小川谷廊下 | 鬼川の日誌

小川谷廊下

  丹沢、小川谷廊下  14,8,15


  小川谷廊下は丹沢の中でもきれいな花崗岩の沢ですし、水の中
 に入らざるを得ないところも多く、シャワーも被る。夏向きの沢です。
 もともとは小川谷から東沢を遡り、ユーシンに降り次ぎの日玄倉川
 を泳ぎながら下降するという計画だった。しかしなかなか2日間取
 れる人がいなくて、結局日帰りとなった。

  お盆で交通の混雑が問題で下手に高速に入るのは心配だったの
 で246号線を進むがやはり結構混んでいた。しかしそう大幅な遅れ
 はなく玄倉林道に入れた。
 7~9月一杯仲の沢林道は車通行止めで、ゲート手前に並んだ数台
 の車の後ろに空き地を見つけて駐車する。
 沢では他G誰にも会わなかったから、追いつけなかったのか釣りの
 方だったかもしれない。

  今回少し早めに沢に降りてみた。余り早いと堰堤を沢山越さなけれ
 ばならないので、2つ目か3つ目かの堰堤が林道に近づいたところで、
 ケルンに導かれ沢に降りる。ここは簡単に沢に降り立つ。
 河原で沢装備を着けているとき、早くもヒルが出てきた。この辺も最早
 しっかりヒルに定着されてしまったようだ。

  河原を進むと前方に大きな堰堤が見えたが、梯子が掛かっていた。
 これを越えると見覚えのある小川谷廊下の入口だった。
 ここが10時だから昨年と同じだ。
   

  少し進むと小滝2m。(『関東周辺沢登り』のFナンバーを参考にする
 つもりだったが、どうも遡行図がわけ分からないので止めて、私なりに
 付けることにする。さしあたりこれは鬼F0か。) 


  滝右手を登れる。朝一で花崗岩独特の丸みのあるホールドなので
 そう容易ではない。


  その上が巨大なまん丸チョックストーンが居座る滝(鬼F1)。
 右手のつるつる垂壁にアブミ用にスリングがぶら下がっている。流木
 も立てかけてある。スリングは相当傷んでいて、体重を思い切り掛け
 るのをためらうがこれがないととても難しい。アブミから足を抜いて
 上がる一歩がまた難しい。
 このところ余り天気は良くなかったので、このスリングに水が被って
 いて、ここをシャワークライムするようだと結構大変だと心配したが
 それ程水は多くなく、平常のようだ。 
 2人には補助ロープを出し引き上げる。


  これを越すときれいな滝だ。5,6m程(鬼F2)。


  私は滝左すぐ横の壁を登るが、2人は少し奥の壁を登る。


  段々に流れ降る滝(鬼F3)。10:25頃。


  次々と滝が現れる(鬼F4)。この滝は直登出来ないので左の壁を
 巻き登る。滑るので一応補助ロープを出す。


  その上の小滝は右の滑りそうな岩を這い上がる。


  大岩の右手の小滝は深い釜を持っていて泳いで取り付いても
 流れ激しく無理そう。


  大岩を巻くと、流れの真ん中につるつる岩がある。これは一歩を
 上がるのを失敗しドボンすることが多い。


  これも大岩に堰きとめられた滝(鬼F5)。左の滝の流れを直登する
 のは完全にシャワークライムで難しい。右から巻く。10:45頃。


  少し河原を歩いて3m程の小滝。滝左を登るが今回はここに流れ
 があったので、いつもよりは水が多いようだ。


  ゴルジュとなり大きな釜を持った5m程の滝が現れる(鬼F6)。
 ここで11時頃。
 滝右の壁を登るのも楽しみなのだが今回は見送り、滝右手を巻く。
 しかしこの壁も立っていて取り付きの一歩が結構悪かった。
  

  滝上に出てからのトラバースも余り良くない。


  次ぎの小滝は滝の流れの下を潜り、右手から登る。


  これを上がると先に小川谷名物のつるつるの大岩が見えてくる。
 11:10頃。


  ロープがなければ大岩の下の滝か大岩左を登るが、ロープが
 あれば簡単に上がれる。


  上がったところで昼飯休憩。~11:20頃。


  その先もまたゴルジュとなる。


  一旦少し開けてまたゴルジュ内の小滝。ここは腰まで淵に入り
 流れを直登する。水を被り楽しいところだ。11:30頃。


  その上に出てくるのが7,8mの滝(鬼F7)。結構な流れで迫力あり。


  この流れに圧倒されてほとんどの人は滝を渡らず滝右手の難しい
 壁を登っている。スリングなども下がっている。
 しかし少し水を被るが滝を越えて左手にある壁を登れば階段状で
 ロープなど出さずに登れる。


  越えると直ぐに大コバ沢が10m滝で出会うのが見える。(この位置
 関係も『関東周辺』ではまったく違っている。)11:35頃だから、
 ゴルジュの入口から5分と掛かってない。


  大コバ沢の滝の合流を見上げ、前を見れば石棚のゴルジュとなり
 奥に石棚20mの大滝が見えてくる。ここがハイライト。


  石棚の前衛の滝。7,8m(鬼F8)。
 滝左を小さく巻き登れるが、滝上に出てからが結構厄介な壁となり、
 降りるのが難しい。補助ロープを出す。


  そして石棚20m大滝である(鬼F9)。ここで11:40頃。


  手前の小滝4m程が今回完全なシャワークライムとなってしまった
 から、やはり昨年よりも水量は多いのだろう。 


  石棚はもちろん巻くしかないので、左の岩場を登る。この頃には
 雨も降っており、濡れているので一応ロープを出し登る。滝落ち口
 左辺りにボルトがあり、ビレイ支点にして2人に上がってきてもらう。


  そのまま直上して次ぎのトイ状滝を巻いてしまっても良かったようだ
 が一応トイ状滝下に補助ロープで降りる。12:05頃。


  昨年は私はツッパリでトイ状滝を登り、他は左の崖を巻いた。今回
 左を巻こうとしたが、取り付きが滑って難しい。結局トイ状滝を登ること
 になった。しかし昨年より釜が深くなっていて、全身漬かって滝に取り
 付くことになった。様相は年々変化するものだ。
 ツッパリで何とか登り、2人には補助ロープを流して確保し、突っ張り
 登りを補助しながら登ってもらった。ここは面白かった。


  その上は片側滑り台状で非常に良く滑る。


  これを越えると釜を持ったナメ小滝が続く穏やかな流れとなる。
 12:20頃から。




  適当なところで少し休んでまた進むと流木の溜まり場があった。
 昨年もここには多かったが、やはり昨年よりは今年の方多い。それでも
 ここ小川谷は他の丹沢や奥多摩の沢よりははるかに倒木が少ない。
 沢が流木で埋まってしまった南アルプスのシレイ沢は余りにも酷い。


  とても深い釜を持ったチョックストーン滝。泳いで取り付けば楽しそう
 だが、左を巻く。12:40頃。

  その上の小滝を越えるとまたナメ小滝や穏やかな河原歩きを少し。


  またゴルジュ風となり小滝を越える。12:45頃。


  流れに入りながら。12:50頃。


  そして最後の滝(鬼F10)とその上の壊れた堰堤が見えてくる。
 12:55頃。


  昨年はほとんど埋まっていたと思われる釜が今年は少し深くなって
 いるようだ。そのため滝下から取り付くのが厄介なので、また壁中央
 の残置スリングのあるボルトにヌンチャクを掛ける。このまま直登する
 のはホールド甘くかなり難しいし、今日のように濡れていればほぼ無理。
 左の滝側に移動し流れの直ぐ横にあるホールドを探して登る。ここの
 ホールドが見つかれば難しくはない。むしろ横移動のほうが難しい。
 本来は滝下から取り付ければ早いと思う。


  上の岩にボルトがあるのでこれを支点に2人をビレイして登ってきて
 もらう。2人が登り終わったのが13:20頃。


  壊れた堰堤を潜れば遡行は終わりである。


  河原を進み左の崖に踏み跡らしきを見つけて少し登るとワサビ田の
 跡がある。13:30頃。取り付きを写真に撮るのを忘れたが、河原に
 出てから5分も歩いたろうかというところ。次ぎの堰堤まで登るより
 大分早い。ここで少し休憩。


  先は鹿避け柵となっているので柵沿いに上がり、倒木を跨いで
 上の作業道に出て、これを進むと登山道と合流する。


  いつもながら風化した花崗岩のザレ斜面で、崩壊が激しい登山道だ。
 崩壊地にはロープが張られている。これに助けられながら降っていく。
 一ヶ所崩壊激しく沢で道が寸断されて分かりにくいところがあるが、
 テープを探せば道がある。植林帯に出れば問題ない。
 

  14:30過ぎには林道に出た。昨年より少し早かったようだ。


  県民の森駐車場で着替える。このとき私のズボンに1匹、もう1人の
 靴に2、3匹のヒルが付いていた。その人は手袋の中にいた小さな
 1匹に少し噛まれた。塩をかけると縮まって吸った血が吹き出たようだ
 から塩は非常に効く。
 小川谷も沢から上がって歩く時には、靴に塩水などヒル避け対策を忘
 れないようにしなければならなくなった。ヒルが怖い人は結構多いから
 いい沢なのに行きたがらなくなるだろう。残念だ。
 昨年も廊下入口の沢に降り立った時にいたけれど、帰りに取り付かれ
 ることはなかった。今日は雨降りということもあるかもしれない。

  帰りの246号線は恐れていたとおり非常に混雑していた。進まない
 ので途中レストランで軽くご苦労さん会をやり(もちろん私は残念ながら
 ノンアルビール)、伊勢原駅で2人を降ろして解散した。