19-2 鎌倉文化 旧仏教の動きと神道

 

「日本史の基本84(19-1 鎌倉文化 新仏教)」に記した鎌倉新仏教に刺激されて、旧仏教側も、新たな動きをみせた。

 

法相宗(ほっそうしゅう)貞慶(じょうけい)(解脱(げだつ))や華厳宗(けごんしゅう)明恵(みょうえ)(高弁(こうべん))は南都仏教の再興を図り、また律宗(りっしゅう)叡尊(えいそん)(思円(しえん))と忍性(にんしょう)(良観(りょうかん))らは慈善事業・社会事業にも尽力した。

 

一方、鎌倉時代末期には、伊勢外宮(げぐう)の神官度会家行(わたらいいえゆき)伊勢神道(度会神道(わたらいしんとう))と呼ばれる独自の神道理論を形成した。

 

19-3 鎌倉文化 文学と学問

 

和歌では、『山家集』(さんかしゅう)(西行(さいぎょう))、後鳥羽上皇の命で編纂された『新古今和歌集』(しんこきんわかしゅう)(藤原定家ら)、随筆では、『方丈記』(ほうじょうき)(鴨長明(かものちょうめい))、『徒然草』(つれづれぐさ)(兼好法師(けんこうほうし))などが知られている。

 

また、軍記物語では、平氏の興亡を主題とした『平家物語』(琵琶法師(びわほうし)により平曲(へいきょく)として普及)など、動乱の時代を反映した作品が生まれ、さらに、「道理(どうり)」と呼ばれる基準にしたがって歴史の推移を読みとろうとした『愚管抄』(ぐかんしょう)(慈円(じえん))、鎌倉幕府の歴史を編年体(へんねんたい)で記した『吾妻鏡』(あずまかがみ)など、重要な意義をもつ歴史書もまとめられた。

 

 

 有職故実(ゆうそくこじつ)

有職故実とは古典や朝廷の儀式・先例などのことをいい、貴族のあいだでは有職故実の学がさかんになった。

 

 『愚管抄』

慈円(九条兼実(かねざね)の弟)が著述した歴史書。

その最大の特徴は、「道理」と呼ばれる基準にしたがって歴史の推移を読みとろうとしている点にある。

承久の乱直前に成立しており、後鳥羽上皇の行動を諌(いさ)める意図もあったと考えられている。

 

 金沢文庫(かねざわぶんこ)

北条氏一門の金沢実時(かねざわさねとき)とその子孫により武蔵(むさし)国に設けられた私設図書館

和漢の書物が大量に収集された。

 

 宋学(そうがく)の伝来

鎌倉時代末期には、儒学(じゅがく)の一つである宋学(朱子学(しゅしがく))が日本に伝えられた