判決要旨 | 受動喫煙の完全防止を目指すブログ

判決要旨

判決文を入手し、私なりに精読・報告します。


まず感じたことは、最終的な判決の判断に関しては、ほぼ、被告の主張が通ってしまったということです。


その内容は


1.一般車乗務として採用されたのだから、喫煙の害がある事は多少なりともわかっていたはず。

2.原告が乗務を開始してから約1年2ヶ月後に、訴状と一緒に診断書が提示されるまで、身体を壊しているとは知らなかったし、本人からもそのような申し出は無かった。

3.身体を壊していることがわかったその2ヵ月後には禁煙車で乗務させた。


というものです。


また、今回の判決で気になったことは、裁判所が受動喫煙の害について軽視しすぎていることです。


「(受動喫煙による)急性の症状は、乗務員の申告がなければ、わからない」と言う旨の記述があります。受動喫煙は、それによる発症がなければ問題が無いという風に受け取れます。


受動喫煙の害を正しく認識した上で、安全配慮義務を考えれば、このような記述はできないはずです。仲間からの発言で「建設現場では、ヘルメットをかぶり、命綱を着けることが安全配慮である。物が落ちてきたり、足場を踏み外して怪我をしてから言ってくれ、では配慮義務をまっとうしていない。」とありましたが、まさにそのとおりです。


今回の判決でも、「タクシーは可能な限り禁煙とすることが相応である」としていることは、評価できます。しかし、昨年の禁煙タクシー訴訟の判断と比べてトーンが下がるのは、「段階的に行う」ことを示唆しています。現実を考えれば仕方が無いことかもしれませんが、その間は「乗務員の健康被害を監視する」という記述もあります。繰り返しになりますが、目に見える健康被害がでなければ、問題ないというのは間違いです。それに健康被害があった場合は、どうしてくれるのか、という考えもあります。


しかし、今回の判決も、考え方によってはタクシー禁煙化に大きく貢献できると思います。それは、乗務員が受動喫煙の害と健康被害を所属する会社に伝え、その結果、会社が2ヶ月以内に禁煙車勤務にしなければ、訴訟で勝訴できる可能性があると受け取れることです。


今後に関しては、原告らと相談して、またこのブログで報告します。



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