風邪薬頼みの落とし穴 | ある脳外科医のぼやき

ある脳外科医のぼやき

脳や脳外科にまつわる話や、内側から見た日本の医療の現状をぼやきます。独断と偏見に満ちているかもしれませんが、病院に通っている人、これから医療の世界に入る人、ここに書いてある知識が多少なりと参考になればと思います。
*旧題「ある脳外科医のダークなぼやき」

良ければ、「いいね」↑→をお願いします。

前回の続きです。

風邪症状が出たときに、
「風邪薬でも飲んでなんとかしよう」としている方がいたら、

是非今回の記事も読んでください。

一般的な風邪の原因はウイルスですが、
それらウイルス性感冒に対する特効薬がないことは前回書いたとおりです。

市販の風邪薬を飲む意義はあくまで、
解熱、鎮痛などの症状緩和です。

風邪薬を飲んだからといって、
感染の原因であるウイルスに効く訳ではありません。

飲んでも早く良くなる、ということはないのです。

今回はこの風邪薬愛好家が陥りうる落とし穴を紹介します。

一つは、

風邪の原因が一般的なウイルス性の物ではなかった場合です。


たとえば、
風邪のような症状を起こしうる重要な他のウイルスには、

インフルエンザ、HIV、がありますし、これだけではありません。

こういった場合には風邪薬などではなく、
特殊な抗ウイルス薬が必要であったり、他にも特別な対応が必要になります。

もちろん、細菌感染の場合も困ります。

風邪薬ではなく、原因菌に応じた抗生物質の選択が必要です。

他にも、
白血病やリンパ腫など、他にも風邪の様な症状から始まる重篤な病気はあります。

風邪薬でとりあえず済ませる、という方針を取る場合、
実は他の重い病気だった時に困るのです。


二つ目は、

スティーブン・ジョンソン症候群 の存在です。

これは、
風邪薬などの薬の成分によるアレルギーのようなもので起こる病気ですが、

最悪の場合、命を落します。

薬疹、と呼ばれる薬が原因の湿疹の酷いものとイメージしてください。

皮膚や粘膜を侵し、高熱が出ます。

皮膚、眼や口の中がただれ、
失明することもありますし、重篤化すると命に関わるような怖い病気です。

風邪自体はほっとけば治ったはずなのに、
飲んだ風邪薬が原因でこの病気になってしまうこともあるのです。

そういった意味で、
普段簡単に薬局やスーパーで買うことのできる風邪薬にもリスクはあるのです。


安易に風邪薬には頼らず、
流行の風邪のような軽い症状であれば栄養をとって安静に努め、

症状が強い、もしくは何か異様であったら病院に行く、

というのが一番無難のように思います。


当ブログが電子書籍と紙の書籍で書籍化されています。

オンラインでの注文は↓から。是非読んでみてください。




電子書籍↓


サクッと読める!「脳」の話/名月論



¥300円

Amazon.co.jp


紙の書籍↓

誰も教えてくれない脳と医療の話 脳神経外科の現場から/名月 論

¥1,365 Amazon.co.jp
誰も教えてくれない脳と医療の話

¥1,365

楽天


読んだらクリックしてね↓


このブログの順位がわかります↓


人気ブログランキングへ