トレードは難しい。

 昨夜、いろいろと昔のことを思い出しながら、自分のトレード人生について振り返ってみた。いかなる時にいかなる成功を収めたのか、またいかなる時にいかなる失敗をおかしてしまったのかを、寝る前につらつらと思い出していたのだ。


 トレードは難しい。なぜも多くの経験者や知的な人々を、トレードという魔物はかくも無残に苦しめるのか。

 それはトレードに勝つための思考方法が、実人生における成功のための思考方法と180度異なるためではないか。それではどのように異なるというのか。


 実人生で結果をおさめるためには、現状を調査、分析し、それに基づいて計画を立て、計画に沿って着実に諦めないで行動していく、そんな一連の流れが必要だ。そして絶え間ない行動を支えるための信念が求められる。

 トレードに求められるものは真逆だ。分析したり予想したりする必要はないし、計画的なトレードなどはありえない。さらには信念を持ったトレードなどは、まさに破滅への第一歩と言えよう。


 トレードで成功するための極意とは、ただ一つ、「流れに乗るしかない」。

 まさに「トレンドはフレンド」なのだ。

 そして価格の変遷においては、どんな不条理なことも起こりうる。まさに「何でもあり」なのだ。


 このような不安定な荒波の中にあって、自らのこだわり、過去からの経験則を捨て去りながら、ただひたすら現在目の前に存在する現実の流れに乗っていく、これがトレードにおける健全な姿なのだ。


 流れを予想する必要などもない。ただ素直に私心を捨てて、トレンドの流れに乗っていくだけなのだ。下手にトレンドの予想などすれば、そこからこだわりや自分の相場観に対する執着が生まれる。これこそがトレーダーにとっての最大の敵なのだ。


 「おかしい、そんなはずはない、常識から考えても変だ!」などと悩みながら、損失を抱えながら市場から撤退していく愚かなトレーダーは多い。


 そして私自身の最大のトレードの失敗も、上記のような罠にはまったことにより生じた。痛恨の極みだ。頭では分かっていることが、心理のレベルでは行動につながらない。

 気づいた時には、多大な損失。今までコツコツと稼いできた利益を、ほんの二週間で失ってしまった。こんなくだらないトレードで損失を被るならば、マンションでも買っておけばよかった。5年ほど前の苦しい思い出だ。高い授業料だったが、私は確実に成長した。現在はそう思うようにしている。


 ここまで書いてきて、さらにこのテーマでの考察を深めたくなった。これはひとつシリーズで書いていこうと思う。