一体何のために? | MOTIVATION!人生楽しく前向きに。

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やる気発電所のモチベーター®、野津聡による元気の出る「気づ記」。「元気出せよ」なんていう励ましの言葉よりも、元気になった気づきのアウトプットの方が、人を元気にする力があると信じています。

仕事も人生も、「何のために?」という問いを絶えず発し続けていないと、目の前で取り組んでいること自体が目的になってしまいかねない。いわゆる「自己目的化」という厄介な病気だ。こいつは本当に油断できない輩で、隙があれば、気づかないうちにするっと入り込んできてしまう。


昨年後半から騒ぎになった定額給付金の一件もそうだ。そもそも何で導入することになったのか、弱者救済なのか景気刺激なのか、という目的論の議論がなおざりになったまま、時期をどうするとか、給付の手続きをどうするかとか、対象者に年収制限を設けるかとか、給付自体が目的になったかのごとき議論が百出した。


一方、企業もそうだ。企業の本分は社会貢献を果たし、結果、その対価として、利益を享受する。そのために、企業のもっているリソースを使いながら一番得意な貢献の形を紡ぎだし、その文脈にそった活動をして人を幸せにしていくのが筋だと思う。ところが気づけば、結果としての利益ではなく、利益追求が目的化してしまう。


そもそもこの「自己目的化」という言葉をよく使っておられたのは、昨年通っていたスポーツマネジメントスクールの広瀬一郎先生であった。レポートを出す度、「何のためにこの課題が出たのかを考えろ」と言っておられたが、学生の立場では、レポート課題が出ると何の疑いもなく、良くできたレポートに仕上げることを目的にしてしまう。


遡れば学校教育に、その根があるのかもしれない。何のために勉強するのか、とか、何のために進学するのか、といった本質に触れた教育は今、ゆとり教育の中で果たして行われているのだろうか。私の小中学校時代は少なくともそうした本質的な気づきは与えられなかったように思う。


私として今できることの些細な取り組みのひとつは、大学の講義を通し、一体何のために働くのかという、ことの本質を、若い学生たちと一緒に考える場を提供していることだ。それを目的にして、日々仕事をすると、この仕事の本来的な目的は何なのか、と考えざるを得なくなってくる。


今のところは、関わる企業、関わる人の成長と幸せに対するコミットメント、ということになっているわけだが、実はそれを考えることも仕事の内なのかもしれない。