Q:経済的に損失がより大きいのは?A:日中どちらもです。 | 日本のお姉さん

Q:経済的に損失がより大きいのは?A:日中どちらもです。

2012年9月25日発行JMM [Japan Mail Media] No.707 Monday Edition-1
■ 『村上龍、金融経済の専門家たちに聞く』
Q: 経済的損失が大きいのは日中どちらか
◇回答
 □水牛健太郎 :経済評論家

 ■■ 編集長から(寄稿家のみなさんへ)■■

 Q:1278への回答、ありがとうございました。日本の政治家のリーダー候補は、

以前よりは幾分若くなりましたが、もっと若くてもいいのにといつも思います。わたしは、今年還暦を迎えたこともあり、加齢による心身の衰えには敏感になっています。

体力はもちろんですが、精神面で衰えが激しいのは「ひらめき」ではないでしょうか。

「限りなく透明に近いブルー」や「コインロッカー・ベイビーズ」は、二十代でなけ
れば書けなかったと思うようになりました。

 歳とともに、知識やネットワークは多少増えますが、体力の衰えは生物学的に、また医学的にどうしようもないことで、昔のような「調整型」の政治ならまだしも、世
界中を飛び回り、強烈なリーダーシップが必要な時代には、いろいろな意味で若さが必要な気がします。

 最近、若い人が集まる「焼き肉屋」などが苦手になってきました。大声を出さないと会話ができないようなにぎやかな店は疲れてしまうのです。わたしは、基本的に面倒くさがりなので、都内で食事する店は非常に限られています。馴染みの店は、定宿のホテル内のレストランを含めても、10軒もありません。

 移動も面倒くさいので、新宿を中心に、東は四ッ谷まで、南東方面は六本木まで、南は渋谷までが、エリア的に限界です。ちなみに渋谷では、スペイン料理の「LA
PLAYA(ラ・プラーヤ)」という店に最近よく行きます。店主(わたしと同じ九州男
児です)が少々口うるさいですが、とても繊細でおいしい料理を出してくれます。生ハムの質、それに切り方も、本場スペインと比べて遜色がありません。リオハをはじめワインも充実していて、おまけに、とても静かなのです。
■今回の質問【Q:1279(番外編)】

 中国の対日感情が悪化しています。悪化した日中関係がこのまま続いた場合、経済的に損失がより大きいのは、日中どちらなのでしょうか。
 村上龍
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 ■ 水牛健太郎 :経済評論家

 計測の仕方はいろいろあり得ると思います。そして、そこにいろいろ思惑も絡むでしょう。日本側としては「中国の方が損失が大きい」と言いたい動機があるでしょうし、中国側にしてみれば「日本の方が・・・」ということにしておきたいでしょう。
ある関係において主導権を握るのは「その関係が自分にとって重要でない方」です。
男女関係でも、経済的な取引でも、そして国と国との関係でも言えることだと思います。

 要するに、「あなたは自分にとってはいつでも切れる、大して重要ではない人なのだ」という立場に立つAさんと、「あなたとの関係は自分にとってはなくてはならないものだ」というBさんとでは、Aさんの方が強いということです。恋愛の駆け引きで女性が(男性でもいいですが)「気のない素振り」をするゆえんです。だから外交関係でも「この関係が失われると、相手の方が損失が大きい」ということにしたいわけです。

 「経済的な損失」というのはあいまいな概念で、どこまで入れるのかによって大きくも、小さくもなります。「巨人が優勝したことによる経済効果」というのと、あい
まいさは似たようなものです。ですから「日本の方が損失が大きい」という計算結果でも、「中国の方が損失が大きい」という計算結果でも、どっちでも好き勝手に数字を作れると思います。客観的なしっかりした基準がない時に、政治的な思惑があると、

数字などいくらでも作れてしまうということは、原発事故以来かなり常識になってきたと思います。
 
 ですので、知的に誠実な回答を心がけますと、「経済的に損失が大きいのはどちらなのかは分からない」ということになるでしょう。

 「どちらなのか分からない」ということを回答とする、もう一つの理由があります。

それは、経済は基本的に相互主義の原理で成り立っているからです。

 最も単純な経済関係の例として、漁師と農家が魚と野菜を交換することを考えてみます。漁師にとってたくさんある魚の価値は低く、野菜は貴重です。農家にとっては野菜はいくらでもあり、一方魚は貴重です。ですから交換が成立します。交換が成立したということは、お互いに「得をした」「よかった」と思っているということです。

そうでなければどちらかが交換を拒否するので、取引が成立しません。

 このとき、どっちの得が大きいか、というのは分かりません。漁師は内心「雑魚の代わりにこんないい野菜を手に入れた。あの農家は馬鹿だな」と思っているかもしれません。でも、その時農家も「しめしめ。漁師の馬鹿め」と考えているということは十分あり得ます。どっちが正しいのかというのは分かりません。そもそも取引が成立しているということは、両者の物差しが違うことが大前提なわけです。漁師は野菜の方を魚より高く評価する物差しを持っており、農家はその逆です。だから交換が成り立ちます。そもそも物差しが違うから、「こっちの方が確かに得をした」とは言えないわけです。(分かりやすさのために物々交換の例を挙げましたが、貨幣による通常の取引でも、取引が成立している以上、お互いに利益を見出しているという点は同じです。)



 詐欺や脅迫で、明らかに不利な取引をするということもありますが、そんなによくあることではありません。そういう取引は、損をさせられた方が取引を打ち切りたいと思うので、長く続きません。過去にはマンハッタン島全部をほんのわずかの金貨と引き替えに白人に売ってしまったネイティブ・アメリカンの例などがありました。
「無知ゆえ」とも言えるし「当時のネイティブ・アメリカンの価値観ではそれで十分に得をしていた」ということも事実です。要するに、取引が成立する以上、お互いに得をしたと思っている、ということだけが真実で、どちらがどれだけ、というのは客観的な物差しが存在しないわけです。

 日中は1972年の国交正常化以降、経済関係を急速に発展させてきました。そこには「過去の償い」といった「非経済的」な感情がないわけではなかったのですが、それだけではここまで続き、拡大するということはありません。両国は政治体制も違い、お互いの間に命令や強制が成立するような間柄でもありませんでした。ネイティブ・アメリカンの例とは違い、何百年たとうが「実はどっちかがどっちかをだましていた」ということにも、なりそうにありません。

 要するに、お互いにしっかり得をしながら、一つ一つの取引を積み重ねてきた結果、

ここまで取引が拡大したということです。製品やサービスの購入だろうと、労働者の雇用だろうと、直接投資だろうと、基本はみんな同じです。どっちの得が大きかったのでしょうか。それは分かりません。


ただ一つ、確実に言えることはどっちも「得をした」と思っていたことだけです。

日本も中国も、それはもう、大変に得をしたのです。


かつての不幸な関係を思えば、それがどれだけ真っ当で前向きなことだったか。

 それでは、日中関係が悪化して、お互いに得になる、これまでの関係が失われて、どっちの損が大きいのでしょうか。やはり、分かりません。


ただ一つ、確かなこと。


それは、日本も、中国も、計り知れないほど損をするということ。それだけです。

 経済評論家:水牛健太郎
JMMホームページにて、過去のすべてのアーカイブが見られます。○○●

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チュウゴク軍は経済の損よりも(軍人の仕事は経済活動ではなくて戦争だから当然。)尖閣諸島を欲しくて欲しくて

気が狂ったようになっているのだろう。

悠長に構えていては、奪われます。尖閣諸島の次は沖縄を奪われ、その次は日本を奪われる。チュウゴクは、昔から侵略国家だからそれが普通の考えなのです。文明国家ではないから。

日本人は、ひとつになって

きちんとした政治家を選ぶ必要がある。

民主党政権では、どんどんロシア、韓国、北朝鮮、チュウゴクに甘く見られて

どんどん国益を損なう。

領土は意地でも守らないと、チュウゴクは、韓国の大統領をマネて「チュウゴクだけが弱気なのはなぜだ!」と言って強気に出てきたらしい。

 ( http://ryumurakami.jmm.co.jp/ )
JMM [Japan Mail Media] No.707 Monday Edition-1
【発行】  有限会社 村上龍事務所
【編集】  村上龍
【発行部数】101,417部
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