だから、自分と同等に議論を交わす稚彦は、刺激的な友人であると思えました。
何よりも、相手を言い負かした時の、稚彦のポンと空中に投げ放たれたような笑い声は、耳に心地よく感じました。
また、稚彦と妹が睦まじくしているのを見ることは、アジスキタカヒコネにとって快いこと。
男勝りなところのある妹が、しおらしげに稚彦を上目遣いで眺めるところなどは、胸が透く思いさえしたのです。
しかし、葦原中国の平和と同じに、この若い王子達の運命にも、黒雲が差してくるのに、時間はかかりませんでした。
高天原にしてみれば、いつまでたっても当初の目的を果たさない稚彦は裏切り者。
裏切り者となれば、稚彦が優秀であれば優秀であるほど、憎く、怖い敵となるのは明らかです。
高天原の刺客は、まず、身内を狙いました。
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