▼デリバティブという大量破壊兵器爆発の脅威 (田村秀男) ▼事故米転売問題をもっと考える (江草 | 日本のお姉さん

▼デリバティブという大量破壊兵器爆発の脅威 (田村秀男) ▼事故米転売問題をもっと考える (江草

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▼デリバティブという大量破壊兵器爆発の脅威 (田村秀男)
通常の不良債権処理ならいくら金額が大きくても、実態や規模を詳細にわたって把握できるので、公的資金注入など最後の手段で何とか市場不安は管理できる。ところが、デリバティブという仮想現実の金融バブルはそうはいかない。JPモルガン、シティは現代金融版のねずみ講であるデリバティブで荒稼ぎしてきた。その主力が「金利スワップ」と呼ばれるデリバティブ商品で、その主力取引先がファニーメイとフレディマックの2社である。JPモルガン、シティを筆頭とする米銀のデリバティブ契約残高はことし3月末で180兆ドルを超え、そのうち金利関連は80%、142兆ドルで米国内総生産(GDP)の10倍にも達する。住宅金融2社の住宅債券相場が崩れると、デリバティブ市場は潰え、米銀は軒並み経営破綻、米金融市場が根底から壊れる。と本コラムで住宅抵当公社2社危機の深淵は実はデリバティブというブラックホールにあると指摘してきたが、実際にいよいよ表面化してきた。ところが国際スワップ・デリバティブズ協会(ISDA)は、ファニーメイなどの公的管理政府決定を受けて住宅公社2社の債券を対象とするデリバティブ取引を前倒しで清算すると決めたことが、明らかになった。この結果、金融機関は一挙に数百億ドルの損失を被ると言われるが、問題の広がりはどこまでいくかはわからない。ねずみ講の米金融の因果応報とはいえ、世界中が破壊の恐怖に脅えなければならない。デリバティブの深淵は米当局も把握不可能で、この大量破壊兵器の炸裂を防ぐ策もない。
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▼事故米転売問題をもっと考える (江草乗)   
大阪市の米販売会社「三笠フーズ」が農薬などに汚染された事故米を食用と偽って販売していた問題は、徐々にその流通過程が解明されてきた。三笠フーズが1キロ9円で仕入れたもち米は、最終的には1キロ370円で日清医療食品近畿支店が購入し、近畿2府4県の119施設に販売されていた。価格は最終的に40倍以上になっていたのである。もしも三笠フーズが9円で仕入れたものを370円で売っていたのなら三笠フーズだけにこの責任を科せばいいのだが、流通過程でいくつもの業者が絡んでいたとなると、責任の所在はもっと分散されてしまうのではないかとオレは思ってしまうのである。最終的な価格の1キロ370円ならば、誰だってそれが事故米であるとは思わないだろう。オレがふだん買っている米よりも高いくらいである。そう、この問題で大切なのは流通過程のどの時点までその米が「事故米」であるということが把握されていたかということなのだ。

三笠フーズから1キロ40円でその米を購入した佐賀県の仲介業者は、その価格から考えてその米がまともなものではないことをおそらく理解していたはずである。そのまともじゃないものをどう処理するのか。第三者への転売という方法でこのババ抜きゲームは始まり、途中で米は米国産にされてしまい、最後には食用の普通の米の値段になってしまったのである。その場合の責任は三笠フーズ一社だけなのだろうかとオレはふと疑問に思ったのである。そして、事故米を大量に購入した業者がそれをどのように処分したのか。少なくともそれを払い下げた政府が「あとは野となれ山となれ」では困るような気もするのだ。なぜ相手を疑わなかったのか。もしもこいつが悪徳業者なら食用として高値で売りさばくのじゃないか。オレのような疑い深い人間ならすぐに「こいつら怪しいぜ」と見抜いただろう。この事故米の流通過程の中程に位置する神戸市の業者は(9月13日付の朝日新聞夕刊では会社名はまだ出ていない)中国産として仕入れた米を1キロ入りに小分けして、アメリカ産というシールを貼って転売した。それを仕入れた堺市の大和商会という業者は、結局は普通のもち米のような価格で日清医療食品に売却したのである。たぶんその言い訳はこうだ。

「確かに産地を偽装はしたが、農薬に汚染された米だったとは知らなかった。」
そこでオレは思うのだが、どうして政府はこの「事故米」をわざわざ輸入しているのだろう。日本という古い食文化の伝統のある国に輸出する以上、その土地でとれた米の中で最上級のものを輸出するのが当然だろう。政府もおそらく無理やりアメリカ等から押しつけられたこの事故米を買ってくれる相手方が見つからなくて困っていたはずである。三笠フーズがじゃんじゃん買ってくれるのは「渡りに舟」だったわけだ。おそらく三笠フーズ以外が政府から払い下げを受けた他の事故米も、流通過程でかなり食用に回されたのじゃないかとオレは思っている。転売の過程で最初に存在した「罪の意識」が希薄化していき、誰しもが「早く売ってしまいたい」と思っていたことは十分に想像がつく。このババ抜きゲームの敗者は最後の高値を買わされた業者とそれを食わされた国民ということになるのだろうか。
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▼ロシア、この「力治国家!」(佐藤守)
大麻取締法違反で逮捕されたロシア出身の元幕内力士「若ノ鵬」らが、日本相撲協会から解雇されたことを不服として訴訟を起こした。メディアに出ては「己の潔白」を主張しているが、裏で手練手管を誇る弁護士がうごめいているという。カメラを前に、大きな目玉を落ち着きなく動かして教えられたセリフ?をしゃべっている姿を見て、何とも哀れを禁じえない。帰国しても仕事があるはずはないから、彼らは出稼ぎを成功させる以外にない。幸い、理解ある?日本の弁護士がついてくれた、さてだめもとで一騒動・・・と考えているかどうか知らないが、「規律違反→審査→解雇→訴訟→日本企業の敗訴」という典型的なロシアの手口がついに日本相撲協会にまで波及したか、と考えてうら寂しくなる。平成13年(2001年)6月、有志とともに樺太(サハリン)を訪問した時、北緯50度に近い旧敷香ではホテルもなく、旧王子製紙の宿舎にトイレットペーパー持参で宿泊したのだが、豊原(ユジノサハリンスク)に戻って漸く人並みのホテルに宿泊できた。それも日本でいえばビジネスホテル並みのホテルなのだが、お湯も出ず、窓には鉄格子がある便所も不便な強制収容所並みの敷香での宿泊体験があったから、「サハリン・サッポロ」ホテルは“天国”であった。尤もフロントの従業員の態度は横柄で冷たかったが、それはサービスということを教えられていない「共産国」の通弊でもあり、平成9年(1997年)退官直後に訪問した北京のホテルもそうであったから、驚くことではなかった。
一台しかないエレベーターは「二人とスーツケース乗り」に限定されていたが、確かにそれを知らずに手ぶらの6人が乗ったら1階で故障して扉が開かず、ロビーでぶらぶらしていた大男がバールでこじ開けてくれて「脱出」できた。彼はその目的で雇われていたらしい。その時、フロント係の「おばさん」が、「ここに書いてあるだろう!」とドアの脇の張り紙を指差して怒ったのだが、見るとそこには日本語で「二人」と書いてあった。日本語だから同じ体験をした日本人客が書いたもののようで、客がかなり“被害”にあっている証拠だが、フロント係が客に「説教する」事なんか日本のホテルでは考えられないから“感心”したものである!聞くとこのホテルは日本企業が「合弁?」で建てた物のようだが、今やロシア人の手に渡っているという。まるで中国の「ヤオハン」を思い出させるが、帰路、小型のAn機で函館に向かう途中、後ろの席に座った紳士が、私の仲間の元教授と会話しているのが聞こえた。
「どこに泊まられましたか?」「サハリン・サッポロホテルです」「そうですか、私はもっと大きなホテルを建てたのですが、見事に乗っ取られましてね。今回5回目の裁判がありそれで樺太に来たのですが、漸く勝ちました」「どういうことですか?」「サッポロホテルもそうですが、ホテルを建て、システムを整備し、従業員を教育し、準備万端整って開業にこぎつけると、従業員の中に無断で休む者が出る。業務に差し支えるので厳しく注意するが聞かないので解雇すると、彼らはすぐに裁判に訴えるのです」「日本でもそんな訴訟が増えましたね」「そうですがこの国の裁判は一方的で、経営者が悪いことにされ、その結果莫大な訴訟費用はもとより、結局追い出されることになって建物自体を取られることになる」「サボった従業員のほうが当然裁かれるべきでしょう?」「それは日本の考え、彼らは日本から奪うことが目的なのですから最初から計画的なのです」「それじゃ国家ぐるみの詐欺じゃないですか?」「その通りなのですが、一応裁判の形式を取っていますからクレームが付けにくい。4回まで戦いましたが負けて全部取られました。そこでどうにも気持ちが治まらないので、たまたま経済使節団がモスクワに行き、プーチンに会うと聞いたので、代表団の中の友人にプーチンへの直訴状を預けたのです」「届きましたか?」「勿論、彼はVIPでしたから・・・。そこで早速プーチンの指示が出たらしく、5回目の裁判が開かれるというので樺太に呼び出されたのです」「結果はどうでした?」「今度は、結審していた裁判に勝ちました。権力者の指示でしょう」「それはよかった。しかしデタラメな裁判で日本では考えられませんね~」「そこで早速取り返せるものだけでも取り返そうと、手立てをうって来ました。力が支配する国との商売はよほど気をつけないとむしりとられるのが関の山です」「日本人は全くお人よしですからね」「政府もメディアも、そんな事実は伝えませんからね。現実は酷いものです」当時、サハリン北方で開発されていた石油・ガス田にも、相当な出資をしたはずだが、完成したとたんに、この実業家が体験したと同様な手口に引っかかったようだ。報道された「サハリンー2」プロジェクトである。

国や大手商事会社までもがどうして易々とロシアの詐欺に引っかかるのだろう?と思ったものだが、たまたまロシアからの出稼ぎ力士の非常識な記者会見を見て、「またあの手を使っている!」と思い出したのである。今度は日本国内法が適用される筈だから、まさか彼らが勝訴することはないと思うが、今や法曹界までもロシア方式に手馴れた“国際派弁護士”の方々が支配しているかもしれないから油断はできない・・・

昨日の産経「正論」欄に、ロシア問題の専門家・伊藤憲一氏が「ロシアの行動の本質的な意味」と題して、グルジア問題を取り上げ、「帝政時代から旧ソ連国家の本質を『力治国家』ととらえる私は、プーチン前政権のこの本質への回帰の危険性を感知していた」とし、その根拠として「プーチンが『暴力』依存の権力基盤を構築しつつあり、それがロシアの伝統的な政治文化である『力治国家』体制に適合すると判断したからだ」と述べている。そして今後、「国際社会が抱え込んだ新しい問題とは、ポスト冷戦期の安全保障の脅威である『ならず者国家』がロシアのような大国である場合には、どのように対応すべきか、という問題であろう」「ロシアが『新冷戦を恐れない』という以上、国際社会がそれを恐れていては問題は何も解決せず、事態はかえって悪化するのみ」だと書いたが全く同感である。

所詮『テロはテロ』9・11を引き起こしたアルカイーダなどは、「犯罪者ではあっても、一国を代表した戦士ではない」。大国・アメリカがこんな「犯罪者」に振り回されているからこそ、北朝鮮のような「犯罪国家」が脚光を浴びるという皮肉な現象が起きるのである。レーガン元大統領はソ連を「諸悪の根源」と呼んだ。その血を引く「力治国家」ロシア対策を、「北方領土問題」でロシアとの間の「紛争当事国」である日本は忘れてはならないのだが、総裁選で何時まで「ワイドショー」を繰り広げるつもりだろうか・・・

とまれ、ロシアのチンピラに加勢する日本人?弁護士の挙動を監視しておく必要がある。樺太のホテルオーナーが辛酸を舐めたような
民主主義国に通用しない身勝手な「判例」が生まれると、次々にこの手の訴訟が連鎖して「日本相撲協会」のみならず、「日本国」そのものの根幹が危うくなると思うからである。
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