ある意味で、情報格差が住宅ローン自殺の境界線になっているのだ。吉川博文 | 日本のお姉さん

ある意味で、情報格差が住宅ローン自殺の境界線になっているのだ。吉川博文

あなたの家計も危ない!「ローン破綻」の見えない信号
プレジデント4月 8日(木) 10時 0分配信 / 経済 - 経済総合
 私は吉田猫次郎というペンネームで借金に関する書籍の執筆をしたり、中小企業経営者のコンサルティングを行っている。そのベースは、実家の事業資金の連帯保証人になったのがきっかけで、総額7500万円の多重債務となったものの、自力で債務整理を行い、借金を3000万円以下に減額し、分割で返済できるようにした10年前の実体験だ。

 いま毎月1回、電話での無料相談を4人体制で受け付けており、午前10時から午後6時まで電話が鳴りっぱなしで、昼食やトイレ休憩もろくにとれない状態だ。本来、中小企業の事業再生を目的にした相談であるのにもかかわらず、そのうちの半分近くが住宅ローン関係である。
 インターネットを通して相談会の告知を行っていることもあり、相談者の年齢層は40~50代が一番多い。しかし、職業や年収を見ていくと、相談者の層は実に幅広い。一般的なサラリーマンだけでなく、上場企業の管理職、堅実と思われがちな公務員、有名ベンチャー企業社長、果ては医師なども含まれる。
 それだけに彼らの特徴を挙げることは難しいのだが、あえていうなら

(1)頭金ゼロなど無理なローンを組んでいる、

(2)不況で勤め先が減収減益になるなど仕事そのものが不安定になってきている、

(3)たとえ高収入を得ていても株や不動産の投資に失敗した──ということ。
「住宅ローンの返済が苦しくなるなんて、だらしない人なんだろう」と思うかもしれない。自動車ローン、教育ローンなど多少ローン漬けのきらいはあるものの、彼らにしてみれば必要と思うものに積極的に投資しているのだ。守りよりも攻めに強いタイプが多いように思う。

 具体的な相談を受ける際には、ローンの残高と、マイホームの時価を事前に調べるようにアドバイスしている。すると時価1000万円に対して残高3000万円というようなオーバーローンであることが少なくない。そうした場合には一つの選択肢として、「価値のないマイホームを維持するのに一生振り回されるような馬鹿げたことはやめてはどうか」と話す。
 そういうと、すぐに「マイホームを失って一家離散」という最悪の事態を想定する人がいる。しかし、返済をとめてもすぐ家が競売にかかるわけではないし、競売にかかっても、その手続きには半年以上はかかる。その間にいろいろ対策を講じることができるのだ。最近は救済策が急増している。ぜひ前向きに情報収集してほしい。

 私たちのところに電話をかけてくる人は、インターネットで借金整理に関する情報を収集するなかで相談会のことを知った人が多いだけに、合理的にメリット・デメリットを判断できる。だから私の話にうなずき、借金の整理に向けて大きな一歩を踏み出す人の割合が大きい。
 しかしネットを見ない人は、そうした解決策を知らないまま、一人で悩みを抱え込むことが多い。そして、そんな情報格差が一因となって自殺という最大の悲劇を生み出している。
 昨年の自殺者数は3万2753人。12年連続で3万人を超えた。経済的要因による自殺が増えているといわれているが、私はなかでも住宅ローンの返済に苦しんでいた人が多いと見ている。ある意味で、情報格差が住宅ローン自殺の境界線になっているのだ。

 何を隠そう私も多重債務を抱えていたときに本気で自殺を考えたことがあり、その苦しみが痛いほどわかる。だから最後に一言いいたい。「ローンを全額返すか、それとも破産か自殺かと、両極端な考えはやめろ。住宅ローンに人生を振り回されるな!」と。解決方法は何種類もある。それに、日本は法治国家であり、万一借金が返せない事態に陥っても「死刑」になるという法律はなく、また憲法で「健康で文化的な最低限度の生活」を保障されているではないか。当然、死んで償う必要などない。どんな事態に陥っても、人間らしい暮らしはできるのだ。

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NEKO-KEN代表取締役
吉川博文
よしかわ・ひろふみ 大手商社勤務中に、家業の連帯保証人になり多重債務を抱える。その危機を脱した経験に基づいた企業再生相談などを行う。
http://www.nekojiro.net/

伊藤博之=構成
http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20100408-00000001-president-bus_all


日本人はまじめなのが取り柄だが、まじめすぎて

自殺するのは、間違っているよ。

困っているまじめな日本人の役に立つ

いい記事だと思いました。