日本の対中姿勢も自衛上、やむをえないという基調 | 日本のお姉さん

日本の対中姿勢も自衛上、やむをえないという基調

頂門の一針

日本はいま「右傾化」なのか
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古森 義久

自国の領土を外国が奪おうとすれば、それに反対することは、どの国家
にとっても、国民にとっても、ごく普通のことですね(日本の場合、朝
日新聞の若宮啓文主筆がその「普通」の範囲に入るかどうかは別として)

しかしいまの日本の状況は自国領土の保全を正面から説く安倍晋三氏が
自民党総裁に選ばれたことも、「普通」の反応が広範であることを物語
るように思われます。

一方、いまの日本の状況はこれまでの他国との衝突はとにかく避け、自
己主張もしないという無気力日本とは異なるようです。この変化は正常
化です。

でも右傾だなんて、呼ぶ向きもあります。この基準だと、世界のすべて
の国はすべて右傾化してしまったことになります。

このへんの日本に対するアメリカのメディアの報道ぶりを記事にまとめ
ました。

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【ワシントン=古森義久】 (産経新聞)

米国の各メディアが日中両国の尖閣諸島をめぐる対立での日本側の対応
の分析を頻繁に報じるようになった。


中国への強固な態度を集団的自衛権の解禁や憲法改正への動きと結びつ
け、「右傾化」と単純に決めつける向きが一部にある一方、日本がつい
に他の国家並みになってきたとする見方が多い点で今回の日本の変化の
米側の解釈は客観的になったともいえそうだ。

尖閣問題を機とする日本の変化についてはまずワシントン・ポスト21
日付の「日本が右寄りのシフト」という見出しの東京発の長文の記事が
目立った。

同記事は「(日本が)中国のために外交、軍事のスタンスが強硬にも」
という副見出しのとおり、野田首相をタカ派と呼び、中国への強い態度
を「右寄り」と評しながらも、「日本はこれまで世界一の消極平和主義
の国だったのがやっと(他国並みの)中道の地点へと向かうようになっ
たのだ」との見解を強調していた。

同記事は日本の憲法や集団的自衛権の禁止が世界でも異端であることを
説明し、「これまではとにかく中国との対決や摩擦を避ける一方だった
が、日本国民はその方法ではうまくいかないことがわかったのだ」とも
述べていた。

ワシントン・ポストは22日付にも「アジアの好戦的愛国主義者たち=
中国と日本の政治家はナショナリズムに迎合する」という見出しの一見、
日本の動きにも批判的にみえる論文を載せた。

だが内容はほとんどが中国政治指導層への非難で、「日本の政治家も中
国の暴徒扇動には温和な対応をみせたが、なお政治的な計算は忘れなか
った」と述べる程度だった。

AP通信は24日の東京発の「日本の次期政権ではナショナリズムが高
まり、中国との緊迫が強まる」という見出しの記事で自民党の総裁候補
の安倍晋三氏や石破茂氏が対中姿勢を強くしていることをやや批判的に
伝え、日中関係がさらに悪化する見通しを強調した。

しかしこの記事は同時に「日本国民全体がとくに民族主義的になってい
るわけではない」と付記していた。

ニューヨーク・タイムズは23日付で「中日両国のナショナリストたち
がこの領土紛争を利用している」という見出しで尖閣問題を報じた。し
かし内容では中国側が官民で民族主義を高め、日本糾弾を強めているの
に対し、日本側は「第二次大戦以来の平和主義傾向のためなお対決を避
ける様子だったが、中国側の激しい野望がそれを変えてしまった」と伝
え、日本の対中姿勢も自衛上、やむをえないという基調をにじませた。

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