兵庫県知事に行った平成25年度当初予算編成に対する申し入れの内容は、次のとおりです。
1 固定資産評価証明書の交付に係る手数料の徴収について
2 武庫川における天然アユの遡上可能な環境整備について
3 老人クラブ活動強化推進事業に係る事業費の堅持等について
4 卵子の老化等の啓発について
5 こども医療費助成制度について
6 神戸国際展示場等の拡張・活用等について
7 クルーズトレイン「あいたい兵庫号(仮称)」構想について
8 兵庫県ヤンゴン経済交流事務所開設の検討について
9 大企業のベンチャーキャピタル化への検討等について
10 職業訓練委託先の見直しについて
11 西宮北有料道路周辺道路の混雑への対応等について
12 阪急武庫川駅(仮称)及びJR東海道本線・阪急今津線交差地点新駅構想について
13 法務局備付公図(字限図)にかかる地図訂正の適正な申請等について
14 遮熱塗料の積極的な使用等について
15 県立施設や学校などの未利用容積率活用のための調査について
16 地域整備事業における資金ショートの可能性について
17 スクールカウンセラーの小学校への単独配置の拡大、中学校への配置時間の増加及びキャンパスカウンセラーの高等学校への派遣頻度の増加について
18 学校での英語等教育について
19 「「警察改革の精神」の徹底のために実現すべき施策」に基づく各施策の着実な実施について
20 DNA型鑑定用試薬購入の予算化について

 始めに                          
 私たちの日本において、解決しなければならない最重要課題は、少子高齢化問題であろう。
 それは、県においても同じである。
 そのために、老人クラブ活動強化推進事業に係る事業費の堅持等や、卵子の老化等の啓発、こども医療費助成制度について申し入れた。
 なぜなら、生産年齢人口、即ち労働力の中核をなす15歳以上65歳未満の人口層の減少傾向は避け難く、男社会・現役依存社会から、男女共同参画社会づくりや、労働力の中核を65歳以上の世代をも巻き込んだ社会づくりへと変革する必要に迫られているからである。
 だからこそ、老人クラブ活動強化推進事業に係る事業費削減の内容や意義を確実に分かり易く対象となる県民に対して、さらにテレビ放映や新聞報道などで取り上げられるようになった卵子の老化等女性のライフサイクルに多大な影響を及ぼす新たな課題に対しても、果敢に取り組む県の姿勢を力強いメッセージとして発信する必要がある。
 また、統治のあり方として、大枠として、国は外交・防衛、市町は住民サービスを担う役割に重きを置くとすれば、県としては、雇用の創出こそ使命であろう。
そういう観点から、神戸国際展示場等の拡張・活用等について取り上げ、さらに県という地方公共団体であっても、ビジネスのグローバル化の影響は不可避であるので、新学習指導要領に基づくお決まりの学校での英語等教育に対して、実社会で役に立たない学校教育は税金の無駄遣いであるだけでなく、児童生徒の貴重な時間を奪うものであるのを指摘することで、最高の教育とは、実社会での失敗を教訓に試行錯誤を繰り返すという究極奥義を忍耐強く継続することで、望む自分の姿を創造し続けるという生涯教育の原則を明らかにし、また、兵庫県香港経済交流事務所の開設を契機として、アジア最後のフロンティアと呼ばれるミャンマーに経済交流事務所開設の検討を申し入れることによって、「行きは良い良い 帰りは怖い」という通りゃんせの歌詞のように、進出や投資する際は薔薇色のように見えた環境が、一変して反日デモや人件費の高騰、日本の常識が通用しない法体系であるなどのチャイナ・リスクを明らかにし、リスクを分散する意味においても、所謂チャイナ・プラス・ワンとしてのミャンマーに経済交流事務所開設を検討する意義をも明らかにするものである。
さらに、県民の代表たる議員は、県民に夢を与える存在でなければならない。
そこで、クルーズトレイン「あいたい兵庫号(仮称)」構想や、阪急武庫川駅(仮称)及びJR東海道本線・阪急今津線交差地点新駅構想についても申し入れた。
最後に、知事におかれては、平成25年度当初予算編成にあたり、真摯な議論を重ねた成果として、その実現を図られるよう切に熱望するものである。

1 固定資産評価証明書の交付に係る手数料の徴収について(企画県民部関係)
 平成24年度当初予算編成に対する重要政策提言等において、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4の規定に基づき、固定資産評価証明書交付依頼書によらず、一般の証明書として、手数料を徴収している神戸市、西宮市、芦屋市、宝塚市、三木市、三田市の6市と、稲美町の1町に対し、固定資産評価証明書の交付に際し、手数料を徴収しない取扱いとするのを、知事が助言又は勧告をするよう申し入れた。
その結果、不動産登記のため法務局に提出する評価証明書については、手続に則って申請が行われた場合に本来無料で交付すべきであるので、県としては、早速に、交付手数料の無料化に向けて、法務局との協議や住民への周知をはかるよう、6市1町に求められたところ、宝塚市は無料化実施済みであり、その他の市町からは適切に実施していくとの回答を頂いているとのことであった。
 そこで、神戸市、西宮市、芦屋市、三木市、三田市の5市と、稲美町の1町において、交付手数料の無料化を適切に実施しているのか確認するとともに、未実施の市町があれば速やかな無料化実施を助言又は勧告するよう申し入れるものである。

2 武庫川における天然アユの遡上可能な環境整備について(県土整備部関係)
 平成21年度から武庫川で実施されているアユの生息実態調査によると、武庫川下流から中流にかけて、平成22年5月の調査で1,074匹、8月の調査で596匹、9~10月の調査で280匹のアユの生息が確認されている。
 また、平成22年10月に武庫川漁業協同組合とともに、アユの産卵場づくりを実施した結果、その後の調査で、産卵場づくりを実施した箇所の周辺で約48万個の産卵を確認することができ、平成24年にもアユの産卵場づくりを実施したところである。
さらに、アユの生息数増加に向けた取組は、河川の浄化や地域の活性化に貢献するという指摘がある。
 そこで、引き続きアユの生息実態調査を継続するとともに、放流したアユだけでなく、海で成長し川へ遡上するという天然アユの遡上そのものの増加を推進する河川環境の整備を通じて、武庫川のさらなる浄化に取り組むよう申し入れるものである。

3 老人クラブ活動強化推進事業に係る事業費の堅持等について(健康福祉部関係)
 平成24年度当初予算編成に対する重要政策提言等において、老人クラブ活動強化推進事業に係る事業費削減の見直しについて、知事に対して申し入れた結果、全国で唯一の県単独事業を継続し、単位老人クラブ活動に対する支援を継続するとして、今後とも、単位老人クラブ活動に対する助成に加えて、県老人クラブ連合会が行うリーダー養成や市町老人クラブ連合会が行う健康づくり活動等に対して支援を行い、老人クラブ活動を通じた高齢者の社会参加活動を促進するとのことであった。
 そこで、引き続き老人クラブ活動強化推進事業に係る事業費を堅持するとともに、これに加えて、県老人クラブ連合会を通じて、市町老人クラブ連合会や単位老人クラブに対して、老人クラブ活動強化推進事業に係る事業費削減の内容や意義の周知徹底を図るよう申し入れるものである。

4 卵子の老化等の啓発について(健康福祉部関係)
 少子対策の推進の中で、未来の親への支援として、ひょうご出会いサポートセンター事業の推進や、不妊治療にかかる支援、妊婦健康診査に要する費用の助成等が行われている。
そのような施策が行われている一方で、女性の卵子は年齢とともに年を重ねるので、所謂卵子の老化によって、年齢を重ねると自分の卵子での妊娠が難しくなり、35歳の女性が出産できる可能性は20歳代の半分程度になると言われている。また、仮に妊娠しても、染色体異常の可能性が高くなり、流産しやすくなるのが一般的に知られていない。
 さらに、不妊の原因は男性にもあるとされていて、夫が不妊の検査に行かないため、ようやく不妊治療が始まった時には、妻の卵子が老化しているという事例が後を絶たないというのである。
 このような状況になると、少子対策のみならず、子育て支援の推進対策における前提が崩れるだけではなく、女性就業支援施策における再就業支援や若年者の就業支援では不十分であり、継続就業支援を再考しなければ、男女共同参画社会づくりと家庭応援施策の推進等における女性のライフサイクルに多大な影響を及ぼすことになる。
 そこで、不妊治療の技術が進んだとは言え、不妊治療をすれば必ず子宝に恵まれるわけではなく、寿命が延びても閉経年齢が延びるわけではないので、妊娠しやすい年齢が変わらないことや、不妊の原因は男性にもあるので、夫婦揃っての不妊治療を啓発するよう申し入れるものである。

5 こども医療費助成制度について(健康福祉部関係)
 こども医療費助成については、平成23年10月から入院医療に加えて、小学4年生から小学6年生までの通院医療にも助成が拡大された。
 ところが、義務教育就学児の育成を担う世代の中には、家計に及ぼす経済的負担を気にして受診を躊躇している事例があるので、少子化に歯止めをかけ安心して子育てできるよう、子育て支援の一環として、全国統一された基準で、義務教育就学児までの医療費の無料化が国の制度として創設されるのが理想である。
 さらに、大阪市は平成24年11月診療分から、通院医療費の助成対象年齢を15歳(中学校修了まで)に拡充し、あわせて制度名を「こども医療費助成制度」に変更した。 
そこで、子どもの健康を守り、健全育成する観点から、国における制度が整備されるまでの間、こども医療費助成制度について、将来にわたり持続的で安定した制度として維持していくことを前提に、現実的な対応として、所得制限なども考慮し、こども医療費助成事業のさらなる拡大を再度検討し、中学1年生以上の義務教育就学児の通院医療についても、福祉医療費助成事業での医療費助成の対象とされるよう申し入れるものである。

6 神戸国際展示場等の拡張・活用等について(産業労働部関係)
 85年の歴史を持ち、戦争や阪神・淡路大震災を乗り越えて、スーパードライなどを生産してきた西日本の拠点であるアサヒビール西宮工場の閉鎖に象徴されるように、県内経済の状況は依然厳しく、引き続き産業の空洞化が懸念されるので、産業構造の転換や企業間の取引機会や場所の増加に伴う経済活性化の契機が求められている。
 全国に目を向けると、そのような場所としては、東京ビッグサイトや幕張メッセ、インテックス大阪等を挙げることができ、県内では神戸国際展示場がある。
 一方、東京ビッグサイトにおける屋内展示場2棟10ホールの総展示面積 80,660㎡と比較すると、神戸国際展示場の展示面積合計は13,600㎡に過ぎず、昭和56年のオープンから、バブル崩壊やリーマンショックなど、社会情勢が大きく変化し、国際展示場の果たす役割は大きくなっていることに鑑みれば、その充実が必要になっていると言える。
 国際展示場は、企業にとっては、製品の宣伝と販売や購入を効率的かつ集中的に行うことができるのに加えて、地域にとっては、定期的かつ継続的な一定規模の経済効果を期待することができて、消費者にとっては、良質な製品を適正な価格で購入することができるという利益をもたらす。
 その利益を考慮して、神戸国際展示場と神戸国際会議場を運営している財団法人神戸国際観光コンベンション協会に出資している神戸市や、神戸コンベンション誘致協議会を構成している企業等と協力し、厳しい財政状況等を勘案して、プライベート・ファイナンス・イニシアティブやファンドの活用も視野に、現在の建物は一定の耐震性を備えていることを踏まえ最低限の構造上の安全を確保するという観点から、廉価に神戸国際展示場と神戸国際会議場の面積を拡張し、日本のみならず東アジアを中心に、企業に対して、世界市場に製品の宣伝と販売や購入の機会を提供する場として活用するよう申し入れるものである。

7 クルーズトレイン「あいたい兵庫号(仮称)」構想について(産業労働部関係)
 JR九州は、本年9月に、平成25年10月からクルーズトレイン「ななつ星in九州」の運行を開始することを発表した。この列車は、自然や食、温泉、歴史、文化などの和の魅力に溢れた九州を巡り、今までにない心豊かな時間を提供するために、贅を尽くしたスイートルームに、ゆったりと寛ぐことができるラウンジやダイニングを備えた全く新しい列車である。
 一方、本県では、平成24年9月から11月まで、清盛・源平所縁の地の紹介や、市町のご当地キャラが登場するスタンプラリー、ブロガーが県の魅力を探索する「旅ブロガー」等の「あいたい兵庫キャンペーン2012」を実施し、本県の魅力的な観光資源を全国にPRすることにより観光誘客の促進を図ろうとしている。
 そこで、JR西日本に対して、本県の自然や食、温泉、歴史、文化などの魅力を探索するために、キャンペーンではなく恒久的な取組として、JR福知山線脱線事故を風化させないよう尼崎駅を起点とし、福知山線を経由し福知山駅、山陰本線を経由し和田山駅から播但線を経由し姫路駅、さらに山陽本線・東海道本線を経由し甲子園口駅を終点とするクルーズトレイン「あいたい兵庫号(仮称)」を提案し、必要な施策を実施するよう申し入れるものである。

8 兵庫県ヤンゴン経済交流事務所開設の検討について(産業労働部関係)
 中国をはじめアジア新興国が著しい成長を続けている。本県の産業の持続的成長のためには、そのエネルギーを取り込んでいくことが必要であることから、本年、アジア諸国のネットワークの要衝である香港に、経済交流を広げる拠点として、兵庫県香港経済交流事務所が開設された。その役割は、現地ビジネス情報の提供、専門機関の紹介、ビジネス交流機会の創出等による県内企業のアジア諸国への事業展開の支援、観光情報の提供による県への誘客促進、工業製品や食品の展示等を通じた県産品の販路拡大である。
 一方、アジア諸国の中では、近年、急速な民主化と経済改革が進むミャンマーが国際社会の注目を集めている。ミャンマーは、親日的で識字率が高く、豊富な労働力と天然資源を抱え、アジア最後のフロンティアと呼ばれており、これまでミャンマーに厳しい立場を取ってきた米国が経済制裁を緩和すると表明したのに加えて、民主化運動指導者で国会議員のアウン・サン・スー・チー氏も、米国を始めとする各国で経済支援を中心とした積極的な外交活動を行っている。
さらに、日本はミャンマーからの輸入規制など行っておらず、ミャンマーにおける2011年の製品輸出先の3.5%を占めているものの、日本貿易振興機構によると、日本企業の進出先のうち、ミャンマーに進出している企業は僅か50社に過ぎず、中国への進出企業約27,000社、タイへの進出企業約1,300社に比べると非常に少ない。
 そこで、本県産業の持続的成長に向け、アジア諸国のエネルギーを取り込んでいくためにも、ミャンマーの将来性を見越して、経済交流を広げる拠点として、ミャンマーの最大の都市ヤンゴンに、兵庫県ヤンゴン経済交流事務所を開設することを検討し、必要な施策を実施するよう申し入れるものである。

9 大企業のベンチャーキャピタル化への検討等について(産業労働部関係)
 85年の歴史を持ち、戦争や阪神・淡路大震災を乗り越えて、スーパードライなどを生産してきた西日本の拠点であるアサヒビール西宮工場の閉鎖に象徴されるように、県内経済の状況は依然厳しく、引き続き産業の空洞化が懸念されるので、産業構造の転換や大企業のあり方、新たな商品・サービスのプロデューサー育成による経済活性化の契機が求められている。
 県内に事業所のある大企業は200社を超え、鉄鋼・非鉄金属や、化学、金属製品、石油・石炭、パルプ、紙、窯業・土石、一般機械、電気機械、輸送用機械、食品、繊維、その他製造、商業(卸売)、農林水産、運輸・通信、サービス(対事業所)という多岐に亘る業種に及んでいる。
また、社内ベンチャーでは社内の予算や制約などの限界があり、社員の独創的なアイデアが実現されず、埋もれてしまう可能性がある。
 そこで、 「産業集積条例」に基づき、企業立地を奨励する「新事業・雇用創出型産業集積促進補助金」(立地補助金)で、大企業の支給実績の一部を大企業のベンチャーキャピタル化に振り替えるなどを検討し、必要な施策を実施するよう申し入れるものである。

10 職業訓練委託先の見直しについて(産業労働部関係)
 平成22年に県立神戸高等技術専門学院が学校法人A(注)に委託した受講コース OA・経理事務コース コースNo. C-20 において、平成22年10月1日、受講生の一人が他の受講生から、いじめを受けたうえ、暴行や暴言を受けた。
 さらに、同日、正当な理由もなく、同校の副校長が、個室に呼び付け、大声で二度も恫喝した。
 この受講生は同日現在、出席率80%を超え、早期就職の実現を目標に、真剣に職業訓練を受講していて、再三、同校に申し入れた他の受講生全員の職業訓練時間中の私語、常習的な遅刻・一時外出、及び職業訓練時間中の宅建問題集の閲覧の禁止とその是正が全く改善されないのに加えて、この受講生への人権侵害や、この受講生が被害者となる刑事事件に発展する恐れが極めて高く、正常な職業訓練を受講できる状態にないため、やむを得ず、本意に反して、退校する事態に至った。
 現在もなお、同校は、この受講生に慰謝料の支払いは勿論、謝罪も行っていない。
そこで、同校を職業訓練委託先として不適格とするなど、職業訓練委託先の全面的な見直しを行うよう申し入れるものである。

 (注)兵庫県知事に行った平成25年度当初予算編成に対する申し入れの実物には、具体的な学校名を記載しています。

11 西宮北有料道路周辺道路の混雑への対応等について(県土整備部関係)
 兵庫県道路公社が管理する西宮北有料道路は、西宮市の南北をトンネルで結ぶ道路で、通勤・業務を中心に年間約470万台の車に利用されており、当該道路の更なる利便向上について、利用者から大きな期待が寄せられているので、有料道路事業の料金徴収期間を3年短縮して、無料化(料金徴収終了)の時期は平成29年度末を基本とし、今後の事業収支や周辺道路の混雑状況等を考慮して実施するとした検討結果を取り纏められた。
 その結果を踏まえて、目標時期である平成29年度末までに無料化が実現できるよう取り組みを進めるとともに、周辺道路の船坂交差点や鷲林寺町交差点などにおける渋滞解消は喫緊の課題となっているので、できるだけ早期に対応するよう申し入れるものである。

12 阪急武庫川駅(仮称)及びJR東海道本線・阪急今津線交差地点新駅構想について(県土整備部関係)
 (1) 西宮市は平成24年度、阪急電鉄神戸線西宮北口駅(同市)‐武庫之荘(尼崎市)駅間の武庫川の橋上で、新駅設置が可能かを検討するため、当初予算案に初めて調査費50万円を計上した。
  両駅間は約3.3キロあり、同線では駅間が最も長く、周辺は武庫川を挟んで住宅地が広がっている。西宮市の地元住民らは平成12年、阪急武庫川駅誘致推進協議会を結成し、1万人を超える署名を添えた陳情が市議会で採択され、平成20年当時の山田知市長が実現に向け、阪急電鉄や尼崎市と調整を進めていくと前向きな方針を示していたが、新駅設置は、建設費など西宮、尼崎両市と阪急電鉄などの調整が必要で、これまで具体的な話し合いは行われていない。
  西宮市は、平成24年度に行う調査について、実現の可能性を検討するため、需要などを調査し、阪急電鉄や尼崎市とも協議したいとする一方で、阪急電鉄は、連携協力して前向きに検討したいとしている。
  同協議会の松井祐一会長によれば、「ようやく調査してもらえることになり、少し前進したという喜びと期待がある。周辺住民には高齢者も多く、地域の足としてぜひ実現してもらいたい」と話しているという。
  そこで、阪急武庫川駅(仮称)新駅構想について、西宮、尼崎両市と阪急電鉄などを仲介し、実現に向けた検討を進めるよう申し入れるものである。
 (2) JR東海道本線西宮駅と阪急今津線阪神国道駅は、約900m離れていて、徒歩で10~15分程度かかり、現状では乗り換えは困難である。
  一方、JR東海道本線と阪急今津線が交差する位置には、アサヒビール西宮工場があるが、この工場は本年8月に閉鎖され、西宮市がその跡地の一部を購入するという構想を持っているという。
  三宮・大阪間にはJRと阪急の乗り換えができる駅がないことから、この跡地の一部を活用して、新駅を設置すれば、利用者の利便性の向上にもつながる。
そこで、JR東海道本線・阪急今津線交差地点新駅構想について、検討するよう申し入れるものである。

13 法務局備付公図(字限図)にかかる地図訂正の適正な申請等について(農政環境部・県土整備部外関係)
 西宮市門戸岡田町25番の土地の境界を確定するため申請された道水路境界明示申請において、法務局備付公図(字限図)上では、同番の土地と北側に隣接の同市門戸西町103番13の土地との間には里道があった。
 ところが、平成22年に西宮市が法務局に誤解を招く同意書を発行し、公図の地図訂正が行われた結果、公図上里道が消失し、当該地図訂正の申請そのものに錯誤の可能性があるので、同市門戸岡田町25番の土地の境界を確定することができない状況にある。
 さらに、県も地図訂正の申請を行う実例が土木事務所などであり、地籍調査の推進を実施しているところであり、地図訂正の申請そのものに錯誤等が発生する可能性を否定できない。
 そこで、県が申請した法務局備付公図(字限図)にかかる地図訂正の申請が適正に行われているか調査したうえで、地図訂正を申請するにあたっては、適正な地図訂正の申請を確実に行うとともに、地方自治法(昭和22年法律第67号)第245条の4の規定に基づき、知事が市町に対し、法務局備付公図(字限図)にかかる地図訂正の適正な申請を行い、合わせて適正な申請が実施されているかの調査を行うように助言又は勧告をするよう申し入れるものである。

14 遮熱塗料の積極的な使用等について(県土整備部外関係)
 平成24年8月における全国の平均気温は平年より1.13度高く、戦後3番目の暑さとなり、豊岡市では、7月1日以降、最高気温35度以上の猛暑日の日数が計32日間になるなどの記録的酷暑になり、神戸市や姫路市も、猛暑日は平年を上回るペースで推移していたというのである。現在、塗料メーカーでは、太陽光を反射し建物の蓄熱を抑制する遮熱塗料が開発されており、県内でも、尼崎市にある神東塗料の「サンカット」や川上塗料の「フロンコート」、「ルーフトン」などの遮熱塗料が製品化されている。この塗料を使用すれば、舗装道路などのヒートアイランド対策や、建築物における冷暖房費の削減に繋がり節電効果が期待でき、県立高等学校でも既に活用している例がある。
 また、官公需についての中小企業者の受注の確保に関する法律(昭和41年法律第97号)第7条で、地方公共団体は、国の施策に準じて、中小企業者の受注の機会を確保するために必要な施策を講ずるように努めなければならないと、地方公共団体の施策を規定していて、県では、中小企業者の受注機会確保のため、庁内契約担当部局で構成する連絡協議会を設置し、官公需確保の推進方針に沿って取組みを進めているところである。
 そこで、入札等適正な競争が行われるのを前提に、同条の趣旨を踏まえて、県内に本社や事務所、工場がある塗料メーカーの遮熱塗料を積極的に県発注の公共工事で使用するとともに、さらに市町及び市町教育委員会が発注する公共工事においても遮熱塗料の使用が促進されるよう、市町及び市町教委に対し、積極的な働きかけを行うよう申し入れるものである。

15 県立施設や学校などの未利用容積率活用のための調査について(県土整備部外関係)
県立施設や学校については、建物が低層で、緑地やグラウンドなどを広く確保していることなどにより、敷地の容積率をすべて利用していない例があると思われる。
 この点、JR東日本は、特例容積率適用地区制度の適用を受けて、東京駅復元工事に掛かった約500億円もの費用を使われなかった建物の容積率、所謂空中権を売却して調達した。
また、県においても、県公館の未利用容積率については、都市計画法に基づく特定街区制度を活用して、県警本部庁舎の建設に際し有効に利用している。
 未利用の容積率を有効活用できれば、地価の上昇など周辺地域の活性化にもつながると考えられ、もし、空中権として売却できれば県の歳入の増加にも貢献する。
 そこで、建築基準法や都市計画法等の規定を踏まえて、県立施設や学校などを含めた地域で、未利用容積率活用のための調査をするよう申し入れるものである。

16 地域整備事業における資金ショートの可能性について(企業庁関係)
 青野運動公苑県有地信託事業立替金等請求上告事件判決の確定に伴い、105億7,545万3,889円もの巨額の企業会計の内部留保資金を借り入れ、直ちに支払いを行った案件等により、当局が、地域整備事業における資金ショートの可能性を検討しているという情報を得た。
 即ち、地域整備事業の資金残高が100億円を割り込むと、2年程度で資金ショートの可能性があり、地域整備事業が健全経営と言い切れなくなるというものである。
 さらに、平成23年度末残高で、湾岸側道整備資金貸付金56億3,866万6,665円や、中小企業高度化資金貸付金6億9,891万7,000円、青野運動公苑に係る貸付金105億7,545万3,889円における償還年度が決定していないのは、極めて遺憾である。
 そこで、地域整備事業における資金ショートが現実に起こり得るのか否か根拠を明らかにしたうえで示すよう申し入れるものである。

17 スクールカウンセラーの小学校への単独配置の拡大、中学校への配置時間の増加及びキャンパスカウンセラーの高等学校への派遣頻度の増加について(教育委員会関係)
 大津市のいじめ自殺事件や赤穂市のいじめ暴行動画事件など、いじめに端を発する事件が相次いでいる。このような児童生徒の問題行動の背景には、生活環境や生育歴、取り巻く人との係わり等がある。
 そうした様々な要因で、精神的に不安定な状態に陥る児童生徒は増加しており、スクールカウンセラーの必要性は増す一方である。
現在、小学校においては、近隣校との兼務という形で担当は決まっているにも拘らず、配置されている中学校での相談件数が増えているため、要望はあっても十分に対応できないのが実情である。
 例えば、西宮市には、平成24年度において、小学校40校中8校に、中学校は20校全校にスクールカウンセラーが配置されており、年度を追って、小学校の配置校は徐々に増加しているにも拘らず、スクールカウンセラーへの相談希望がそれを上回って増えている状況にある。
 さらに、川西市の男子高校生の自殺事件を契機に、月に1度程度のキャンパスカウンセラーの県立高等学校への派遣を増加する必要性が高まっている。
 そこで、県内の公立小学校へのスクールカウンセラーの単独配置の一層の拡大と公立中学校への配置時間の増加、県立高等学校へのキャンパスカウンセラーの派遣頻度の増加を申し入れるものである。

18 学校での英語等教育について(教育委員会関係)
 我が国の景気が低迷する一方で、新興国の市場が目覚ましく成長する中、ビジネスのグローバル化が進んでおり、企業でも日本人に限定せず世界中から優秀な人材が採用されるなど、英語でのコミュニケーション能力が不可欠になっている。楽天やファーストリテイリングが社内公用語を英語にすると話題になったのは記憶に新しく、他に日本板硝子や日産自動車などでも導入されている。また、安藤忠雄氏は、自身は英語が出来ないにも拘らず、同氏の建築事務所スタッフに対しては、日本の箱物の建設需要は頭打ちだから、海外の需要に対応するため英語でのプレゼンテーションが出来るよう指導している。
 また、平成24年10月10日及び同月24日付の毎日新聞の勝間和代氏のクロストークによれば、米国ワシントン大学とシアトル子ども病院研究所の共同研究結果によると、2歳以下の幼児に自国語以外のビデオを見せる時間が長いほど、自国語の習得が遅れるという。さらに、実際の経験から、身の回りにいる大勢のバイリンガルで、幼少時の海外経験が長く、ネーティブと遜色なく英語が話せるような人は、政府の経済リポートのような、漢字が多くて複雑な言い回しのある日本語の理解が弱いと感じていて、家庭における幼少期の英語教育は、英語に親しみを持たせる程度に止めるべきこと、また、現在の学校での英語教育が読み書き中心で、コミュニケーションのための英語になっていないので、単語と文法中心の学習から、会話や文化学習など、もっと実務に即した学習に変えて、より本質的な英語教育にすることを提案されている。この提案に対し、読者からも、ローマ字よりもフォニックスという発音記号など音声を先に学ぶべき、文法などは国語力がある程度習得してから、現地でよく使う短縮形の学習や、「口に出して聞いて」という反復練習の実践が必要という指摘が寄せられている。
 このほか、IQが高い人ほど文法重視、低い人ほど会話重視の学習が効果的などの報告をしている研究者もいる。
 さらに、大前研一氏によれば、昨今、英語力は以前にも増して重要になり、中国や旧ソ連圏の国々などのいわゆる発展途上国や英語圏ではない国でも、英語を用いてコミュニケートする風景がごく日常的に見られるという。一方、日本人は、流暢な英語を話せても意思疎通ができないことがあるが、それは、日本の教育が自力で答を導くことを是とするのに対し、今、世界で求められているのは、他人に質問し、衆知を集め、そこから解を導き出して他者を同意させるスキルであるためで、自分の意見を発表する場があれば、しっかりした事実や証拠、客観的な数字をできるだけ集め、それに基づいた発言をする能力を身につける重要性を説いている。
 そこで、入試や就職を控えた中学3年生や高校3年生に配慮しながら、例えば、神戸山手女子中学校・高等学校のように、全クラス英語の授業は英語で行うなど、学校での英語教育を単語と文法中心の学習から、会話や文化学習など、実務に即した学習に変えるとともに、英語で事実や証拠、客観的な数字に基づいた発言ができる人材を育成する学校教育を実施するよう申し入れるものである。

19 「「警察改革の精神」の徹底のために実現すべき施策」に基づく各施策の着実な実施について(公安委員会・警察本部関係)
 平成24年8月9日付警察庁長官より、12の施策からなる『「「警察改革の精神」の徹底のために実現すべき施策」に基づく各施策の着実な実施について』の通達がなされた。
これは、全国の警察官の不祥事が一転して急増しているので、不祥事防止へ向けて平成12年に策定された「警察改革要綱」の徹底を図ろうとするものであり、県においても、平成24年上半期(1月~6月)の懲戒処分者は、停職4人、減給1人、戒告2人で計7人に上る。
警察改革のスタートから10年以上が経過し、危機意識や緊張感が失われてきた可能性があり、警察改革の精神を徹底することが求められている。
 特に、「警察安全相談をはじめとする各種相談業務については捜査部門でなく総務・警務などの管理部門で受け付け、その進捗状況を確実に管理すること」、「被害届は、明白な虚偽又は著しく合理性を欠くものを除き、即時に受理すること」、「証拠品の厳格な管理・捜査書類の合理化」、「職務に対する職員の使命感と誇りを一層高いものにすること」の着実な実施は、重要である。
 そこで、「「警察改革の精神」の徹底のために実現すべき施策」に基づく各施策を着実に実施するよう申し入れるものである。

20 DNA型鑑定用試薬購入の予算化について(公安委員会・警察本部関係)
 ルーマニアの首都ブカレスト郊外で日本の女子大生が殺害されるという凄惨な事件が起こった。報道によれば、財政が逼迫しているために、ルーマニアではDNA鑑定が行われない状況である。
 DNA型鑑定用試薬であるアプライドバイオシステム社のアイデンティファイラーキットは、国費で賄われていて、1キットが約100人分である。本県におけるアイデンティファイラーキットの執行状況は、平成23年度は、約100キットであり、平成24年上半期(1月~6月)の執行状況は、既に約50キットである。アイデンティファイラーキットは、DNA型鑑定に不可欠であり、不足すれば、犯罪の立証や事件捜査、身元不明遺体の身元確認に支障が生じる恐れがある。
 しかし、通常国会の閉会に伴い、予算執行に不可欠な特例公債法案は廃案となり、政府は配分予定だった地方交付税の一部を延期する方針を決めるなど、今後の予算執行に不安がある。
 そこで、県民の安全・安心な生活のための治安維持や迅速な警察行政の遂行のために、アイデンティファイラーキットの購入を予算化するよう申し入れるものである。

 終わりに
                                    
 平成24年9月県議会第314回定例会において、子どもの医療費助成の拡充に関する一般質問に対し、知事は、当面この制度の定着を図っていきたいと考えていると答弁されたが、少子化問題に果敢に取り組んでいる県の姿勢が後退しているというメッセージに受け取られる可能性があり、極めて遺憾である。中学3年生までの所得制限のない拡充が難しいのであれば、将来にわたり持続的で安定した制度として維持していくことを前提に、現実的な対応として、所得制限なども考慮し、こども医療費助成事業のさらなる拡大を再度検討する余地を探るために、敢えてこども医療費助成制度について申し入れた。
 また、平成24年度当初予算編成に対する申し入れ事項が、果たして着実に履行されているかを確認するため、固定資産評価証明書の交付に係る手数料の徴収についての適切な実施状況や、西宮北有料道路周辺道路の混雑への対応等について申し入れた。
 武庫川における天然アユの遡上可能な環境整備については選挙公約であり、このほか、新たな問題提起として、大企業のベンチャーキャピタル化への検討等、職業訓練委託先の見直し、法務局備付公図(字限図)にかかる地図訂正の適正な申請等、遮熱塗料の積極的な使用等、県立施設や学校などの未利用容積率活用のための調査、DNA型鑑定用試薬購入の予算化について申し入れた。
 再三に渡り指摘してきたように、地域整備事業における資金ショートの可能性について質すことにした。
 さらに、川西市の男子高校生の自殺事件等を契機に、西宮市の現状も踏まえて、スクールカウンセラーの小学校への単独配置の拡大、中学校への配置時間の増加及びキャンパスカウンセラーの高等学校への派遣頻度の増加について申し入れた。
 最後に、県政を動かすのは人であるが、平成24年度に限っても、警察官だけでなく行政職員や教職員で懲戒処分を受けた者は枚挙に暇がなく、綱紀が緩んでいるのは明らかである。
 特に、警察官にあっては高い倫理観が要求されるので、「「警察改革の精神」の徹底のために実現すべき施策」に基づく各施策の着実な実施について、特に、「警察安全相談をはじめとする各種相談業務については捜査部門でなく総務・警務などの管理部門で受け付け、その進捗状況を確実に管理すること」や、「被害届は、明白な虚偽又は著しく合理性を欠くものを除き、即時に受理すること」、「証拠品の厳格な管理・捜査書類の合理化」、「職務に対する職員の使命感と誇りを一層高いものにすること」の着実な実施を強く申し入れるものである。

 平成25年度当初予算編成に対する申し入れに関するアンケートに、ご協力ください。
 最後まで、お読みいただきまして、ありがとうございます。心から、お礼申し上げます。
 応援していただいている西宮市民の皆様、実際に投票していただいた11,291名の皆様に、感謝を込めて
 がんばろう日本!
 負けないで!
 諦めないで!
 挫けないで!
 兵庫県議会議員 西宮市選挙区 
 野々村 竜太郎


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