これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学一冊10分で読める! 本の要約サービス【フライヤー】

 ハーバード大学のマイケル・サンデル教授の「正義」と題した講義は、同大学建学以来初めて一般公開されるほど人気があり、その模様が、本日と明日のそれぞれ午後10時から、NHK教育テレビハーバード白熱教室として放送されるのである。
 サンデル教授の著書これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学の中で、裕福な自分たちが統治すべきだと主張する寡頭制支持者と、市民権と政治権力の基準は自由民の出自に限るべきだと主張する民主制支持者とを批判するアリストテレスにとって政治の目的は、善き市民を育成し、善き人格を育成することなのだと紹介する。
 その理由として、アリストテレスは、賢明な政策を実行し、すべての人の生活を向上させるからだけではなく、市民道徳に名誉と見返りを与えることを挙げ、その必然として、正義の目的論的な面と名誉にかかわる面が一致することがわかるというのである。
 しかしながら、現代において政治を語るとき、一般的に、それは必要悪とみなされ、善き生活に必要不可欠な要素とは思われていないのであり、私たちの頭に思い浮かぶのは、妥協や、駆け引き、利権、腐敗という類のものである。
 そういうものの、アリストテレスは、善き生活を送るには政治への参加が不可欠だと考え、それは、言語能力という人間の本質にあるといい、何が正義で何が不正かを断じ、正しいことと間違っていることを区別するためにあるのだと主張し、善き生活の本質などについて他者と討議できるからだと考えたのである。
 そして、サンデル教授は、善という概念を重視しているといわれており、過大に保護されている私有財産制度に疑問を呈しているのはないかと考えている。
 政治哲学とは何かを考えるに際して、三つの偉大な哲学の潮流、即ち、功利主義と正義とを結びつけるアプローチ、自由と正義とを結びつけるアプローチ、最後に、道徳と正義とを結びつけるアプローチに則していることが重要である。
 それは、社会全体の幸福を最大化する方法を考えることで正義を定義し、財とサービスを自由市場で交換することで収入と富の公正な分配に繋がることで正義を定義し、さらに、美徳に報い促すために財を与えることで正義を定義することを、それぞれの哲学で主張しているが、結論を見ることはないのである。
 こういう政治哲学とは無縁で、政務調査費で漫画や旅行雑誌を買い漁る議員公認する政治理念のない政党がある。
 現在、このような危機的な状況ではあるが、私たちは、このような政治哲学を学ぶことによって、選挙を通じて、本物の政治家を選ぶことができるのである。



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