兵力の逐次投入はもっとも愚かな作戦である | 日本のお姉さん

兵力の逐次投入はもっとも愚かな作戦である

「宮崎正弘の国際ニュース・早読み」 
       平成23年(2011)3月18日(金曜日)貳
       通巻第3268号 


復興國債、発想は良いが発行金額が十兆円は少なすぎないか
  兵力の逐次投入はもっとも愚かな作戦である
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 子供手当を凍結し、国会議員の歳費を四割削減し、余剰経費をすべて復興にまわしても、不足する。どう逆立ちしても、3兆3000億円程度の財源しか確保できないことが分かった。

 だから「震災復興國債」を緊急に発行することになり、日銀は十兆円を引き受ける(らしい)。
 すでに日銀の当座預金は三十一兆円強に膨らみ、市中にカネを供給し続けている。震災発生以来、連続しており、三十兆円をこえたのは金融緩和策をとった2006年以来、五年ぶりという。

 だが発想の規模が少ないのではないか。
 08年リーマンショック直後、まだGDP三位だった中国はいきなり57兆円の財政出動をきめ、さらに銀行貸し出しを120兆円、翌年は130兆円。
 シュリンクする筈だった中国経済は逆にV字恢復となった。
つまり、これで中国はGDP世界第二位となって、2010年には日本を蹴落としたのだが、ここに示されたのは「決断」である。

 しかるに民主党政権は決断できない烏合の衆である。
 「菅総理に、初め二万人、次に五万人、その次六万五千で、十三日には十万人出動といわれた自衛隊の隊員は、いま黙々と被害者救出の主力として作業に当たっており、救出した被災者は現在一万八千人を超えていると言われる。瓦礫のなかから、生後数ヶ月の赤ちゃんを抱き上げてほほえむ自衛官の姿が感動的だった」(西村真悟の『時事通信』、3月17日号)。

 いま日本は戦争をやっていると同じ環境にあることを忘れてはならないだろう。この戦争は負けるわけにはいかないのである。

 兵力を一気に投入しなければ、米軍とてイラク戦争緒戦の勝利はなく、逐次投入のへたな作戦の結果、アフガニタンでゲリラにあれほど手こずることになった。

 いま日本政府の決断は20兆円ではない、十倍の200兆円の復興國債を発行せよ!
 国債格付けが落ちる? 海外投資家が買うわけではなく、国民の金融資産が自然と担保になるのであり、財政緊縮策をとなえる悲観論者を一気に後退させ、景気を回復できる一石三鳥の効果がある。

この国債は被災地復興だけの目的ではない。日本経済全体の復活のために、である。災い転じて福となすように、発想の大転換が求められているのではないか。
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(読者の声1)「原発施設の改善を妨害してきたマスコミの罪と今後の対応」
今回の福島原発の大事故について、マスコミに東電の施設改善の遅れという批判がある。
しかし原発の改善にいつもブレーキをかけてきたのはマスコミではなかったか。それが設備の改良を送らせて今回の大事故につながったといえる。
マスコミはわずかな放射線漏れも大騒ぎである。
このためマスコミの反政府煽動をおそれた政治家は原子力問題の論議を凍結し、電力会社も原発問題については常に隠蔽してきた。このため原発会社の現場でも自由な設備改善論議が封じられていたのではないか。

このマスコミの反原発の背後には日本の核自衛を妨害しようとする反日国家の対日政策が見え隠れする。
その証拠にあれほど騒ぐ日本のマスコミは反日国家の核開発にはいっさい沈黙だ。それどころか「社会主義国家の原爆はきれいな原爆」とまで言いだす始末だ。
反日国家は日本が戦後スパイ防止法を奪われたことを良いことに、政治家、政党、マスコミ、大学、文化、出版界に浸透し、日本の原子力利用能力を奪うように、たえず撹乱工作を続けてきた。
そして今や健康に害のないわずかな放射線の漏洩でさえヒステリックに騒ぐ日本人をみてほくそ笑んでいるのである。
日本はエネルギー資源がないので原子力発電を利用しなければ生き残ることはできない。
したがってエネルギーの安定供給を確保するために、原発の設置地域としてはツナミ銀座の三陸地方は避け、歴史的に地震や津波の少ない中国地方などに設置すべきである。
これもマスコミがセンセーショナルに騒ぐために、政治家が無知な住民に金をばらまいて設置にOKを言わせるような、国家的見地を欠いた立地選択が行われてきた。
原発の技術については今回の事故でギブアップしてはならない。
戦前、潜水艦事故で殉職した佐久間艇長は、その遺書で事故によって日本の潜水艦開発を遅らせてはならないと述べている。人間の歴史をみると大きな技術はほとんどと言ってよいほど犠牲を伴ってきた。しかし重要なのは事故であきらめずに改良を進めることである。それが尊い犠牲を無駄にしないことになる。止めてしまえば全部無駄になってしまう。
その意味で日本人はこの大事故を機会に、原子力発電をより安全で安定したエネルギー技術にするため、一層の技術改良を進めなければならない。
そのためにも国民は無責任なマスコミの報道に騙されないようにこれまで以上に原子力発電の知識深め、またマスコミの原発報道を厳しく監視する必要がある。
 (東海子)

(宮崎正弘のコメント)ネバー・ギブアップ。  
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◎毎日一行● 一ドル=76円、誰だ日本経済をドン底に突き落とそうとしているのは?

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(読者の声2)お亡くなりになられた方に対しては申し訳ないけれど、今度の地震復興への一致団結した協力ぶりに、日本人の素晴らしさを世界中に知らせることが出来た。
日本人自身にも、民族としての誇りを取り戻せるよい機会を与えられたと、誰もが日本人でよかった。そう思っていると思うのです。
菅さんの狼狽振りを見て、リーダーたる素質もないのに、それにしがみつく醜さを嫌というほど見せ付けられますと、日本人本来の勤勉で、骨惜しみしない、そういう人間にどうしたらなれるか、そんな事を真剣に考える若者が増えてくると思います。
若者が、「感動する心」を失っていなかったことも大きな喜びです。
 (FF子、小平)

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(読者の声3)今回の東北地方に於ける震災及び津波被害の被災者を悼み、貴誌の投稿の場を借り死者の遺族の方々にはお悔やみ申し上げます。
そして、今現在建物の下敷きや他の悪条件下に置かれている方々には何としてもサバイバルして頂きたいと想わずにいられません。
また被災地で全力を尽くしておられる自衛官をはじめ警察官、消防官、海上保安官、電力関係者、鉄道や道路復旧や救援にあたる人々その他に対しては限りない尊敬の念と感謝の意を表したい。
素晴らしい人々よ、ありがとう!
さてその素晴らしい人々が選んでしまったゴミの様な悪臭放つ政治家達、その筆頭が菅直人である。
私は正直、いくらこの様なゴミ男でもここという時には国家国民に対して死ぬ気で奉仕するのであろうと思っていたがどうも甘かった様だ。
ゴミは腐ってもやはりゴミなのである。
例えば東京電力での3時間に亘るヒステリー癇癪....オマエなぁ....日本国首相だろうが? さらには辻元清美の大臣任命? あの犯罪者は神戸でさんざん自衛隊の救助活動を邪魔した腐った汚物だろ。
蓮舫にいたっては自衛隊破壊活動をしてきた元凶じゃないか。一体この緊急事態に何を選挙の事を考えているんだ。指導力ゼロの(東京電力でなく)民主党はもう政党としても終わりだ。
政党解散!

とはいえ、ゴミの様な連中でも選ばれてしまった以上は取り敢えず仕方がない。管よオマエに少しでも良心や祖国国民に対する愛情があるならば自民党の幹部の前に行き土下座をしてでも挙国一致内閣を組閣せよ!
自民党も国民の為には2年間の休戦に応じろ。
今回はっきりと分かったのは、20万人程度の自衛隊では全然日本国を守れないという事だ。自衛隊、警察、消防署、地方自治体などでの良質のマンパワー補充の為には韓国やイスラエルの様に義務徴兵が議論に上る事だろう。
外国での扇動的な「アポカリプス(黙示録)的報道」が正しいのか、日本の誘導的鎮静的な「情報出し惜しみ」報道のあり方が正しいのかという問題ですが、国民をパニックに落としいれず沈静化させる為に「不必要な情報」を流さないという考え方はそれなりに分かる。
非常時に無責任な報道するのは犯罪的行為である。
だが同時に出来るだけ国民に行動の指針の判断材料となる正確情報を提供する事は国家や報道機関の義務である。出鱈目を言うとかえって不安が増大する。

石原慎太郎氏の「天罰」失言が問題になっている様ですが、外国メディアの「黙示録的」扇動報道と同じ流れです。
環境主義者はここぞとばかりに原子力発電反対デモを始めた。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20110314-OYT1T00740.htm


まず、地震や津波など自然災害と原子力の問題を分けて考えなくてはいけない。
自然災害に関しては最近ある日本の外交官が外国のテレビインタビューの中での発言が光った。
曰く、「日本の歴史は自然災害との闘いの歴史なのです。そして、またその中にチャレンジがあるのです」。
そう。よく日本の歴史は自然との調和の歴史と言いますが出鱈目です。日本には縄文以前から地震、津波、台風、雷、雪害等の自然災害が繰り返してあった。
それらを克服するのが日本の歴史であったのです。

原子力発電に関しては放射能漏れの恐れのある現在、あれこれ言うのはまだ早いので状況を注意深く見守らなくてはならない。
まずは発電所の消火と冷却からだが、沈静後は日本中の原子力発電所の根本的点検と対策を行うべき。そして、安全保障最優先して経済至上主義を排して東京電力国有化を断行せねばなるまい。

そして開かれた議論を尽くす事が必要ではないか。原子力の放射能の問題もあるが、一方で資源の無い日本は石油エネルギーの供給の90パーセントを不安定な中東に頼っている。
これは放射能と同等以上に深刻な問題なのである。
もし日本人が今後もテレビやラジオやコンピューターを使ったり、エレベーターや電車に乗ったり、電灯やエアコンでの冷暖房を止めて江戸時代に戻る覚悟があるなら兎も角としてそうでないなら、節電や代替エネルギーの開発使用は当然としても、今後数十年は温暖化対策もあり二酸化炭素の出ないクリーンなエネルギーである原子力発電を止めるという現在の欧米報道の扇動と誘導方向は無責任である。
(道楽Q)

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(読者の声4)貴誌前号の投書欄に「福島原発事故はシステム設計の問題」とありました。
福島第1発電所1~4号機はマーク1型で、すべてGEの設計を東芝・日立が下請けしたり施工(学んだ)したものと聞いています。炉心は緊急停止しており、本体には問題有りませんが、今起きている問題は停止後の余熱処理です。だから正確には「空焚き」ではありません。
熱くなった炉心は、普通に扱えるまでに3日冷却を続けなければなりません(第2は完了)し、再処理に回すためには貯蔵プールで2~3年冷やし続けなければならないと聞いています。
今回は、その冷却設備(電源)が「津波」で破壊されたため、冷却が出来ず、予備のバッテリーも8時間で尽き、他からも回せず、ついに周りに被害を及ぼしつつある状況と認識しています。従って、システム設計ミスと言えばそうなのかもしれませんが、「津波」が想定外に大きかったのが「輸入品」の背負った品質ではないかと思います。
 (AK生)

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(読者の声5)福島二号が大丈夫であっただけに残念な気がしますが、やけ火箸なら水につければ簡単にもとの火箸に戻るのとは異なり、燃料棒の冷却がいかに難しいか、・・・
 煮ても焼いても食えない、燃料棒のしぶとさを目の当たりに見て改めて原子力問題の難しさに 言葉もありません。
数年前の<原発ルネッサンス>を思うと、世の無常を思わざるをえません。
  (TK生、世田谷)
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樋泉克夫のコラム
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【知道中国 543回】                   
     ―プロレタリア階級独裁の“正義の鉄拳”は凄惨で冷酷・無慈悲だ
        『反文革第一人及其同案犯』(劉文忠 澳門崇適文化 2008年)
  ▽
 1967年3月23日、当時の上海を押さえていた四人組一派が「プロレタリア文化大革命断固死守、反革命徹底鎮圧」を掲げ、文革が始まって以来初の大規模な人民裁判を敢行した。
雁字搦めに縛りあげられた「反革命犯」が、熱狂と怒号の中に引き出される。

 1957年の反右派闘争時、「狂気のままに共産党の指導と社会主義制度を攻撃し、歴代の政治運動と政策を汚し」、62年には「反革命集団の頭目として船舶を強奪し敵への投降を企て、プロレタリア文化大革命発動後は党中央のプロレタリア文化大革命に関する決定(十六条)に難癖をつけ、反革命の十六条をデッチ挙げ全国8大都市の14大学に郵送せんとし、限りなく薄汚く憎悪に満ちた調子で我が偉大なる領袖を呪い罵倒した。

社会主義制度を戦争の引き金と攻撃し、プロレタリア文化大革命を人民にとっての大災害と罵しる一方でブルジョワ階級の『平和・民主・平等・博愛』を大いに宣揚し、ソ連修正主義とアメリカ帝国主義を徹底して鼓吹した」。
かくて「悔い改めない極悪犯罪者、人民にとって敵であり骨の髄まで反革命分子である」彼は、「プロレタリア文化大革命の遅滞なき前進のため」に死刑判決を受け、即刻銃殺。もちろん、遺族は遺体に射込まれた銃弾の代金を請求されている。 

当時の「上海市中級人民法院刑事判決書」に「劉犯文輝」と記されているのが著者の兄。当時30歳で独身。

現在でも中国では判決に際し姓と名前の間に「犯」の一字を差し挟んでいるかどうかは知らないが、ここにも“被告の人権”などという大甘な考えなど歯牙にも掛けない中国社会の一面が見られる。
かくも徹底して冷厳・冷酷・冷血になれるらしい。

 幼少の頃から著者が慕う兄は勉強熱心で正義感に溢れ、早くから「毛沢東の本質はマルクス・レーニン主義者ではなく、根っからの農民策謀家だ。骨の髄から我が国特有の封建帝王意識が染み付いている彼の振る舞い、作風、手段、謀略は、我が国の伝統的な封建文化思想に根ざしている」と、著者である弟に密かに漏らしていた。
 
父親は台湾にも香港にも逃亡する道を拒否し、新たに成立した共産党政権を一家を挙げて支持・歓迎した。
だが建国前後に中国支援のための国際援助機関に勤務したことが原因で、「敵に投降し、台湾・香港の国民党分子と結託し、狂ったように反革命陰謀活動を進めた」右派とされ、「人民に学ぶため」に毎朝、町内の道路掃除を義務付けられた。

人々の悪罵と嘲笑と暴力に耐えながらのそれは、近隣からの絶えざるリンチでしかない。かくて父親は感情を失った動く植物人間に。兄も父親と同じ仕打ちを受けるが、反攻の機を待つ。
 
やがて文革がはじまるや、兄は「党中央のプロレタリア文化大革命に関する決定(十六条)」を徹底批判した。

たとえば毛沢東の「革命を掴み、生産を促す」という考えに対し、「西欧社会に向かって国を大きく開放し、外国の先進科学の知識と技術を導入し、現代化建設を進めなければダメだ」と訴えた。
兄が秘密裏に書いた反毛論文を北京大学などの学生組織へ郵送すべく投函した著者は19歳で逮捕され、長く苦しい獄中生活を余儀なくされる。

彼は兄を悼みつつ、「全国が解放されて17年後の文革の暴風のなかで数えきらないほどの人々が鬼(霊魂)にされてしまったことを、いったい誰が想像できるだろうか。
地獄に国の境があるかどうかは知らない。だが地獄に中国という標識が立っていたなら、そこは失意のまま、あるいは恨みを残したまま死んだ怨霊に満ち溢れているはずだ」と呟く。
 中国共産党の冷徹無比で無理無体な政治を知る最良の教科書だと、断言しておく。
《QED》

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