先月、京都教育大学の学生による集団準強姦事件が明るみに出た。京都教育大学は記者会見で、加害者である学生の処分を公表しなかった理由を「教育的配慮」と連発。もしも、これが本当に「教育的配慮」であれば、「性犯罪に対して大らかな教育者」ということだ。
 しかも、加害者である学生の数名が、卒業後に教育現場で働いていたというのだから驚きだ。



 娘を持つ通常の親であれば、誰もが「性犯罪に対して大らかな教員が自分の娘の学校にいたら、ろくなことが起こらない」と感じるだろう。



 そんな不安が的中するような事件が、北海道北部の高校で起こった。これから筆者が書く事件は「女子高校生が8人の同級生と性的関係(セックス)を持たされたのに、教員たちが気づかなかった」という、衝撃的な内容である。



 数年前のことだった。筆者は、知り合いの女子高校生から「友人Aさんの様子がおかしい」という連絡を受けた。
 Aさんの在籍する高校は、地方の小さな高校だ。本来であれば、教員たちは生徒の1人1人に目を配れるはずの学校である。
 その学校の中でも、Aさんはとても可愛らしく、性格も真面目な女の子だったため、男子生徒からの注目が集まっていた。恋愛などにはあまり興味が無く、男子生徒から頻繁に「愛の告白」をされても、すべて断っていた。



 そんな女の子であるにもかかわらず突然「Aさんと肉体関係を持った」と話す複数の男子生徒が現れたのだ。クラスメイトである情報提供者の女子高校生は、「Aさん、どうしたの? 肉体関係って良くないよ」と話しても、ハッキリした答えはなかったという。



 それから数ヶ月後、情報提供者の女子高校生は、Aさんの自宅に1人で呼び出され、Aさんから衝撃的なことを聞かされることとなった。
 それは、Aさんが校内の同じ派閥に属する女子生徒から、イジメを受けていたということだった。そのいじめは小さな事案から始まり、最終的には「Aさんに告白をする男子生徒のすべてと肉体関係を持て」というものにまでエスカレートしたのだ。



 さらに、Aさんの不幸に追い打ちをかける事態があった。Aさんは恋愛にうとかったため、「ロストバージン」というものを知らなかったのだ。確かに、今の保健体育の教科書には、「コンドームの使い方」が書かれてあっても、「ロストバージン」「処女喪失」などという言葉は出てこない。




「イジメがつらいから…」と、Aさんは自分の心を殺して人生で初めて1人目を経験…。そして、2人目を経験…。最終的に、イジメによる望まない肉体関係は、8人にまで達したのだという。



 この事件で特徴的なのは、この8人の男性がすべて未成年の男子高校生。しかも、真剣に告白し、「付き合ってもらえるんだ」と思ってデートをした上で、肉体関係に及んだのだという。つまり、8人の男子高校生は、「Aさんが裏で、同じ派閥の女子高校生からイジメを受けている」という事実をまったく事情を知らなかったのだ。




「ロストバージンなんて、知らなかった。本当に痛かったし、つらかった」Aさんから情報提供者の女子高校生が聞いたとき、その女子高校生は胸が張り裂けそうになったそうだ。男性である筆者が聞いても、思わず頭を抱え込んでしまうほど衝撃的だった。



 そして、
Aさんは「恥ずかしいから、親にばれたくない。だから、被害届を出すようなことは、したくない」と話していた。



 さらに衝撃的だったのは、Aさんのクラスの担任である20歳代の女性教員が、普段から「セックスは楽しいんだよ。気持ち良いんだよ」「みんなもやってみれば、分かるって」などと、生徒をけしかけ、高校内で性犯罪が起こる温床を作り上げていたことだ。
 筆者が冒頭で書いた「性犯罪に対して大らかな教員が自分の娘の学校にいたら、ろくなことが起こらない」という内容が、現実のものになった形だ。



 ここで、事件の内容をもう一度整理してみよう。



 Aさんをイジメていたのは、未成年の女子高校生である。つまり、同性に対して「性的な虐待」をしていた。


 Aさんと肉体関係を持ったのは、8人の未成年者である男子高校生。


③ 男子高校生たちは、イジメの事実をまったく知らず、自分の「愛の告白」が通じたと思っていた。


④ 男子高校生たちは、「個別の恋愛」だと思っていたため、それぞれが個別に肉体関係を持った。


⑤ 男子高校生たちは、レイプなどをしておらず、Aさんと合意の上の肉体関係だった。


⑥ 普段から、生徒たちに肉体関係を推奨するような、「性犯罪に対して大らかな教育者」が女性教員として高校に在籍していた。




 筆者は、目に余る事件だったため、警察にも相談。しかし、「とても難しい」という返事だった。
 理由は、男子高校生が女子高校生によるイジメの事実を知らなかったこと。男子高校生が未成年者であること。法的に同性に対しての「性的な虐待」は、想定していないこと。
 そして、何よりもAさんが被害届を出したがらないことだった。




 筆者は、Aさんを守るため、情報提供者の女子高校生とさまざまな策を打つことにした。
 情報提供者の女子高校生は、たまたま校内の最大派閥のリーダーだった。そのため、Aさんを情報提供者の女子高校生の派閥に入れ、みんなで守ることにした。イジメを行った生徒がAさんをけしかけてきたときは、派閥内で腕っ節の強い女の子が飛んでいって、守るようにした(暴力がともなう守り方ではないので、念のため)。



 肉体関係を持った男子生徒たちにも、事情を説明して、理解を求めた。



 そして、一番の問題だったのが、高校内で性犯罪が起こる温床を作り上げていた20歳代の女性教員だった。
 情報提供者の女子高校生が、その教員の所に行き「先生、自分が何をやっているか、分かっているの? 私、記者さんに言うから。記者さんが実名報道で記事にしたら、先生はクビだよね」
と話した。そうすると、
女性教員は、泣きながら「お願い。許して。もうしないから」と懇願したのだという。
 女性教員の行為は、泣いて反省したところで、許される問題ではない。本来であれば筆者も実名報道をしたいところだが、そうするとAさんの名前なども分かってしまうため、それは差し控えることとのをお許しいただきたい。



 さて、イジメを行った女子生徒であるが、イジメを行った理由を「Aさんが男子生徒から人気で、うらやましくてやった」と話したのだという。そして、泣きながら「もうしないから、ごめんね」と話したのだという。
 この件に関しても、
泣いて反省したところで、許される問題ではない。特に女性にとっては、「一生に一度」のロストバージンを好きでもない男性にイジメによってささげてしまったのだ。心の傷の深さは、計り知れないものがある。



 情報提供者の女子高校生は、Aさんを守るためにさまざまな策を打ったが、生徒間で解決を図ろうとしても限界がある。そのために、筆者はAさんの名前を伏せた上で、その高校の教頭に「貴校では、性犯罪が起きている」と告発し、その解決を学校にゆだねた。
 学校は、やはり筆者の告発により、初めて「校内に性犯罪が起きている」ということを知ったのだという。




 教員というものは、生徒の性的な非行や犯罪に対し、真っ先に目を向けなければならない。それが、少人数の学校にもかかわらず、長期間にわたって「知らなかった」というのは、どういうことなのだろうか? ましてや、教員が校内で性犯罪が起こる温床を作り上げていたというのは、もってのほかだ。



 日本の公務員という立場の教員は、そのような堕落した人物であっても、減給されるどころか、年々給与が上がっていくのだ。民間企業であれば、そのような話しは絶対にあり得ないことだ。もっと教員に対する査定と監視を厳しく(最低限、民間企業なみにする)ことは、当然の話なのだ。




 そして、京都教育大学や筆者が取り上げたような「性犯罪に対して大らかな教育者」は、教育現場からいなくなるべきなのだ。私たちが払っている高い税金が、「性犯罪に対して大らかな教育者」の給与に使われているとなると、ゾッとするのは筆者だけではないはずだ。




 先月起こった京都教育大学の事件は、「被害者が女性。加害者が男性」という従来型の性犯罪である。しかし、筆者が書いたような「被害者も、加害者も、性犯罪が起きる温床を作った教員も、すべて女性」という新手の性犯罪に対する法整備と周囲の大人たちによる監視の目が必要となる時代に突入してしまったことを私たちは肝に銘じるべきだろう。




 このニュース・ブログをご覧になっている読者の中には、女性もいるだろう。そして、「娘を持つ父親」もいるだろう。最低限、自分の周囲からこのような悲劇を生み出さないためにも、「自分のまわりの子供達に何が起きているか?」に、しっかりとした目を配って欲しい。
 そして、「うちにも娘がいる」という読者は、これまでの家庭環境でタブーとされていた「ロストバージンの話」などにも言及する勇気を持って欲しい。



 一度、深い傷を持てしまった少女の心は、二度と癒すことができないのだ。