昨日、TBSの朝ズバで飯舘村の特集が放送されていましたが、キー局としてはかなり突っ込んだ取材に基づいており、村の実情をよく表していたと思います。ただし、そう思えるのは内情を知っている我々住民だからであり、おそらく表面的にご覧になった視聴者は村の混迷は理解できるものの、村人同士の要望の違いによる争いのように見てしまう方も多いかもしれません。そして、その板挟みになっているのが村長のように見えるかもしれません。




しかし、あの放送の裏にあることは住民の個々の要望がすべて無視され、ただの一つも住民の希望は満たされてないという事実です。帰村を望む人も完全な除染が条件であったり、移住を望む人も賠償がなされることが条件であったり、それぞれ事情もあり、未来の設計も異なるのです。そういった住民の意向を調査することもなく、経産省主導で奴隷のように動く環境省とその手下となった村が行っていることは除染事業だけです。そこにはまぎれもない事業が存在し、そしてそれ以外の被災者への救済は何一つ行われていないのです。




原賠審が決めた指針を盾にして賠償を渋る東電。国の責任を除染だけと決めて天下り先への資金還流にいそしむ環境省。それらを大前提とした避難区分を新たに設定して、住民と国民をペテンにかけるようです。国民には避難解除をアピールし、事故の終息をイメージさせる一方、住民にはさらに不自由な避難形態を強要して帰還困難地域の住民にはすべてをあきらめさせ、それ以外の地域には現状での帰還を受け入れさせるために賠償の打ち切りと避難形態の強化という嫌がらせ作戦に出てきました。




いま、飯舘村では汚染状況による3区分受入のための説明会を行い始めたようです。県外に避難中の我々にはまだその日程も案内も送られてきていません。行政区によっては帰宅困難区域への指定を決議した行政区もあるようです。それは帰村しないことを宣言したに等しいのです。住民が自主的に行った飯舘村全世帯対象のアンケートも生かされることは無いのでしょうか。しかし来月にはその結果が公表されます。今月20日には村でアンケートを取ると朝ズバで村長は公言してしまいましたが、このまやかしの口約束は昨年の11月ごろからたびたび聞かされていて、いまだに実現していないものです。果たして実行するのか、今回実施したアンケートと結果が違うのか、見ものです。




少なくとも今回のアンケートで500通以上の回答があり、様々な要望が浮き彫りになることは確かです。その中には国や東電が逃げ切りたいと思っている内容もあるでしょう。それを村がすくい上げるのか、マスコミが取り上げるのかはわかりませんが、いままで憶測と一部の人の発言だけで取りざたされていたネットでの論調にも大きな影響が出ると思います。