兄の考えを感じ取り、意見を交わしてきた自分の移し身。
ウジノワキイラツコはじっと妹のヤタ姫を見詰め、静かに尋ねました。
「おまえは、オオササギのことが好きかい?」
「ええ。とっても。優しいし、理知的な雰囲気がとても魅力的だわ」
その日、オオササギのところに、早馬が来ました。
ウジノワキイラツコ崩御。
短く強く訴えかける言葉でつづられた遺書がありました。
「これが天命なのです。兄上を補佐するとの約束は守れませんでした。代わりにヤタ姫を補佐役にしてください。私の代わりにヤタ姫を側に置いてください」
仲の良い弟にこんな風に死なれてしまったオオササギ王としては、良い統治者になるほかないでしょう。
オオササギ王は、後に「聖帝」と呼ばれることになります。
そして、オオササギ王の政治が清く尊いものであると評判が立てば立つほど、オオササギ王が皇位を継いで欲しいと願ったというウジノワキイラツコの名も高まったのでした。
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