チタンがダメなら、東レの炭素系繊維はどうですか? | 日本のお姉さん

チタンがダメなら、東レの炭素系繊維はどうですか?

ロシア外相「経済制裁はボーイング社に対するチタンチャンスを奪う。」

10月24日イタル・タス通信社の報道によると、アメリカの新しい経済制裁は、ロソボロネクスポート社のみならずその子会社をも対象とするため、ボーイング社に対するロシアのチタン供給が遅れるであろうといいます。ボーイング社のモスクワ事務所は、アメリカ国務省の説明を待ってから、チタンの輸出が今後どうなるか今週には明らかになる予定と発表しています。
・ロソボロネクスポート社が、ロシア政府の管理下にある武器輸出会社であり、かつプーチン首相の影響下にあることに言及し、このような会社にチタンの供給を依存することにはリスクがあることは、これまでのIISIA デイリー・レポートでお伝えしてきました(2007年7月30日号参照)。
・アメリカ政府の今回の経済制裁は、ロシアがイランのブーシェフル原発のための軽水炉を供給する契約を行っていることも理由の一つとしてあげられています。なお、ボーイング社は2005年に発表されたドリームライナー(ボーイング787)への各国からの大量受注によってすでに納期は一年近く遅延しており、航空機製造に欠かせないチタン入手のめどが立たない今、更なる納期の遅れが懸念されます。
http://www.haradatakeo.com/

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2006年5月の記事。

ロシア、チタン会社、国有化へ (清谷信一公式ブログ)↓

http://kiyotani.at.webry.info/200605/article_21.html

 ロシア政府は世界のチタン生産量の3割を占めるVSMPO-アビスマ社の国営化するとのことです。

 最近石油や資源が高騰して懐が豊かになったロシアはその資源戦略の一端としてチタンも国家統制下におこうという腹づもりです。
 同社はエアバス、ボーイングなどの旅客機は勿論先進国の軍用機用のチタンも供給しています。
 チタン、或いは複数のレアメタルの輸出入を管理すると云うことを行えば、西側諸国のキンタマを握れる、というわけです。

 この資源高騰を利用してロシアは軍備の拡張を図っています。国家兵器プログラム、GPV-2015なる計画の元に、ソ連崩壊後衰退著しいロシア軍の装備と軍自体の近代化に乗り出しています。
 06年の国防予算は6670億ルーブル(246億ドル)です。05年度が5500億ルーブル、04年度が4300億ルーブルですから2年前の1.55倍となります。
 
 ロシアは核戦力の近代化、通常戦力の近代化に力を入れておりますが、将校の待遇も大幅に改善されます。何しろ給料と待遇が悪いので昨年だけで一万四千名の将校が軍を去っております。
 政府は今年から08年までに段階的に67パーセントの将校の賃上げを約束しております。

 短期的にロシアの軍の立て直しは我が国の脅威とはならないでしょう。が、中長期的には警戒すべきレベルになるでしょう。
 もっともプーチンが軍を強化するのは世論の支持を得るためというのが大きいと思います。自信を失ったロシア人達は強い祖国をもとめていますから。
 彼が次期大統領に席を譲るにしろ、自分が居座るにしても強いロシアは必要です。

 しかしロシアが軍事力を拡大してもウクライナが離反し、中央アジアでイスラム教徒の造反やらで大変でしょう。ですから余程のことがない限り我が国が心配するような事態にはならないと思います。

 しかもその原資が現在のところ資源の高騰頼みですから。

(共同通信 05月20日 08時18分)
http://www.oricon.co.jp/news/internal/22224/

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米国ボーイング社787向け複合材主翼の初号機を出荷

 2007年5月13日の記事です。↓

http://www.mhi.co.jp/news/story/200705134581.html

三菱重工業は14日、米国ボーイング社の次期主力旅客機787向け複合材主翼の初号機を名古屋航空宇宙システム製作所大江工場(愛知県名古屋市港区)から出荷する。翼長約30mの大型旅客機主翼に世界で初めて複合材を採用したもので、初号機は、同工場に隣接する東名古屋港埠頭から船で中部国際空港へ運ばれてのち、専用貨物機(ドリームリフター)でボーイング社エバレット工場(ワシントン州エバレット市)へ輸送される。大江工場ではこの出荷に先立って13日、これを記念する式典を行った。


米国ボーイング社787向け複合材主翼 初号機出荷式

 新型旅客機787は、全長57m、翼幅60m、全高17m(以上、標準仕様)の中型機で、座席数は210~250席。革新的な設計・製造手法の導入、最先端材料の採用、パートナー企業との新たな協力関係の確立など、民間航空機の歴史に新たな地平を切り拓きながら、ボーイング社が開発を進めているもので、機体構造に占める日本メーカーの分担比率は過去最高の35%。このうち、当社の担当は複合材を採用した主翼の製造で、大型旅客機の主翼を手掛けるのは、ボーイング社、エアバス社などの機体取り纏めメーカー以外では今回の当社が初めて。

 当社はこのため、世界最大級のオートクレーブ(複合材硬化炉)を導入して複合材部品の成形を行う複合材工場と、大型主翼の組立を手掛ける組立工場をそれぞれ2006年6月と9月に名古屋航空宇宙システム製作所に新設、また、複合材主翼に組み込む強度部材(ストリンガー)を生産する専用の航空機工場を同年4月、下関造船所(山口県下関市東大和町)に建設して、787の複合材主翼の製造に取り組んできた。

 主翼に採用した複合材は炭素繊維と樹脂を組み合わせた炭素繊維強化プラスチック(CFRP)。従来のアルミ合金やチタン合金に比べ強度・剛性および耐蝕性に優れている。
 ボーイング社によれば、複合材の採用による軽量化に加え、先進エンジンの適用、最新の空気力学に基づいた機体形状などにより、従来機比約20%の燃費向上と約30%の整備コストの低減が期待できる。

 ボーイング787は現在、2007年の初飛行、2008年の就航を目指し、試作初号機製造の仕上げの作業が進められているが、当社は、今回の主翼初号機の出荷を新たな出発点として、これからも、長期にわたり数多くの需要が見込まれる787の主翼に取り組み、大型複合材主翼設計・製造において比類ない技術を確立して「世界の主翼センター」としての地位を築いていく。

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ボーイング787

2007/5/17

 米ボーイング社の次世代主力旅客機「787」(通称ドリームライナー)1号機向け主翼を三菱重工業が14日、出荷しました。同社のほか、川崎重工業が主翼、中胴の結合部、中央翼を、富士重工業が主翼フェアリング(整流主翼付け根前部の覆い)などを供給します。日本企業の担当比率は合計で35%を占め、ボーイング社自身の担当割合とほぼ同じです。さらに機体の軽量化に最も貢献するとされる炭素系繊維は東レが2021年までの長期供給契約に基づいて全量を供給するなど日本の技術が多く採用されています。

                  ◆◇◆

 787は2008年の就航予定で、ボーイング757、767、777の一部の後継となる次世代中型旅客機です。全長57メートル、翼幅60メートル、全高17メートルで、座席数は210~250席です。

 最大の特徴は炭素繊維と樹脂で作った炭素繊維強化プラスチックを本格的に採用している点です。1機あたり炭素繊維強化プラスチックが35トン、炭素繊維が23トンで、機体の重量比で50%超となっています。これまでの最新鋭機の機体には通常、アルミ合金やチタン合金などが利用されており、ここまで炭素系繊維が使われるのは初めてです。

 炭素系繊維は強度が高いため、機体全体の軽量化を図ることができ、従来機種に比べ約20%の燃費向上と約30%の整備コスト削減が実現できます。

                  ◆◇◆

 787の開発では、計画段階から二転三転しました。1990年代後半、ボーイング社は、エアバス社の完全2階建て超大型旅客機「A380」への対抗を明確にするため、747の機体を長くした超大型機「747X」を計画しました。しかし、A380の開発が本格化すると、大型化による対抗ではなく、音速に近い速度で巡航できる高速化という新しいコンセプトを打ち出し、01年初からは「ソニック・クルーザー」の名称で後継旅客機の研究・開発を始めました。

 しかし、この計画は同年9月の米中枢同時テロで変更を余儀なくされました。テロ後の旅客需要低迷が航空各社の経営に打撃を与えたからです。航空各社は運航経費の抑制にウエートを置くようになり、中でも燃費を重視しました。そこでボーイング社は、767クラスの双発中型旅客機を次世代主力機とし、787のコンセプトが固まっていきました。このコンセプトを実現するには、炭素系繊維による軽量化が不可欠で、この素材やその加工技術を得意とする日本企業が評価されたのです。

 787はこれまでの3年間に43社から514機を受注しました。737が初号機納入までに724機を受注したという記録がありますが、これを破りそうな勢いです。ボーイング社では来年以降、月間10機の生産を計画していますが、受注ペースはこれを上回っており、増産計画を打ち出すとみられます。そうなれば、日本企業への発注も増えそうです。(平尾孝)

http://www.business-i.jp/print/article/200705170005o.nwc