- ウエハースの椅子
- ¥520
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わたしは本が好きだ。壁に当たると本の海に溺れる。本の神様は、いつもわたしに合う本を与えてくれる。ずしりずしり、恋という名の熱病にとらわれたわたしは、煙草を一服するかのごとく、一呼吸する。煙草は今の社会では問題かもしれないが、わたしのため息のかわりだ。ため息ばかりつくと、重いから煙草で、カモフラージュする。したり顔してるくせに、どっかぎりぎりだから。こぼれ落ちてしまう。花のように、鳥のように、歌じゃないが、やや揺れる。
久しぶりに江國香織の「ウエハースの椅子」を再読。例えば人には好きな小説だけど、逆立ちしても書けない世界ある。わたしには高村薫のような社会派ミステリーは到底、創作できない。だけど、本を読み終わり、ああこんな世界を構築してみたいと思ったのは、この「ウエハースの椅子」かな、今は。
この本は三十八歳の独身の主人公が、家庭ある優しい恋人の訪問や一緒の甘いバカンスを過ごし、あとは、ただ待ちわびる話だ。平気がる主人公に、ふいに「絶望」がやってくる。「絶望」は主人公に話しかけて、おびやかす。
好きな箇所は主人公の彼女の独白。本を読む理由について。
「私もたくさん本を読むが、いい読者とはいえない。読む本がなかったら、恋人のいない時間をどうやって過ごしていいかわからないから読むだけだ。だから、夜、恋人が帰ったあとに、読書する。あるいは恋人の現れない昼に」
何となくわかるような、わからないような。まあ、わたしは寝る前と移動中に本を読むのが習慣だ。
まるで本の海に沈んでいくように。底なし沼みたいに。
何も考えたくない刹那☆せつな☆。わたしの趣味の登山や旅も、
次の行き先やご飯をまず考える。
頭がとてもシンプルに変換する。
まあ、空き時間に課題みたいな考えごとを転がすと、日常にはない発想が浮かんできたりする。そこが醍醐味☆だいごみ☆かな。がんじがらめの日常から想いから逸脱できるから。わたしは休憩する。逃げるんじゃなく小休止。容赦なく時は流れ、人の気持ちが思い通りにならないことを知っているから、羽休みかもしれない。これから、少し本の海へ。