日本の農産物は、危険なのか!!!(デマに騙されるな!!!) | あなたも農業コンサルタントになれる

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  わけではない / by 岡本信一

脱原発と現在の日本の農産物の放射能汚染の危険を結びつけ、脱原発を推進しようとしている人がいる。脱原発論議と農産物の放射能汚染の問題は別であり、日本の農産物の危険について堂々と公人がマスメディアで語るなどとということについては、我慢がならない。また、ネット上でも、デマを平気で流し、日本の農産物の危険を盛んに煽る人間までいる。

メディアがそれを語らせないなどと、勘違いしている人もいる。誤った情報だから、語らせるべきではないのだ。


脱原発論議と、現在の日本の農産物の安全を確保するのかということについては、全く別の論議であり、今回のエントリーでは日本の農産物における放射性物質の危険性を冷静に評価してみたい。なお、ここで書く話は、農産物の放射性物質についての危険性のみに触れ、その他の情報については、書かない。理由は、混乱するからである。


よく言われるマスコミや行政は、本当のことを発表していないとか、ウソを発信している、などという話があるが、もちろんそういう傾向があるのは間違いない。しかし、少なくても、言えることがある。


マスコミやネット上で語られない真実の中には、安全情報も含まれている。


特に行政の発表する情報など小難しい話が多いため、またメディアとして報道する価値がない(つまらない)ために報道されないことも多いのだ。農産物の放射性物質の問題については、すでに多くの情報が公開されている。

また、安全です、という論文はどこも報道しないし、話題にも登らないので、危険というイメージだけがいつまでも残る。誰も語らない。


さて、農産物の放射性物質による汚染についての問題は、二つあると思う。一つは、安全基準について、もうひとつは、実際の汚染状況である。順番に触れてゆく。


まずは、放射性物質の安全基準から。

農産物を含む一般食品のセシウムの基準は、100bq/kg。個人的にはこの基準は厳しすぎる、と感じるほどであるが、何故か。以下エントリーで詳しく書いているので興味のある方は読んでください。


Food Watch Japan の連載

放射性カリウムによる内部被曝から基準値のレベルを考える
http://www.foodwatch.jp/primary_inds/whatisgood/28506


食品中の放射性物質は新基準値なら安全と言えるか
http://www.foodwatch.jp/primary_inds/whatisgood/28507


ブログから、テーマ「放射能の影響」
http://ameblo.jp/nougyoukonnsaru/themeentrylist-10035536207.html


すべての農産物には、放射性物質が含まれている。カリウムに一定割合で含まれるカリウム40という物質である。つまり、普段からカリを含む食品には放射性物質は含まれているため、放射性物質による被曝を防ぐのは不可能だ。

さらに、カリウムは、人間にとっての必須要素で人体中にカリウムがある以上、カリウム40も含まれ、常に内部被曝し続けているのである。


ちなみにカリウム40の量を普段摂取している食品で考えると、

フライドポテト 180bq/kg

リンゴ(生) 33bq/kg

などとなる。もっと知りたい方は上記のリンク先へ。


「「放射能ミニ知識」(原子力資料情報室)によると、カリウム40による内部被曝は、「生殖腺や他の柔組織に対する年間線量は0.18mSv、骨に対しては0.14mSv」とのことである。


セシウム137を含む農産物を毎日100g、365日間摂取したときの数値、基準の上限値100bq/kgを含む場合で0.048mSvと安全とは言いませんが、上記のカリウム40からの被曝量と比較すると数分の一にすぎず、特段多いとかいうレベルではないと考えます。確認しておきますが、毎日上限値を食べ続けた場合でこの程度です。

内部被曝という観点から考えると、カリウム40による被曝のほうがはるかに多く格段に内部被曝が増える量とは考えられません。

原発由来の放射性物質と、自然由来の放射性物質では、違うなどということがよくいわれますが、放射性物質としての危険性はどちらも同じです。また、人口放射性物質は、蓄積するなどという話もありますが、間違いです。それは放射性物質の性質にもよりますセシウムは、比較的早く排出されます。


次に、実際現在の農産物の汚染の状況はどうなっているのか。

現在日本国内で流通している農産物の殆どから、セシウムは検出されていません。最も危険と思われる昨年産の福島県のコメの全量検査の結果です。


米の放射性セシウム数値が示す農家の努力、科学者の献身
http://www.foocom.net/column/editor/8517/


結果は、「12年産の米は同年12月末までに1003万袋が検査され、100Bq/kgという基準値を超過したのは71袋、0.0007%。25Bq/kg未満は、1001万袋、99.8%である。」

正直言って、全量検査をする意味があるのか、と思うが、実際にはここまで調べられているのである。100Bq/kgを超えたものは、1003万袋のうち71袋にすぎないのだ。


関東の野菜などでも給食向けなどは、実際の現場では抜き打ちで調査が行われる。小松菜農家hideさんのブログより


抜き打ち放射能検査w
http://ameblo.jp/hide-no-komatsuna/entry-11563812550.html


その結果の公表

荒川区の学校給食における放射性物質測定検査結果(25年6月19日分)
https://www.city.arakawa.tokyo.jp/kurashi/bosaibohan/touhokujisinkeika/kyuusyoku_houshasei/kyuusyoku_sokutei/25-6-19kekka.html


厚生労働省や農林水産省により常に放射性物質の調査が行われており、公表されている。


<厚生労働省>「食品の放射性物質検査」最新のもの- 2013-06-29発表
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r98520000034evd-att/2r98520000034ez4.pdf


<農水省>平成25年度の農産物に含まれる放射性セシウム濃度の検査結果(平成25年4月~)
http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/s_chosa/H25gaiyo.html


<農水省>農産物に含まれる放射性セシウム濃度の検査結果(随時更新)
http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/s_chosa/index.html


<農水省>平成24年度までの農産物に含まれる放射性セシウム濃度の検査結果の概要(品目別・25年3月末まで)
http://www.maff.go.jp/j/kanbo/joho/saigai/s_chosa/H24gaiyou.html


昨年度は、

麦については、~25bq/kgが100%

大豆については、~25bq/kgが91.9%で、基準値超過が0.6%

野菜については ~25bq/kgが99.8%で、基準値超過が0.03%

果実については、~25bq/kgが94%で、基準値超過が0.29%

~25bq/kgといっても、不検出がほとんど。詳しく知りたい方は、資料にあたってください。

平成24年度までの農産物に含まれる放射性セシウム濃度の検査結果の概要(品目別・25年3月末まで)より


資料を見ていただければわかるが、100bq/kg超の農産物は、わずかであり、検出されたものでも25bq/kg以下がほとんどである。もちろん基準値をオーバーしたものは流通しない。また、農水省の数値は、放射性物質による汚染の危険のある地域のみの農産物からの結果であり、全国に流通しているものの比率よりも高いと考えられる。

毎日基準値上限のものを食しても、通常の内部被曝量の数分の一にすぎないし、実際には25bq/kg以上の物にあたる確率は、非常に低い。

公的機関だけではなく、自主的な検査を行なっているところも非常に多く、私の知っている範囲で放射性物質が検出されたことを聞いたことがないということからも、基準値オーバーの農産物の流通量は、統計の通り非常に少ないと考えている。

私は低線量被曝についての知識はないが、どう考えても、危険など殆どないようにしか考えられない。もちろん科学者となると、安全ということを易易と語れないために消費者にわかりにくい表現でしか説明できない。

あえて私は言いますが、日本の農産物で放射性物質による危険を感じたことがない。

低線量被曝についても、通常受けている内部被曝量から考えて、なんの心配もしていない。

人体実験ができない以上、安全の担保などできるわけがないが、私自身の考えとしては、日本の農産物を食べても問題ないと思っているし、実際、心配もしていない。

一般的な毒物と同じで量の問題だと解釈している。


もちろん、ここまで読んでも心配だ、安心できない、というのは、個人の判断であるので良いと思う。

しかし、問題は、多くの農産物が実際に検査され、そのほとんどが基準値オーバーしていないどころか全く検出されず、仮に多少のオーバーであったとしても健康に被害を及ぼすほどではない可能性が高い事である。

むしろ、おかしなデマ情報によるノイローゼのような精神的な苦痛のほうが大きいだろうと思う。


私が言いたいのは、人は放射性物質と共存しており、仮に基準値上限の物を毎日食べ続けたとしても、元からの内部被曝量の数分の一にすぎず、たまたま一回、上限のものを食べたとしても通常の内部被曝量の数百分の一にすぎないということです。

さらに、そのように放射性物質が含まれている農産物の量というのは、非常に少なく、多くは、検出されていないということです。

このことをもって、安全だとは言い切りませんが、危険を言い募るということがいかに現実離れしたものであるのかは、だれにでもわかると思います。

未だに日本の農産物が放射性物質が含まれ、基準値が甘いために国民が危険に晒されているなどと語る人は、事実を知らないか、故意に危険を煽っている人だと思われます。


脱原発の問題と、農産物の安全の確保を故意に混同させ消費者を誘導しようとしている人が非常に多いようです。正しい情報を知り、自らの頭で判断しましょう。

関東以北の方の農産物は、常にデマ情報に悩まされています。農家の方は正しい情報を身につけ、消費者に質問されたら直ちに応えられるようにしましょう。

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