『不滅』雑感 | 鵺的情報

『不滅』雑感

金沢さんともうひとりの演出助手・武田浩介です。
アタマで名乗っておくのが流儀ぽいので、名乗るほどのものじゃないんですけど、名乗ります。

今回の作品『不滅』ですが。
現段階で台本の完成度は7~8割です。
だから作品全体の印象はいまだに分からないのですが、前半だけで、かなりの強度があるお芝居になっていると思いました。

追い詰められたヒトと、追い詰めているヒトと、追い詰められたいヒト。彼らが混じりあって、ある意味地獄絵図といってもいい人間模様が繰り広げられます。
だけどそれは悪趣味的なものではありません。
特異なものを曝け出したり見せびらかしたりではなく、「ここ」にあるものに腰を据えて向かいあった結果なのです。

だけど、それでもこの作品に登場する人間たちの救いの無さは並大抵のものではありません。
登場人物たちの吐くセリフ、行動は、悪魔のささやきのように観客の心を揺さぶるでしょう。

よくある、「根底には人間愛がある」とか、そんな(私に言わせれば)薄ら寒い物言いは、軽く吹き飛ばしています。

まだ台本が100%完成していない現段階で、私がこの『不滅』という作品から感じ取れるのは、人が存在するということの不安感と、関係への狂おしいほどの希求心、です。

本番をご期待ください。