飯舘村の旧全世帯宛に有志の会が行ったアンケートの集計が行われました。結果は6月5日発売の政経東北に発表されます。政経東北社がこの結果についてどのような見解を示すかは別として、このアンケートをしようと考えた有志の会「飯舘村新天地を求める会」について少しだけ補足したいと思います。


村で行われる除染説明会や除染によって出る廃土の仮置き場の説明会などで、住民が質問することに納得のいく回答が得られていないと感じていました。説明会に参加された方々の多くの声もそう感じられました。しかし、村長を始め村と国の行政機関は十分な説明を行いましたといって、すべてなし崩し的に彼らの計画通りに事業を進めています。しかも計画にはその結果を担保するような保証もしておらず、事業のための事業としか思えない節が多々ありました。つまりいつまでにどういう状態にするとか、できなかったときの対応はどうするとか、その判断期日はいつで判断後すぐに対応してもらえるのか、などの質問には全く無回答に近い回答でした。


ただし、我々有志の仲間の考えや思いが、果たして住民の多くの意見と合致するものなのか、一抹の不安もありました。説明会で声を上げない人の声も拾いたい、あるいは説明会で言っていることと内心での思いに違いがないかも確かめたい、と考えるようになりました。そのため村に対してはアンケートを取って欲しいという要望を再三出しました。しかし、村も国もその結果事業ができなくなることを怖れてか、全く動こうとしませんでした。新天地を求める会では移住を望む考えをもっている人、もっていてもなかなか声に出せない人の存在を明らかにして、その人達の選択可能な選択肢を国に働きかけ、最終的には東電と国という今回の事故の責任者に対して、我々の要望を聞き入れさせることが目的と考えています。


我々の主張は事業を止めることでも、住民全員を移住させることでもありません。住民の望む未来のためにできることを行政に手伝っていただきたいと言う要望です。こういう未来が拓ければ自立できると住民一人一人が思える事案を丁寧にサポートしてもらいたいというのが我々の主張です。このブログでも再三書きましたが、複数の選択肢を出す必要性があると言うことです。今回のアンケートはそのことを多くの住民が望んでいるのではないかということをはっきりさせると同時にどのような要望があるのかを知ることが目的でした。


住民の中には我々の活動を反社会的な活動と位置づけたい人達もいるようですが、そのような無理な考え方をもっている人の中には返って反社会的な行動をとってしまう人もいるようです。例えば我々のアンケートが送付されたことを知ると、仮設住宅を回ってアンケートには応えなくてよいというような圧力をかけたりしていたようです。国がお手盛りで行う事業に無条件で従う風潮が地方にはあるかと想像はしていましたが、現実を目の当たりにして残念でなりません。しかし、それらの人達は極一部であると思っています。少なくとも送付されたアンケートに1/3以上の人が答えてくれました。その中には帰村を望む声もあります。それらの声は当然尊重されるべきです。そして、帰村を望まない声もあります。それらに答える選択肢を早急に用意することが必要でしよう。


結果はまだ発表できませんが、多様な考えがあることは確かで、私も含めて多くの人が迷い、葛藤の中にいます。飯舘村に残りたい思いはかなり強く、その反面環境が180度変わってしまったこともよく理解しているのです。この苦しみを国の行政機関で働く官僚諸君にぜひ想像していただきたいと思います。そして、その理解の先にあるものが除染して帰村というただ一つの押しつけであることだけはやめていただきたいのです。移住も可能、数十年にわたる環境の整った地での避難も可能な選択肢が必要です。