前回の記事の続きです。
パーキンソン病という病気は通常は神経内科で主に診療する病気です。
それが脳外科でも扱うことがあるのはどういうわけか、というと、
手術が治療法の一つとしてあがるからなのです。
ただ、残念なことに、
このパーキンソン病に対する脳外科手術はあまり未だにそう普及はしておりません。
前回も書きましたが、
やはりパーキンソン病治療の主役は薬です。
この外科手術というものも、
薬の治療を支えるような働きといえます。
手術治療をしたからといって、
薬が不要になるということはまず、ありません。
また、
手術の性質もなかなか普及しない原因となっています。
パーキンソン病の治療というのは、
基本的には脳の機能を調整するドーパミンの効果をおぎなってあげるというものです。
そこで、
薬の場合はそのドーパミンを摂取したり、
もしくはドーパミンと同様の効果をもつものや、効果を増強させる薬などを使います。
これをなるべく健常人での生理的なドーパミン分泌と同様になるように調整するのが、
治療のミソです。
薬が治療の主役というのも、
こういった治療ですから、当たり前ですよね。
それでは、一方の手術治療では、どのようなことをするのでしょうか。
もしかすると以前にもこのブログに書いたことがあるかもしれませんが、
なんと、
電極を脳に埋め込むことによって行います。
なぜ、電極を埋め込むのかというと、
それは当然、電気刺激によって脳の機能を調整するためです。
具体的にどのように用いるかといいますと、
パーキンソン病の患者さんでは黒質からのドーパミンの効果が落ちている分、
それによって、異常に活性化してしまっている脳の部位というのがあります。
このせいで、うまく運動を司る脳内の回路が機能しなくなってしまっている、
というのが非常にざっくりとした解説ですが、
この異常に活性化している部位に電極を入れ、
電気刺激を加えてやることによって、
機能を調整することができるのです。
実は、
なぜ電気刺激で機能調節ができるのか?ということは未だにはっきりとはわかっていません。
ジャミングのような効果があるのではないか?
というように、
どちらかというと刺激によって脳の神経細胞に抑制的に働くという考え方が主流ですが、
まだはっきりとは解明されていません。
しかしながら、この電気刺激によって、
確かにパーキンソン病の症状は改善するのです。
薬は飲んでからしばらくは全身の血中濃度も高く、効果も続きますが、しばらくすると体内に取り込まれ分解され、濃度が下がり、効果も落ちます。
つまり、飲んでからしばらくで薬効が切れるというのがこれまでの薬でした。
最近ではこの作用時間を伸ばした徐放剤が広く普及してきておりますが、
電気刺激治療というのは、そういう意味では最も継続的な治療法なのです。
一定の電圧で数年間電池がきれるまではずーっと刺激し続けることができるわけですから、
常に一定の効果をもたらすことになります。
そういう意味で、
この電気刺激治療というのは、パーキンソン病の症状の底上げをするような効果で使われるのです。
この電気刺激を行う場合には、電気刺激による一定の効果をベースとして、
さらに上のせで薬の効果を付け足すような形になります。
とてもよい治療法の一つではあります。
ただ、それでもあまり普及しないのには理由があります。
そのあたりについて次回以降に書いていきます。
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