森秀行厩舎で

ニシノベースマン
ルイ

2週続けて勝利。

「馬は買えても相性は買えない。」


は昔から馬主と調教師の間で使われる言葉。


もうひとつは

「調教師は馬を預かるのではなく、人を預かる。」


これを忘れて、いい馬ばかりを求める調教師はいい馬主が離れていきます。


森秀行調教師は西山牧場のことをよく考えてくれています。
そう言う厩舎の馬はきちんと走ります。



さて、馬主と調教師の微妙な関係について。


馬主の仕事は調教師に馬を預けることです。


調教師はレースを選択し、騎手を決め馬主に報告し許可をもらいます。

調教師の仕事は他にも、各馬の調教。
そして厩舎管理。厩務員と助手を使わなくてはなりません。

競馬会ともルール、登録の打合せ、見舞金の申請、馬運車、獣医の手配。

もうやることが山ほどあります。

しかし、それもすべて

馬主から馬を預託されて、それからやらなくてはならないことで

なによりも先に

「馬主に預託をしてもらう」

これが最優先です。

預託馬が来なくて厩舎経営はできません。


魔法使いが

「あなたの厩舎には今年はこの馬を預託します。」

と決めてくれることはありません。


そして、馬主は人間です。

好き嫌いの感情はあるし、人生の多少なりとも成功者である馬主は傲慢な人間ばかりです。


さて、具体的な話に入ります。


西山牧場の1歳は39頭います。

これを各調教師にお願いをしなくてはなりません。


39頭の中には、せりに出したらかなり高い値段がつく馬もいます。

5000万は下らないだろう馬。

300万が精一杯の馬。


高い値段のつく馬をどの調教師にお願いをするか?


西山牧場では、当然ですが西山牧場の北海道育成や阿見に休養馬の預託をくれる調教師が最優先です。


その意味ではニシノマナムスメ×ルーラーシップの1歳は
西山牧場を一番使ってくる水野調教師に黙ってお願いします。


あとは相性。


そして重要で微妙な問題ですが

たとえば

「先生、1歳をお願いしたいのですが、来週の土曜日わしは新潟泊まりなので、食事でもいかがでしょうか?」


その週、新潟でうちの馬を使う調教師6人に声をかけたとします。


「わかりました。参加します。」

「次の日朝早いので、せっかくですが、欠席します。」


あなたが馬主ならどちらの調教師にいい馬をお願いしますか?


人間のきわめて公平な感情です。


馬主に会って馬の報告をすること、
故障したら電話だけでなく馬主を訪ねて謝ること。

1歳を頼まれたら、お礼を言うこと。


極めて普通のことができるかできないかで、

預託馬が変わってきます。

1歳を頼まれてもお礼すらない調教師はいます。


翌年から馬の質はどんどん下がります。


わかりやすい、世界です。

森秀行調教師はきちんとしつこいほど連絡してきます。

さすがです。