3.3.2.1 序 史的唯物論の原理 | 竹内芳郎の思想

3.3.2.1 序 史的唯物論の原理

 【マルクス『経済学批判』序言】
 史的唯物論の原理は、マルクス『経済学批判』序言中の一文にその典拠をもつ。それは、大きく言って次の四つのテーゼからなる。

 【①土台-上部構造論】
 このテーゼは、「物質的生活の生産様式こそが土台となって、それが上部構造たる社会的・政治的・精神的生活過程一般を規定または制約する」と定式化できるだろう。

 【②生産力発展論】
 このテーゼは、「物質的生産諸力の発展こそ人間歴史を前進させる原動力である」と要約できるだろう。

 【③生産力-生産関係矛盾論】
 このテーゼは、「物質的生産諸力の発展水準に照応して一定の生産諸関係が形成され、両者が矛盾におちいることによって社会革命が生起する」と要約できよう。

 【④発展段階論】
 このテーゼは、「人類の歴史は、アジア的→古代的→封建的→近代ブルジョア的→(共産主義的)という段階を経て発展する」と定式化できるだろう。ただし、その後の官許マルクス=レーニン主義の公式では、原始共同体→奴隷制→封建制(または農奴制)→資本制→共産制といった系譜に改められた。