<「ライブハウスワンマンツアー「SPRING 2017 TOUR~ライブハウスのネギ~ supported by サトウ食品」東京公演概要>
■日時:2017年4月28日(金)開場18時30分/開演19時30分
■会場:Zepp DiverCity東京(東京都江東区青海 1-1-10 ダイバーシティ東京プラザ)
仕事のため、ゆりかもめ線のお台場駅に降り立ったのは19時を過ぎていた。
数日前にツイートで知ったのは、
「1987年に発売された「ファイナルファンタジーシリーズ(以下、FFシリーズ)」が今年で30周年を迎える事を記念して、FF30周年記念イベント『CRYSTAL TOKYO TOWER』を開催します。4月28日(金)19:00より東京タワーが「クリスタルタワー」をイメージした青色に染まります。
一夜限りの特別なライトアップを、是非お楽しみください!」
こういう情報だった。
開場時間はとうに過ぎていて、いまさら5分や10分の違いには大差なかろうということで、改札を出てダイバーシティとは逆方向へ足を向けた。
すると、眼の前には東京湾岸とレインボーブリッジ、そしてその向こうにはこの日、たった一日限りである特別仕様に飾られたライトアップによって彩られた東京タワーが輝いていた。
ダイバーシティ前にやってきた。
ここでも、この日、たった一日限りのライブが繰り広げられるはずなのである。
それがどのようなものなのか、4公演ツアーのファイナルである今夜がようやくの初参加となる自分にとっては、数曲だけ公開されている動画からしか知る由もなく、またほかの公演に参加していたとしても、ファイナル公演だけは特別な仕様で仕立てられている可能性が高く、会場の規模もライブハウスとしてはNegicco史上、過去最大規模の場所で開催されるわけで、その意味において、すべての参加者にとっての一期一会なライブとなるにちがいなかった。
開幕20分前に入場する。
幸いにも、場内には段差がある。
1段目のエリアはほぼ満員であるし、いまさらそこに潜り込んでもステージが見にくいだろうと思い、2段目へ。
ここにはカメラが撮影するときに横移動するための仮設レールが置かれており、そのエリアにはオーディエンスが入らないよう縄で区切られていて、その縄から2列目の位置に立つことができた。
ここからならば、遮られることなくステージ全体を眺めることができる。
後ろを振り返ってみるとPAブースがかなり近く、ホール全体からするとほぼ後方に当たる場所であることが知れた。
開幕時間になると照明が落とされ、すると、ぼそぼそと語る声が場内に響きだした。
それはかえぽが東京に向かう前日、新潟の自宅で収録した今回のライブへの思いを語るものだった。
続いてぽんちゃ、そしてNao☆ちゃん。
そのいずれもが、耳をそばだてていなければ何を語っているのか聞き取れないほどの、これからはじまる晴れ舞台には相応しからざる雰囲気のもので、でも、それをそのまま、このときこの瞬間に出してしまうというのがいかにもNegiccoの3人とその運営らしく、好感が湧いて来るのだった。
続いて、Negiccoの様々な曲の一瞬を切り取ってEDMに味付けしたものが流された。
これはきっと、この日のためにconnieさんがわざわざアレンジしたものにちがいなく、ここまで振り切ってアレンジされたものを聴くのは初めてのように感じ、これから始まるステージは主にそのテイストで攻めてくるのではとも思わされた。
ステージの幕が上がり、開幕した。
するとそこには、ナイトクラブのステージのように仕上げられた舞台がぼくらの眼の前に広がった。
ついさきほどに思わされたEDMによる攻めというのはまったくのフェイントで、今日の眼目はひょっとしたら、 “Negiccoの3人によるナイトクラブでのショーを楽しんでください” という主旨のものではなかろうかと推察できた。
(画像は、運営のインスタから借用)
1. We are VR friends!
2. 自由に
-MC 自己紹介&バンドメンバー紹介-
わずか2曲でMCを入れてきた。
今回のライブはこの曲から始まるということは、事前にUPされていた大阪でのライブ動画で把握していたのでその意味での驚きはなかったが、じつはこの曲には “Nao☆(声)、Meguによる「We are VR friends!」のレクチャー動画” というものもUPされていて、ほぼ新曲といっても差し支えないものである。
2曲目、これも手振りコピをメンバーから要求されるもの。
ライブの導入部がきわめて重要なことは、すべてのアーティストが理解していることであり、「つかみはOKっ!」といきたいはずのところ。
はじめのこの2曲。
手振りが入って、しかもオーディエンスがメンバー名をコールする個所が登場しないこの2曲を置いたということは、ものすごいリスクを承知の上でのチャレンジにちがいない。
3. SNSをぶっとばせ(feat. 堂島孝平)
-MC-
4. 愛、かましたいの(feat. 堂島孝平)
-MC-
そして早くも、ゲストの登場。
あとから堂島孝平氏のツイートで知ったのだが、氏のスケジュール的な理由で早めにここから離脱せねばならなかったようで、それもあったため、この時点での登場と相成った様子だけれど、オーディエンスの誰一人としてそんなことは知るはずはない。
だから誰もが、“ゲスト登場、早っ!?” と思ったはずである。
堂島孝平氏のこの日のパフォーマンス自体は、Negiccoへの愛とやさしさ、そしてぼくらを少しでも盛り上げようというに気配りに溢れていてすばらしいものだったのだけれど、たとえば 「愛、かま」 に差し込まれるぽんちゃコールをこの曲のプロデューサーである堂島孝平氏として指示するのは、それはそれでもちろんかまわないのだけれど、でも、それをすることでオーディエンスに微妙な戸惑いの生じてしまっていることがホール後方から読み取れた。
ここまでで言うと、どうもいまひとつライブに乗り切ることができず、演出的にはぶつ切り状態な感じを受けたことを否定できなかった。
だがしかし、最初に抱いたステージの佇まいからの印象を思い出しつつ、徐々にわかってきたのだ。
今日のこれは、ライブというよりもむしろ、やはりショーというべきものなのだということを。
そうすると、1曲1曲に異なった演出が加えらていても一向に構わない、むしろ、様々なそれらの演出を楽しむべきものなのであるということを。
5. サンシャイン日本海
6. マジックみたいなミュージック
7. 二人の遊戯
-MC-
8. ナターシア(feat. SWAMP)
9. Good Night ねぎスープ
10. おやすみ
11. 江南宵唄
12. 矛盾、はじめました。
-MC (グッズ紹介)-
13. ライフ・イズ・キャンディ・トラベル
14. くちびるにメロディ
-MC 楽曲ルーレット-
15. Party on the PLANET
16. あなたとPop With You!
17. 恋のシャナナ
18. 圧倒的なスタイル
19. さよならMusic
20. ねぇバーディア
【アンコール】
21. ともだちがいない!(新曲)
-MC 告知-
22. ときめきのヘッドライナー
23. トリプル!WONDERLAND
-MC (ツアーの感想)-
8曲目、「ナターシア」でゲストとして登場したSWAMP氏、この方が去り際に言ったセリフが印象的で 「みんなを困らせてしまってごめんね」 というニュアンスのものだった。
ステージ上からは、おそらく、オーディエンスの思っていることが手に取るように感じられるのだろう。
この時点でSWAMP氏にもそれが感じられ、そのままそれを言葉にしたにちがいなかった。
だが、ショーとして楽しむべきだということを理解した自分にとっては、SWAMP氏のラップが伴奏となった 「ナターシア」 はこの日かぎりのNegiccoからの贈りものであった。
続けての、「Good Night ねぎスープ」、この曲には、この日もっとも涙腺を崩壊させられ、頬に涙の跡が一筋できてしまい、おまけに鼻までもがグズついてしまった。
その理由はわからないのだが、とにかく自分の琴線にふれる歌声だったことは間違いない。
12.曲目、「矛盾、はじめました。」
キーボードによるピアノ伴奏と3人の歌声のみという、きわめてシンプルな演奏。
コリオもほとんど行わず、ステージセンターで3人が並んで歌いこなしてゆくその姿を、もはやアイドルと呼ぶことはできない。
この曲以外にも、メンバーによるアカペラで始める曲も差し込んだりしてきた。
アイドルのライブにおいてアカペラ、これは普通ならばやらないであろう選択肢。
そんな選択肢に挑んだ3人。
そうなのだ、これはやはり、Negiccoの3人の進化し続けている姿、それをぼくらに披露しようとしているショーなのだ。
30歳を間近に迎えようとしているアイドル、それだけでも驚くべきことなのに、よくよく考えれば、もはや彼女たち3人の前には見習うべき同業アイドルが存在しなくなっていて、これからは自分たちで新しい道を切り開いてゆかねばならない。
ぼくらはそんな、誰も見たことのないものを眼の前に見せられたわけで、なかにはそれによって戸惑ってしまい、いつものライブとは何かがちょっと違うというかすかな不満を感じしまう方もいらっしゃっるにちがいない。
でも、それを十二分に承知の上で挑んだ3人。
このことを象徴する言葉は、アンコールも終わっていよいよ最後というときにNao☆ちゃんが発したこれで、
「Negiccoは、ここからスタートします。」
Negiccoはここからさらに進化を遂げてゆきます、と言い換えることもできるであろうこの言葉。
ということはつまり、Negiccoの3人から一瞬たりとも眼が離せないというわけで、彼女たちと同時代に生きていることによって、今後もさらに新しい歓びを感じることができるであろうという期待感にぼくらは包まれてゆく。
ネギ・ホーンズ、キーボード奏者、ゲスト、舞台装置、特筆すべきはきらびやかで鮮やかな照明群。
そして、なぜかクリアで透明感が満ち満ちている場内の空気。
それらすべてを駆使して生まれたのは、やはり、この日かぎりのライブでありショーであって、そしてそこから垣間見ることができたのは、これからのNegiccoの姿、というべき一端だった。