さて、本日は経営コンサルタントの小宮 一慶さんが長年のコンサルティングから得た、「優れた社長の条件」についてまとめたこの一冊をご紹介致します。
基本的には経営者向きの内容となっておりますが、どんなビジネスパーソンにも必要な「経営視点」を磨くという意味では、読む価値のある本だと思います。
何故なら、変化の激しいこの時代、「上司や経営者のいいなり」で動いていては遅すぎる。
大手メーカーの失速が、それを証明しているでしょう。
現場の人間一人一人が、如何に経営者と同じ視点で考え、動くことが出来るか。
それによって、仕事の成果やひいては収入が大きく変わって来る時代になって来ていることでしょう。
何れにしても、経営者がどんなことを考えているか、良い経営者とはどんな資質を備えているかを知ることは、仕事をする上でマイナスになるはずがありません。
僕は勿論、自分が良い経営者になるために必要な条件とは何か、という観点で、注意深く噛み締めながら読んでいきました。
それでは、早速いつも通りまとめてみます。
①構成要約
1. ストラテジー力
ストラテジー=戦略を決めるということは、会社がどんな方向へ進んでいくかという方向性や理念を決めるということ。
航海に例えれば、方位磁針を持たずに航海に出る人はいないでしょう。
では、うまくいく会社とは、どのように戦略を立てているのでしょうか。
ここで述べられているのは、所謂「前提条件」に関わる部分が大半です。
目指す姿はズレていなくとも、考え方がズレていれば、正しい目的地に辿り着くことは出来ませんよね。
まずは、正しい方向を向くための考え方は何か、ということに多くの気づきが得られる章です。
結構、逆に考えてしまっている会社が多いと思いました。
2. マーケティング力
営利目的の企業である以上、「どうやって売るか」ということが、最大のテーマであることに変わりはないでしょう。
どうやって販売戦略を立て、集客し、売上を上げるか。
ここでも、「ノウハウ」よりも「考え方」が大事だと著者は言います。
商売の基本は、リピーターを増やすこと。
小宮流マーケティングは、奇をてらった斬新的なノウハウではなく、既存顧客を大切にすることに重点を置いています。
3. ヒューマンリソース・マネジメント力
結局、どんな会社も「人」がいないと何も始まりません。
そして、「どうやって人を動かすか」という部分が、経営者の最重要課題であり、逆に一番苦労するところではないでしょうか。
「どんな会社や経営者のもとで働きたいと思うか?」
という部分について、様々な角度から分析しています。
優秀な人材が育つ組織の特徴とは?
4. 会計力
いくら売上が高くても、倒産する場合があります。
所謂、「黒字倒産」というやつです。
「ふーん」と思うかも知れませんが、多くの会社はこの理由で潰れているのが、現状です。
常にキャッシュをまわしていくことも、経営にとっては必須要件の一つ。
お金が手元に無くなれば、即アウトですからね。
ここでは、そうならないために、経営で使う数字の読み方、そして銀行とのつき合い方まで教えて頂けます。
5. リーダーシップと人間力
最終的に、経営者はこれらの要素を実現するために、リーダシップをとっていかなくてはなりません。
その際に必要となるのは、「人間力」。
経営者ほど、人間としての基礎能力が問われる仕事は無いと思います。
リーダーとして、人の上に立つための資質の磨き方とは?
②所感
お恥ずかしい話ですが、僕は一度起業をして失敗した人間です。
でも、失敗からは多くのことを学び、とても良い経験だったと思っています。
しかしながら、経営に失敗して、多くの方にご迷惑をお掛けしてしまったことも事実。
だからこそ、経営者としての基礎を今一度学びたい、という気持ちは常に持っています。
この本に先に出会っていたらなぁ、と思えるくらい、
「経営の王道」が記されている本です。
そして、改めて僕の強みと、足りない部分を認識することが出来たので、この本から得たい情報は得ることが出来たと思います。
感想を踏まえた上で、改めて「経営」というものを考えた時に、「本当にごまかしの効かない仕事だよなぁ」と、改めて思いました。
チェックリスト形式の部分もありますので、経営者の方はご一読して頂き、是非チェックを入れてみて頂きたいと思います。
項目を一つずつチェックし、チェックの入らなかった部分は自社の弱みですから、何らかの方法で早急に埋めていかなくては、そこから会社が崩れて行く原因にもなりかねない、と僕は考えます。
何も、経営者自身が全ての資質を兼ね備える必要はありませんが、この本に書いてあることは、全て実行に移さなければならないのが、経営という仕事だと認識しました。
奇をてらったノウハウや魔法は、一つもありません。
基礎中の基礎ばかり書いてあることから、小宮さんの経営に対する考え方も、伺い知ることが出来ます。
独立を考えている方は、この本を読んで頂いて、経営者とはどんな仕事なのか、概要だけでも理解していると、実際に会社を運営する時に、大いに助けになることでしょう。
あるいは、この本を読んで、経営者を目指すのを諦めるのも良し。
どの道、中途半端な気持ちでやれる仕事では無いですからね。
そして、従業員の方は、経営者はどんな視点で会社や人を見ているか、ということを学ぶ、良い機会にもなると思います。
僕自身が、「経営の教科書」として、自信を持ってオススメしたい一冊です!
③こんな方へオススメ
1. 経営者の視点を学びたい方
2. 経営の基礎に立ち返りたいと考えている経営者の方
3. 経営者としての資質をチェックしたい方