は熱烈なボクシングファンで(ご自身は未経験者)、生物学者として運動生理学に通じた見地から、ボクサーの筋肉など相当な見識と知恵をお持ちの方だったのです
本場アメリカでボクシングを見続けてきた博士の眼が、白井の可能性と素質を見出しました
カーン博士はトレーナーに自分が白井をコーチしたいと頼みジムが許可すると、引退寸前で藁にもすがる気持ちの白井義男は驚きながらもその申し出を受け入れました
ここからハリウッド映画も顔負けな、シンデレラボーイストーリーが始まります
~その2に続く~
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