ストーリーで学ぶ地球環境問題【大好きな地球を大切に】第8日-湖と海の汚染 | ひとも地球もサステナブル!

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★ストーリーで学ぶ地球環境問題


☆☆大好きな地球を大切に☆☆



【第8日】:


■湖の汚れの原因は?

湖も汚れているように見えるけど、
どうなのかしら?」

尚子さんが質問しました。


「湖は自然の状態でも少しずつ
汚れていくんだよ。

湖は陸地で囲まれているために、
湖の水が海のように大量には
入れ替わらないよね。

こういう水域を閉鎖性水域とか
停滞性水域と呼んでるんだよ。


このため周りの山林から落ち葉
などが流れてきて、リンとかチッ素が
だんだん貯まってくるんだ。

このように、湖や沼は自然の
状態でも富栄養化が進む
んだ。


 


それでも自浄作用が働いている
間は、藻やプランクトン→小魚→
中型の魚→大型の魚→微生物
という食物連鎖がうまく働いて、
汚染はごくわずかずつしか進まない。


ところが最近は、生活廃水がここに
加わることで自浄作用が働かなく
なって、湖の汚染がどんどん進行
してる
んだ」。

大木先生がまた悲しそうな顔を
しています。
 

■深刻な海の汚染

「川と湖が汚れているのは確かに
大変だけど、ボクには海の汚染が
もっと深刻に見えるのですが」

一郎くんが目の前に広がる海を
見つめて言いました。

「川も湖もそれぞれの地域で深刻な
状況になっているんだけど。

でも一郎くんが言うように、海の
汚染は地球全体に影響を及ぼす
ので、より深刻かも知れないね。

海は地球の表面積の7割を占めて
いて、すべてがつながっている
よね。

そのため、どこかが汚染されると、
海流に乗って地球全体に広がる

んだ。

たとえば、石油が大量に流出する
と薄い油の膜になって海を覆って、
広い範囲の生態系を壊してしまう


 


また、大気中に出てしまった有害な
物質もやがて川や雨を通じて海に
入ってくるんだ。

工場の煙や自動車の排気ガスも
酸性雨などに混じって、やがては
海を汚染してしまうことになる。

PCBや農薬が北極海から検出されて
いるけど、この大部分は大気によって
運ばれたと考えられているんだよ」。

大木先生がていねいに答えました


◆北海のアザラシが・・・・

「わたし、海の汚染でたくさんの
生物が死んでしまったという話を
聞いたことがあるわ。

確かヨーロッパでだったと思うけど・・・・」

尚子さんが自信なさそうに言いました。


「ああ、それはアザラシが北海で
大量に死んだ時のことだね。

1988年の4月頃から北海の
ノルウェー沿岸で大量の藻が発生
して、それが腐って悪臭を発したり、
大量の魚が死ぬという事件が
続いたんだ。

そして被害が次第に北海全体に
広がって、その後の半年間で
18000頭のアザラシが死んで
しまった


調べてみると、死んだアザラシの
子どもの内臓から、高濃度の水銀
のほか、カドミウム、鉛、PCBなど
150種以上の有害物質が見つ
かった
ということだ。

これらの有害物質によって、アザ
ラシの病気に対する抵抗力(免疫力)
が弱まって、病原菌に感染したの
ではないかと考えられている
んだ」

大木先生が答えました。


「化学のことはよく分からないけど、
どうして北海にそんなにたくさんの
有害物質が入ってるの?」

尚子さんが不思議そうに質問しました。


「北海って海といってもすごく狭いんだ。
日本海の30分の1しか水量がない
だよ。

しかも、周りをイギリス、スカンジナビア
半島、ヨーロッパ大陸に囲まれている
ため、北極海などとの水の入れ替わり
があまり行われない。

つまり湖とよく似てるんだ。

この狭い海に、大量の有害物質が
ヨーロッパ中の河川や大気中から
流れ込んでいるから大変だ。

さらに、廃棄物が捨てられたり、海底
油田から原油がもれたりなど、まさに
北海はヨーロッパのゴミ捨て場と
化している
んだ。

最近は規制が強くなって、有害物質
の濃度が薄くなってきているけど、
海の生き物の中にはまだたくさん
残っている可能性があるんだ。

だから、まだまだ安全になったとは
言えないね」
 
 
 
次回に続きます。