水槽は化学です! | 沼津港深海水族館・シーラカンスミュージアム公式ブログ

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このページでは、沼津港深海水族館の飼育員が水族館で会える生物たちの飼育状況や、日々のちょっとした発見などを随時お届けしていきます。
随時更新していきますので、是非ご覧ください。

 こんにちわ、飼育長のSですグッド!


春ですね、気温が上がるのはいいのですが

<春>はあまり好きではないSです。

花粉症はないのですが喘息がひどくなるし

意外と?変化を嫌う性格ですので色々と

変化のある春があまり。。。


さて、Sお約束の設備のお話です。

今回はちょっと難しい内容ですので

興味のない方は読み飛ばしてくださ

いませ。。。



現在、水族館内の水槽の濾過方法は

2つの方法で行っています。


①珪砂による砂ろ過(冷水系)



②パウダー状のサンゴ砂を厚く敷いた

  ナチュラル濾過(熱帯系)



濾過、いうのはざっくりと

A:ごみ取り

B:有機物の分解


があり、


有機物の分解で重要なのは

窒素系化合物の分解


アンモニアNH3は

好気性バクテリアによって

亜硝酸NO2

やがては

硝酸NO3になります。(酸化反応


①,②のろ過方式双方とも

NO3までは可能ですが

①の場合、NO3が蓄積され続けます。


これはあまりよろしくないので

<水替え>という方法でNO3を水槽内

から取り除きます。


※水槽の水質検査でNO3の数値をみれば

ある程度は濾過砂の状況、担当者の手抜き

具合が分かります。



②の方式が完全に機能するとその先、

NO3は嫌気性バクテリアによって

窒素N2にされます。(還元反応




②のほうが良い濾過のように思えますが

一概にはいきません。





処理スピードの遅さゆえ

生物の大量飼育には向きません。



①,②それぞれ一長一短あります。

また、その濾過の補助として



プロテインスキマー

 (有機物の分解が始まる前に取り除く)


なんかもありますね。





今回、いくつかの水槽に

濾過システムの補助となる

装置をとりつけました。


バイオプラスティックによる

流動濾過


です。


バイオ~というのは生分解性プラスティックって

奴で、

 これを炭素源とする特定のバクテリアを増やし

亜硝酸、硝酸、燐酸等々、有機塩類を除去する

というものです。


バイオプラスティックは常にゆっくりと動いている

のが肝となる少しばかり面倒くさい代物。


 ※まったく動かないと危険な硫化水素が発生し、

早く動きすぎると有機塩は分解されません。


要はゆっくりと動かせばいいんでしょ?



器材は高額ですので、自作してみました。






まずは熱帯系の水槽に何か所か設置。


答えは、生物が出してくれます。

うまくいけば、今以上にサンゴがよく開き

色もよくなるはず。


ちなみに、アラフォーのぼくですが

アクアリウムは化学

ということで

高校の時の有機化学の教科書を

いまだに持っています。。



意外と勉強好きな

飼育長Sでした。