昨日から今日にかけて報道されている原発事故災害における避難シミュレーションは大変な意味があります。その一つは一週間の被曝線量が100msvを越えるエリアが30km以上あるということ。これは現在も避難を強いられている福島の基準に照らせば250倍の放射線量に当たります。福島の避難基準は年間20msvです。つまり、とてつもない線量が広範囲に及ぶということです。当然避難エリアは30km、40kmでは済まないということになります。


運が悪ければかなり離れた地域でも避難をせざる負えない状況となるでしょう。その場合今の福島の状況を見れば、現状の隠ぺいと避難判断の悪意のある欺瞞によってろくな賠償もされず逃げ場を失う可能性が高いです。今回の発表は事態の深刻さを示すうえで大いに役立ちました。さらにはspeediによる解析をぜひお願いしたいものです。新聞報道によればspeediでは3日間のシミュレーションしかできないので今回利用しなかったということですが、たとえ3日間でも風向きごとの汚染エリアを面的にシミュレーションできる点では優れています。その証拠は今回の福島第一原発事故でのシミュレーションが実測したデータとよく合致していたことでも明らかです。


緊急時の避難エリアとその後の避難エリアの拡大、縮小を判断するためのシミュレーションとしてspeediは有効と思われます。飯舘村ではあの有名なシミュレーション図とそっくりの図が実は40年前の原発稼働後に週刊誌に載っていたことを地元の人は覚えていました。つまり、かなり信頼のおけるシミュレーションであると言えます。おそらくspeediを使うとかなり広範囲の汚染地域が出現し、風向きによっては年間20msvを越えるエリアはどこまで広がるか想像するだけで恐ろしいものです。


そして、もう一つの意味するところは福島での今回の事故でどれほど高い線量の被曝を県民が蒙ったかを今回のデータは物語っているということです。事故当時線量計もなく、知識もない人々は5km、10km、20kmと政府の曖昧な発表をもとに逃げ続け、飯舘村に逃げ込んできた人たちも大勢いました。飯舘村では、だいぶ日にちが過ぎてから線量が高い事を告げられ、現在まで避難生活を強いられていますが、もう一度被爆当時の線量をシミュレーションして、健康被害に対する対応と住民の今後の生活環境を考え直すことが必要となるのではないでしょうか